round 3

May 23 2010
MotoGP MONSTER ENERGY GRAND PRIX DE FRANCE
第3戦 フランスGP

フランスGPプレビュー

第3戦フランスGPが、5月21日から23日の3日間、ル・マンで開催される。ル・マンはパリの約200km南西に位置し、世界でも屈指の伝統を誇るサーキットだ。世界的に有名なル・マン24時間耐久レースは、市街地コースを含むサルテ・サーキットで開催されるが、バイクレースの24時間耐久レース、そして、ロードレース世界選手権は「ブガッティサーキット」で行われる。

ル・マンは、典型的なストップ&ゴー・サーキットで、俊敏な旋回性とエンジンの加速性能が問われる。ストレートは全体的に短く、ヘアピン、シケインなど、ブレーキング勝負となるサーキットでもある。この時期のル・マンは、天候が不安定で、過去3年は「フラッグ・トゥ・フラッグ」が適用される厳しいレースが続いた。

前戦スペインGPで今季初PPを獲得、決勝でも最終ラップまで優勝争いに絡み地元スペインのファンを喜ばせたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、得意のル・マンで今季初優勝に闘志を燃やす。2003年には125ccクラスで優勝。04年、05年は250ccクラスで優勝を果たしている。MotoGPクラスでは、デビューシーズンの06 年に3位になった。しかし、以後の3年間はフラッグ・トゥ・フラッグのレースに翻弄されて優勝を逃してきた。昨年の大会はPPを獲得したが、ウエットからドライになるレースで3位に終わった。今年は、開幕戦カタールGPで思ったような走りができなかったが、第2戦スペインGPでは優勝にあと一歩に迫る快走を見せた。さらに、スペインGP終了後のテストでニューシャシーのセットアップが進んでいるだけに、今回の走りに注目が集まっている。

開幕戦カタールGPで3位表彰台。第2戦スペインGPでは6位だったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今季2回目の表彰台と今季初優勝に闘志を燃やす。ドヴィツィオーゾは、スペインGP決勝翌日の合同テストでニューシャシーのテストに取り組み、上々の成果を挙げたことで、今大会、ペドロサに続いて新しい車体で出場する。ドヴィツィオーゾもル・マンを得意とし、04年に125ccクラスで優勝。250ccクラス時代は、05年から07年まで3年連続表彰台に立った。MotoGPクラスのルーキーだった一昨年は6位。昨年はペドロサとし烈な3位争いを繰り広げて4位。ペドロサとともに、今季2回目の表彰台と今季初優勝が期待される。

ホームGPを迎えるランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は、「今年こそ」と闘志を燃やす。フラッグ・トゥ・フラッグとなった過去3年間は、予選までの好走が不安定なコンディションで台なしとなり、地元ファンの期待に応えることができなかった。250cc時代は、02年から05年まで4年連続で表彰台に立っている。しかし、最高峰クラスではホームGPで一度も表彰台に立っていないだけに、並々ならぬ闘志をみなぎらせている。

前戦スペインGPで調子を上げてきたマルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、得意のル・マンに自らを奮い立たせている。ル・マンは、07年、09年と表彰台に立ってきた大好きなサーキット。メランドリは、ドライでもウエットでも速く、フラッグ・トゥ・フラッグも得意とするオールラウンドプレイヤー。前戦スペインGP後のテストで一段と調子を上げているだけに、今大会の活躍が注目される。チームメートのマルコ・シモンチェリも、開幕戦カタールGPの低迷を脱し、スペインGP決勝後のテストで調子を上げているだけに、今季ベストリザルトが期待される。

スペインGP後のテストで徹底的に走り込んだ青山博一(Interwetten Honda MotoGP)も、今大会ではシングルフィニッシュを狙う。ヘレス合同テストでは、「車体のセッティング、タイヤテストなど、初めてMotoGPマシンのテストをしたという感じがした。それだけマシンを乗りこなせてきている証拠」と、テストの成果をアピールしていた青山。スペインGPから今大会までの2週間のインターバルを利用して、懸念材料のひとつだった左手首の手術も行った。手の状態も順調に回復し、今季ベストリザルトを狙う。

開幕戦から激しいバトルが繰り広げられるMoto2クラス。ホンダ・エンジンを使用し、イコールコンディションの中でハイレベルな戦いとなっているが、ブレーキング競争となるル・マンでは、さらに熱い戦いが繰り広げられそうだ。開幕から2戦連続で表彰台に立ち総合首位の富沢祥也(Technomag-CIP)は、チームのホームGPに気合満点。自身も「好きなサーキット」というだけに3戦連続、今季2勝目への期待が膨らむ。総合2位には前戦スペインGPで今季初優勝を遂げたトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)。総合3位にはスペインGPで3位表彰台に立ったトーマス・ルティ(Interwetten Moriwaki Moto2)。さらに前戦スペインGPで4位でフィニッシュし、チームのホームGPで初表彰台を狙う高橋裕紀(Tech 3 Racing)など、注目の一戦となりそうだ。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位) 「前回のヘレスは、初日からいいペースで走れたし、決勝レースに向けてセットアップも順調だった。今回も、同じような3日間にしたい。ル・マンは、天候が不安定なので、どんなコンディションにも対応できるようにセットアップしなくてはいけない。昨年の大会も、予選はPPを取れたけれど、フラッグ・トゥ・フラッグになった決勝は3位になるのがやっとだった。今回は僕自身にとって150回目のグランプリなので、いい結果を残したい。ヘレスはいいレースができたし、大きな自信になった。今回も楽しみにしている」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング4位) 「ル・マンは好きなサーキットで、これまでもいい成績を残してきたので、すごく楽しみにしている。前戦スペインGPでは、決勝翌日のテストでニューシャシーのテストをした。その結果がとてもよかったし、今回はその車体を使うことになると思う。ル・マンは、ヘレスより旋回性が要求されるサーキットだ。改良されたシャシーで走るのが楽しみだ。昨年の大会は、表彰台争いができた。わずかの差で4位に終わったけれど、ル・マンに向けてモチベーションは高い。今回は、優勝争いに加わる自信がある」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング6位) 「どのレースもベストを尽くしているが、ル・マンは、自分にとってもチームにとっても、より重要な戦いになる。大勢の地元ファンが声援を送ってくれるので、いいレースにしたい。スペインGP後のテストで、車体のセットアップも進んだ。ル・マンはストップ&ゴーのサーキット。ハードブレーキングが要求されるが、いい走りができると思う、いつも全力を尽くしてくれるチームとスタッフの期待にも応えたい」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング10位) 「開幕戦カタールGPは思うようなレースができなかったが、前回のヘレスは、バイクのセットアップも進み、レースの内容も悪くなかった。レース後のテストも順調だったし、今回のレースをすごく楽しみにしている。ヘレス同様、今回もウインターテストをしていないサーキットなので、金曜日、土曜日の走行がとても重要になる、ル・マンでは06年に勝っている。07年、09年も表彰台に立っている大好きなサーキット。天候が不安定なサーキットだが、決勝に向けて万全の状態に仕上げたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング11位) 「スペインGPのあとのテストがすごくよかったので、今回はとても楽しみにしている。ヘレスでは、カタールで抱えていた課題が解消に向かった。決勝は11位だったけれど内容は悪くなかった。レースを終えた後、月曜日のテストでは、さらにセットアップが進んだし、今回のル・マンが楽しみでしかたない。ル・マンは、 250cc時代に優勝している。表彰台にも立っている。しかし、あまり好きなサーキットではない。ここでいい走りができたら、マシンの状態もよくなっている証拠。いいレースをしたい」

青山博一(MotoGP ランキング13位) 「前回のヘレスはコースアウトして、まるでいいところがなかった。しかし、月曜日のテストでいろいろ試すことができて、方向性もマシンの性格も、かなりつかむことができた。スペインGPのあと、左手首の手術を受けた。神経を圧迫している個所があって、ときどき、左手にしびれが出ることがあったからだ。今回のレースに影響はないし、不安な要素がひとつ減ってさらにレースに集中できる。ル・マンは、ツインリンクもてぎ同様、ストップ&ゴーのサーキット。本来なら得意だし、好きなサーキットなはずだが、これまで一度も表彰台に立ったことがない。前回のレースで悔しい思いをしているので、今回は、みんなに喜んでもらえるようなレースにしたい」

富沢祥也(Moto2 ランキング1位) 「今週はチームにとってホームGPになる。ランキング1位でル・マンを迎えるなんて想像もしていなかった。チームスタッフやスポンサーが喜んでくれるようなレースにしたい。昨年は難しいコンディションになり転倒している。でも、ル・マンは好きなサーキットだ。前回のヘレスは、合同テストをしていたのでデータがあったけれど、ここから先は、初めて走るサーキットが続く。フリー、予選ときっちりとバイクを仕上げたい。みんなにチャンピオン争いのことを聞かれるが、まだ 2戦が終わったばかり。ひとつひとつ、キッチリ完走したい」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング2位) 「開幕前のテストのケガは前回のスペインより回復しているので、ヘレスより、いい体調でレースを戦えると思っている。しかし、レースは、ヘレスより激しいものになると思う。ここはスローコーナーが多く、一段とブレーキング競争が激しくなると思う。前回のヘレスの優勝は、自分にとってもチームにとっても、すばらしいものだった。まだシーズンは始まったばかりだが、マシンのセットアップも順調に進んでいる。今回も優勝争いに加われるようにがんばりたい」

高橋裕紀(Moto2 ランキング10位) 「ル・マンは、チームにとってホームGPになるし、自分も好きなサーキットなので気合が入っている。GP参戦2年目の06年には、GP初優勝を達成しているので、Moto2クラスでも初めての表彰台に立てるようにがんばりたい。2戦を戦い、マシンのいい部分とウイークポイントがはっきりしてきた。前回のヘレスでは、スローコーナーの旋回性に課題を抱えていたので、ル・マンでは、この問題をきっちりと解決しなければならない。今回は、マシンのセッティングを大きく変えて、初日を迎える。それがいい方向に向かうことを期待している」