round 6

June 26 2010
MotoGP TT ASSEN
第6戦 オランダGP

オランダGPプレビュー

今年で62回目を迎えるオランダGP。1949年に始まったグランプリの歴史の中で、唯一、同一サーキットで開催され続けているのが、アッセン・サーキットのオランダGPである。これまで何度もコースの改修を受けてきたが、2006年に大きく変わり、5.997kmのロングコースは4.555kmへと短縮された。コーナーの数も23から17へ。今年はバックストレートのシケインが改修されて、これまでよりアベレージが上がっている。

最高峰クラスでは、1966年にジム・レッドマンが初優勝して以来、これまでHondaは17回の勝利を手にしてきた。過去3年は優勝を逃しているが、今年はオランダGPの4年ぶり制覇に期待がかかる。

前戦イギリスGPでは、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が今季4回目の表彰台に立った。レースをこなすごとにマシンのセットアップが進み、トップとの差も着実に詰めている。シルバーストーン・サーキットでは、速いパートとタイムロスしているパートがはっきりと分かれた。そのデータを基にさらにマシンの改良に努めることになるが、勢いに乗るドヴィツィオーゾ。得意とするアッセンで、今季5回目の表彰台と初優勝を狙っている。

一方、イギリスGPで8位と悔しいレースに終わったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、その雪辱に闘志を燃やしている。新しく生まれ変わったシルバーストーンでは、フリー走行では、順調にセットアップを進めるも、予選とウオームアップで2度の転倒を喫した。転倒の原因は荒れた路面と冷えた路面だったが、この2度の転倒でリズムを崩し、決勝のペースも上がらなかった。今大会は今季初優勝を達成したイタリアGPの走りの再現に期待される。

開幕戦から安定したパフォーマンスを見せているランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、得意とするアッセンに気合満点の様子だ。昨年の大会では7位。ペドロサとドヴィツィオーゾが転倒リタイアとHonda陣営にとっては厳しい内容となったが、Honda勢の中では、デ・ピュニエが最上位と健闘した。今年は開幕戦から表彰台にあと一歩のレースが続いているが、前戦イギリスでは、07年のオランダGP以来のフロントローを獲得。決勝でも中盤まで2位を走る快走を見せた。今大会は2戦連続のフロントローと今季初の表彰台の期待が膨らむ。

マルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)もアッセンを得意とする。125ccクラス時代は、アッセンでグランプリ初優勝を達成。250cc時代も優勝を経験、最高峰クラスでは05年に2位表彰台を獲得している。今年はレースをこなすごとにリザルトを上げているだけに、イタリアGPの5位をしのぐベストリザルトに期待。オープニングラップで転倒したシルバーストーンの雪辱に燃えている。

チームメートのマルコ・シモンチェリも、シルバーストーンでは、予選9番手、決勝7位と、今季ベストリザルトを刻んだ。決勝では終盤、タイヤの消耗でペースを落として7位に終わったが、今季初の表彰台争いに加わり、大きな自信をつけた。今回はさらに上位を狙う意気込みだ。

シルバーストーンの決勝日のウオームアップで転倒した青山博一(Interwetten Honda MotoGP)は、ケガのために今大会を欠場する。昨年250ccでは優勝しているサーキット。オランダGP以降の出場については、イギリスからスペインの病院に移り、再検査を行った上で発表する予定だ。

激戦の続くMoto2クラスは、今大会も激しい戦いとなりそうだ。06年にコースが改修されたアッセンは、コース前半にスローコーナーが続く。そのため、予選グリッドがレースに向けて重要になるため、予選から熱い戦いが繰り広げられそうだ。

5戦を終えて、総合首位のトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)、2位の富沢祥也(Technomag-CIP)、3位のトーマス・ルティ(Interwetten Moriwaki Moto2)、4位のフリアン・シモン(Mapfre Aspar Team)と、安定したリザルトを残している選手がランキング上位に名前を連ねる。混沌としているMoto2クラスだが、チャンピオン争いの顔ぶれがだんだん見えてきた。タイトル争いを視野に入れる選手たちの駆け引きも、見どころに加わりそうだ。

コメント

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング2位) 「シルバーストーンで2位になれたことで、連戦となるオランダGPに向けて気合が入っている。改修されてからのアッセンは、特に好きなサーキットではないが、いい成績を残す自信がある。昨年は転倒しているが、今年はいいレースができるはずだ。開幕戦から、レースをこなすごとにマシンのセットアップは進んでいる。ここまで5戦を終えて表彰台に4回立っている。それ以上にレース内容がよくなっているのがうれしい。今回は優勝を目指してベストを尽くしたい」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位) 「シルバーストーンは残念な結果だったが、イギリスGPのデータを分析して、今週のオランダGPで前進するための材料にしたい。シルバーストーンでうまく走れなかった理由ははっきりしているので、今週のアッセンに向けて心配はない。イタリアGPのように優勝するためにも、こうして間をあけず、レースを戦えることはうれしい。アッセンは、旧コースも、そして、いまの新コースも、とても好きだ。特に後半の高速セクションはイタリアGPのムジェロに似ている部分もあるし、ムジェロのようなレースができたらうれしい。アッセンは伝統ある特別なレース。全力を尽くしてくれているスタッフの期待に応えたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング6位) 「アッセンは大好きなサーキット。シルバーストーンもそうだったけれど、自分のライディングスタイルに合っていると思う。昨年は7位だったが、今年はマシンの状態がとてもいいので、もっといいリザルトを残せると思う。5戦を終えて総合6位をキープしているが、このサーキットは、このポジションをキープするためには最高のサーキットだと思う」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング9位) 「シルバーストーンはいいレースができると確信していたし、転倒リタイアは、本当に残念だった。この数戦、マシンの状態がよくなっているし、シルバーストーンはイタリアの5位以上のリザルトを残せると思っていた。イタリアの決勝からマシンの状態は本当によくなっているので、今回はきっちりと結果につなげたい。アッセンは昔のハイスピードコースの方が好きだった。今年は一部改修されて、より高速になったのはうれしい。今回はシルバーストーンのようなミスをなくし、いいレースにしたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング10位) 「前回のシルバーストーンは今年になってベストリザルトの7位という結果を残せた。それ以上に、終盤まで表彰台争いに加わっていたことが、何よりもうれしい。マシンの状態はこの数戦、本当によくなっているので、今回も楽しみにしている。アッセンでは、これまでいいリザルトを残したことはないが、好きなサーキットのひとつ。楽しみにしている」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「イタリア、イギリスと厳しいレースが続いているので、アッセンでは、この2つのサーキットで抱えていた課題を解消したい。アッセンは125ccで優勝している。250cc時代も表彰台に立っているし、好きなサーキットなので楽しみにしている。この2戦、思ったような成績を残せていないのは、セットアップの問題なので、今回はきっちりとコースに合わせていきたい。アッセンはいつも天候が不安定なので、今年はよい天候になることを願っている」

富沢祥也(Moto2 ランキング2位) 「アッセンは好きなサーキットだが、昨年は、決勝で転んでしまい、コースを攻略できないままレースを終えてしまった。今年は最初にコースの攻略。そして、シルバーストーンでは、フリー走行の転倒が予選と決勝に悪影響を及ぼしたので、絶対に転倒しないようにしたい。イタリア、イギリスと2戦連続6位。表彰台争いに加わりながら最後は立てなかったので、今回は表彰台を目標に全力を尽くしたい」

トーマス・ルティ(Moto2 ランキング3位) 「表彰台に立ったのは2008年の2位だけだが、125cc時代からアッセンはいつもいいレースができているし、大好きなサーキットだ。アッセンはセットアップを詰めるのがとても難しい。それだけに、こうしてシルバーストーンから間を置かずにレースを戦えるのはうれしいことだ。シルバーストーンの表彰台はとてもうれしい。アッセンに向けてとても気合が入っている」