マレーシアGP予選は、青空が広がり、最高気温34℃という厳しい暑さの中で行われた。PPを獲得したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。3番手にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が続き、今季9回目のフロントローを獲得した。以下、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)6番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)8番手、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)10番手。アンドレア・ドヴィツィオーゾは(Repsol Honda Team)11番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は17番手だった。
今季9回目のフロントローを獲得したペドロサは、この日、順調にセットアップを進めた。午前中のフリー走行では、3番手につけた初日のベストタイムを約1.3秒更新する快走でトップに浮上。ロングランでも優勝を狙えるアベレージを刻んだ。
そして、午後の予選では今季3回目のPPが期待されたが、アタックに失敗、さらにクリアラップを取れなかったことで3番手に終わった。この日は、最高気温が34℃まで上昇し、路面温度も50℃を超えて、ソフトタイヤのパフォーマンスをうまく引き出せない選手たちが多かった。ペドロサもその一人だった。フラストレーションのたまるアタックとなったが、決勝に向けて仕上がりはよく、フロントローから今季2勝目の期待が膨らむ。
前戦オーストラリアGPで予選11番手、決勝10位と納得のいかないリザルトに終わっていたエリアスが、3戦ぶりに2列目グリッドを獲得した。今大会は、どのセッションも6番手から7番手とまずまずの位置につけた。しかし、優勝争いに加わるにはもう少しペースを上げる必要があり、決勝前のウオームアップまでセットアップに全力を尽くす意気込みだ。
初日14番手と大きく出遅れたデ・ピュニエが、2日目のフリー走行で11番手、予選ではさらに8番手へと着実にタイムとポジションを上げた。しかし、高速区間からの減速に課題を抱え、フラストレーションのたまる走りとなった。8番手までポジションを上げるのが精一杯だったデ・ピュニエは、エリアス同様、決勝前のウオームアップで最後の調整に挑む。
初日12番手のデ・アンジェリスは、予選10番とポジションでは大きく前進することはできなかったが、大きな手応えを得た。今大会も2列目以降は大接戦となり、4番手のケーシー・ストーナー(ドゥカティ)から12番手のミカ・カリオ(ドゥカティ)までが1秒差と接近戦となっている。その混戦の中で、デ・アンジェリスは、レースタイヤでのアベレージを上げることに成功。追い上げのレースに自信を見せた。
一方、初日5番手のドヴィツィオーゾは、この日も順調にセットアップを進めたが、予選のアタックでタイムを出せず、11番手へと大きく後退した。しかし、レースタイヤのアベレージではトップ5に入る好走を見せているだけに、後方からの追い上げに期待される。
250ccクラスは、タイトルに王手をかける青山博一(Scot Racing Team 250cc)が2日目連続でトップタイム。今季2回目のPPを獲得した。今大会は、自力でタイトル決定とはならないが、タイトルを争うマルコ・シモンセリ(ジレラ)、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)の結果次第ではタイトルが決まる。それだけに、明日の決勝は、大きな注目を集めることになる。
以下、ジュール・クルーゼル、マイク・ディ・ミリオ、バルベラ、バウティスタとアプリリア勢が続き、初日3番手と好調なスタートを切ったラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)が、今季ベストグリッドとなる6番手につけた。そして、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)7番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)10番手と、Honda勢4台がトップ10に名前を連ねた。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は、快調にラップを刻んでシングルを狙える走りを見せたが、転倒を喫して16番手。青山周平(Racing Team Germany)は、車体のセッティングが決まらず19番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 2:00.518 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.569 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.736 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.937 |
5 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.198 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.400 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.462 |
8 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.580 |
9 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.677 |
10 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.756 |
11 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.844 |
12 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.917 |
13 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +2.341 |
14 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.514 |
15 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.570 |
16 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +3.010 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.356 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 4 | 青山博一 | Honda | 2:06.767 |
2 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +0.332 |
3 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.465 |
4 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.534 |
5 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.604 |
6 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.895 |
7 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.061 |
8 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.149 |
9 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +1.182 |
10 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.186 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.381 |
19 | 73 | 青山周平 | Honda | +2.887 |
22 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +5.404 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 93 | M.マルケス | KTM | 2:13.756 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.055 |
3 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.453 |
4 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.475 |
5 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.647 |
6 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +0.930 |
7 | 6 | J.オリベ | デルビ | +1.060 |
8 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +1.164 |
9 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.219 |
10 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +1.236 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「どのレースもそうだが、今回もフロントローに並べてよかった。決勝に向けてバイクの状態はいいが、できることなら、もう少しセッティングを進めたい。今日はレースタイヤのアベレージはよかったが、ソフトタイヤでのアタックがうまくいかなかった。ミスをしたし、渋滞にぶつかって、いくらか集中力も失った。明日は厳しいレースになると思うが、勝利を目指してベストを尽くしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 6番手)
「今回はリズムよく走れたし、2列目に並ぶことができた。しかし、トップグループに加わるにはもう少しペースを改善したい。今回はリアのトラクションをよくするために全力を尽くした。まだ完全ではないし、改善しなければいけない部分もある。明日のウオームアップでさらにセットアップに集中したい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 8番手)
「昨日から今日にかけて、バイクのセットアップに全力を尽くした。今年になって最も難しいレースウイークだった。午後の予選になって、やっとペースを上げることができたが、今回はこのグリッドが精一杯だった。路面温度が高く、リアのグリップ不足を感じた。ハイスピード区間からの減速もうまくいかなかった。徐々によくなってきたが、ウオームアップでさらにいい状態を見つけたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 10番手)
「今日の結果には満足している。というのも、昨日は予想もしていなかったほど、タイムで後れを取ってしまっていたが、今日はそれを大きく縮めることができた。今回はすごい接戦だったし、2列目に並んだチームメートとわずか0.2秒しか離れていない。明日のレースは、総合7位をキープするために全力を尽くしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 11番手)
「フリー走行は5番手だったのに、今回は4列目からのスタートになってしまった。予選の結果には本当にがっかりしている。しかし、レースタイヤでのペースは悪くないし、午後の予選でもラップタイムを改善することができた。しかし、ソフトタイヤでのアタックがうまくいかず、ポジションを落としてしまった。明日は厳しいレースになることは間違いないが、レースタイヤではリズムよく走れているし、あきらめずに全力を尽くしたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「コース中盤のT3で大きくタイムをロス。それを最後まで解決できなかった。データを分析して決勝までにセッティングを見い出し、ベストを尽くしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニは、フロントローに並ぶという目標は果たしたが、決して、順調なセッションではなかった。もし、クリアラップが取れていたら、今日はPPを取れていたと思う。もう少し、レースペースも上げる必要はあるが、優勝争いに加われる状態はできたと思う。ドヴィツィオーゾは、順調にセットアップが進んでいたが、アタックがうまくいかず、4列目からレースに挑むことになった。厳しいグリッドからのレースになるが、ペースは悪くないし、追い上げのレースに期待したい」
青山博一(250cc ポールポジション)
「バイクの状態はまずまずだと思う。今日も決勝に向けてセットアップを続けたが、最終的にかなりよくなった。明日のレースはすごく大事な戦いになるが、気合を入れすぎないよう、今日と同じような感じで走りたい。開幕前にも言ったけれど、とにかく、明日はチャンピオン争いを意識せず、思いきり走りたい。日本から大勢のファンが来てくれているので、表彰台に立って、よかったと言ってもらえるようなレースにしたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 6番手)
「午前中のフリー走行では、昨日のタイムを更新できず、6番手にポジションを落としてしまったが、予選では6番手をキープすることができてよかった。明日の決勝では、いいスタートを切ってトップグループで戦いたい。タイから応援に来てくれるファンのためにもいいレースをしたい。6番手は今年のベストグリッド。今日の結果はとてもうれしい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 7番手)
「フリー走行でニュータイヤを2セット使ってみたが、リアサスペンションを硬くしたことでセッティングがとてもよくなったことを感じた。しかし、セッション終盤に高速の右コーナーで転び、右腕を痛めてしまった。バイクのダメージも大きかったが、予選に向けてスタッフが懸命に働いてくれたおかげで、とてもいいフィーリングで予選を走ることができた。2列目に並べて、まずは目標達成。決勝ではベストを尽くしたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 10番手)
「アタックがうまくいかず、10番手に終わってしまったが、バイクの状態はよく、タイヤの選択も決まった。前回オーストラリアで表彰台に立ったときに、マレーシアもうまくいくだろうかと不安になったが、明日はいいレースができるという自信ができた」
富沢祥也(250cc 16番手)
「中盤までは順調だったのだが、アブラハムを抜こうとしたときに接触しそうになり、それを避けるためにラインを変えたことでフロントが巻き込んでしまった。転ぶまでは10番手前後だったと思うのだが、最終的に16番手までポジションを落とした。区間ベストをつなげれば8番手タイムだったので悔しい。しかし、初めてのサーキットとしてはいい走りができた。転倒しなければもっとよかったと思う。チームに申し訳ない気持ちだが、明日の決勝でいい結果を残したい」
青山周平(250cc 19番手)
「昨日から抱えているリアのトラクション不足が今日も解決せず、そのセッティングで一日が終わった感じがする。とにかくリアの接地感が上がらず、コーナーの立ち上がりでアクセルが開けにくかった。おまけに、キャブレターのセッティングも決まらず乗りにくかった。原因はフィリップアイランドで使ったショートスイングアームにあるのかも知れないので、明日のウオームアップはスタンダードに戻して走ってみたい。グリッドが悪いけれど、追い上げのレースにしたい」