round 4

June 6 2010
MotoGP GRAN PREMIO D'ITALIA TIM
第4戦 イタリアGP

イタリアGPプレビュー

第4戦イタリアGPが、6月4日から6日の3日間、ムジェロ・サーキットで開催される。ムジェロは、フィレンツェ近郊にあり、アップダウンに富んだ一周5.245kmのハイスピードコース。シーズンを通じての最高速をマークするだけでなく、フィニッシュラインまで大接戦が続くサーキットとして知られる。選手、チームにとっては、エンジンと車体のパフォーマンスをいかに引き出すかの戦いとなる。レースで勝つためのすべての要素が高いレベルで求められるサーキットとして知られる。

昨年は、不安定な天候のために「フラッグ・トゥ・フラッグ」ルールが適用され、マシンをチェンジするタイミングなど、難しいレースとなった。ウエットからドライへ。運にも左右される厳しい戦いを制したのは、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)で、Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が表彰台まであと一歩の4位でフィニッシュ。表彰台には立てなかったが、地元ファンの声援に応えた。

今年は、ここまで2度の表彰台を獲得して総合3位。上り調子でホームGPを迎えるだけに、今季初優勝の期待が膨らむ。ドヴィツィオーゾの課題は予選の走り。ソフトタイヤを装着していかにいいタイムをマークできるかにかかっている。前戦フランスGPも、フロントローに並んでいれば優勝争いにからめた可能性も高いと語るドヴィツィオーゾだけに、今大会は初日から気合の入った走りが見られそうだ。

前戦フランスGPで、終盤、ペースを落として表彰台を逃したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、今大会は、その雪辱に闘志を燃やす。昨年の大会は、決勝レースで転倒を喫する苦しいレースとなった。そのときの転倒で右足大たい骨を負傷して、シーズン中盤戦を苦しいものにした。

ペドロサにとっては、苦い思い出のあるサーキットだが、125ccでは表彰台、250ccでは優勝を経験するなど相性はいい。MotoGPクラスでも、2007年2位、08年3位と表彰台に立っている。今年は開幕戦から着実にRC212Vのパフォーマンスを引き出しているだけに、ドヴィツィオーゾとともに今季初優勝の期待が膨らむ。

今大会は、Honda勢4チーム6選手のうち、ドヴィツィオーゾを筆頭に、マルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)と3選手がホームGPを迎える。前戦フランスGPで今季ベストリザルトの6位でフィニッシュしたメランドリ。前戦フランスGPでいいセッティングを見つけたというシモンチェリとともに今季初表彰台に闘志を燃やす。総合6位のランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)、昨年の250ccチャンピオンで開幕戦から着実にセットアップを進める青山博一(Interwetten Honda MotoGP)も今季ベストリザルトを狙っている。

ムジェロの見どころは、最終コーナーからの下りこう配の1.1kmのロングストレート。昨年の最高速度は時速330km前後だが、990cc時代は時速340kmを超える最高速が記録され話題を集めた。アベレージもオーストラリアGPのフィリップアイランドと並ぶ時速170km台。ムジェロで繰り広げられる超高速バトルは、ファンを熱狂させてきた。1993年以降、ムジェロで通算11勝を挙げているHonda。今年は7年ぶりの優勝に闘志を燃やしている。

開幕戦から接戦が続いているMoto2クラスも、高速バトルとなるムジェロでの戦いに大きな注目が集まっている。開幕から3戦、予選では、PPから1秒以内に20台以上という接戦となっている。スリップの使い合いとなるムジェロでは、さらに厳しい戦いが予想されるだけに、選手、チームともに、初日から気の抜けない戦いとなりそうだ。

3戦を終えて総合首位のトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)は、チームのホームGPで3連勝を狙う。総合2位の富沢祥也(Technomag-CIP)も、前戦フランスでノーポイントに終わっているだけに雪辱を期している。総合3位のシモーネ・コルシ(JIR Moto2)もホームGPを迎えて気合満点。今季最高のバトルが繰り広げられることは間違いなさそうだ。

コメント

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位) 「前回のフランスGPは、今季2回目の表彰台に立てたし、前を走るヤマハの2人とのタイム差もかなり縮まった。予選のグリッドがよかったら、もっといい結果を残せたと思っている。ムジェロは、いつだってそうだが、僕にとっては特別なレースになる。イタリアのファンの声援は信じられないもので、大きな力になる。コース上の戦いでも、マシンに求められるものがとても高いレベルにあるので、初日からセットアップに集中したい。サーキットにつめかける応援団の期待に応えるレースをしたい」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位) 「ムジェロは、スペインのサーキットと、観客の盛り上がり方がよく似ている。すごく情熱的で特別な感じがする。好きなグランプリだ。前回のフランスGPは、後半、ペースを落としてしまい表彰台を逃した。優勝争いに加わるためにも、今回は、フランス以上にがんばらなくてはいけない。今回も、ベストな状態を見つけるためにチームと全力を尽くす。レースをこなすごとに確実に状態はよくなっているので、今年のベストレースができるようにしたい。恐らく、今年になって一番いい状態で初日を迎えることができるはず。ムジェロは難しいサーキットだけに、これは重要なポイントだ。とにかく、今回もレースに集中してベストリザルトを手にしたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング6位) 「ムジェロは大好きなサーキットなのだが、最高峰クラスではまだいいリザルトを残したことがない。昨年の8位がこれまでの最高なので、今年は、それ以上のリザルトを残したい。ここはシーズンを通じて最もストレートが長く、最高速も重要になる。とにかく、最終コーナーの走りが大きく影響するので、ここをしっかりと走りたい。3戦を終えて総合6位。今回は厳しいレースになることが予想されるので、しっかりとこのポジションをキープしたい」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング7位) 「フランスGPの決勝は、今年になって一番気持ちよく走ることができたし、そういう状態でホームGPを迎えられるのはとてもうれしい。今回も、そのときのセッティングをベースに、初日から着実に進みたい。ムジェロは大好きなコース。ホームGPなので、いつも、ここは特別なグランプリになる。昨年は不安定な天候だったが、今年はすばらしい天候でレースができることを願っている。チームにとっても自分にとっても重要なレース。いいレースをしたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング9位) 「今回は走り慣れたムジェロ。ホームGPなので、前回のフランスGPはもちろん、これまでの3戦よりは確実にいいはずだ。フランスGPでは、セットアップは確実によくなったのだが、決勝に向けて変更したことが結果につながらなかった。その点を考慮して、今回は初日に挑みたい。ムジェロは大好きなサーキット。250cc時代は08年に勝っている。雨のレースになった昨年はパシーニに負けて2位だったが、地元ファンの声援はいつも大きな力になる。今年もいいレースを見せたい」

青山博一(MotoGP ランキング11位) 「ムジェロはシーズンを通じてもっとも攻略が難しく、レースそのものも厳しいグランプリだ。それだけにやりがいがあるし、とても楽しみにしている。昨年は、雨のレースになったけれど、とてもいいフィーリングで走ることができた。今年は250ccからMotoGPマシンに変わったけれど、昨年のイメージを今年も実現させたい。カタール、スペイン、そしてフランスと、なかなかリザルトにつながらない部分はあるが、マシンのセットアップは確実によくなっている。今回も具体的な目標を挙げることはできないが、ベストを尽くしたい」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「スペイン、フランスと優勝できた。しかし、Moto2クラスは、今年からスタートしたばかりで、毎戦どんな戦いになるのか予想するのも難しい。今回もどんなレースになるのか分からないが、ベストを尽くすだけだ。3戦までと同様、トップ10は接近戦になると思う。今回はチームのホームGP。応援してくれるすべての人に喜んでもらえるレースにしたい」

富沢祥也(Moto2 ランキング2位) 「前回のフランスGPはとても悔しいレースだった。フリー走行でマシンのセットアップができなかったことが、結局、予選、決勝に悪い影響を与えた。レースはいつも通り激しくて、いいポジションで戦えなかったことで転倒に巻き込まれてコースアウト。追い上げのレースになって転んでしまった。ムジェロは難しいけれど、好きなサーキット。フランスの悔しさを今回のレースにぶつけたい」

シモーネ・コルシ(Moto2 ランキング3位) 「ムジェロはシリーズを通じてもっとも興奮する大会。魅力あるグランプリだ。ホームGPとなる自分にとっても、大勢のファンや家族の声援は大きな力になる。前戦フランスGPで今季初表彰台に立てて、とてもいい気分でホームGPを迎えることができる。開幕戦から確実にマシンはよくなっているし、今回も楽しみで仕方がない」

高橋裕紀(Moto2 ランキング12位) 「なかなか自分の思い通りのレースができていないが、今回はしっかりとチェッカーを受けて結果を残したい。マシンの課題もはっきりしている。それを克服しなければならない。今回もフリー、予選といろいろトライしてベストな状態を見つけたい。3戦を終えて転倒が2回。しかし、3戦ともに優勝争いに絡めているので、今回はしっかりと完走して表彰台を狙いたい」