前戦オーストラリアGPからの2連戦となった第16戦マレーシアGP1日目は、最高気温が37℃まで上昇する暑さとなった。MotoGPクラスのフリー走行がスタートした午後2時過ぎには、雲の多い空模様となり、最高気温は31℃まで下がった。しかし、前戦オーストラリアGPはウイークを通じて15℃前後と寒い天候が続いただけに、選手たちは暑さとの戦いを強いられた。
トップタイムをマークしたのは、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。2番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。3番手にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)。4番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、5番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)と続いた。ここまでがトップから1秒差以内。以下、7番手にトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)。12番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)。14番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)。 16番手にガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)という結果だった。
3番手スタートを切ったペドロサは、通常通り、バイクの確認とベースのセッティングに集中した。セパンはウインターテストで十分に走り込んでいるため、作業は順調に進んだ。ウインターテストと決定的に違うのは、気温と湿度。ライダーはもちろんのこと、タイヤにも厳しいコンディションとなるため、セットアップが重要になる。この日は、トップタイムをマークしたロレンソから0.578秒差の3番手だったが、2日目の予選では4戦ぶり今季3回目のポールポジション獲得に挑む。
この数戦、サスペンションのセッティングに集中していたドヴィツィオーゾが、得意とするセパンで5番手につけた。順位だけ見れば単純に喜べる数字ではないが、この数戦、思うようにセットアップが進まなかっただけに、手応えのある一日となった。昨年はMotoGP初表彰台に立った得意のサーキットだけに、これまでになくモチベーションは高まっている。
オーストラリアGPでリアのトラクション不足に苦しんで予選11番手、決勝10位と苦戦したエリアスがトップから1.114秒差の7番手につけた。開幕前に予想していた通り、データが豊富なこのサーキットでは、リアのトラクション不足も解消し、走り出しから好調だった。2日目はさらなるタイム短縮とポジションアップを狙う。そのエリアスとともに順調にタイムを上げていたデ・アンジェリスは、違うセッティングにもトライしたことで12番手に終わったが、2日目のばん回に自信を見せた。デ・ピュニエは、ブレーキングとコーナリングに苦しんで14番手と出遅れたが、2日目は万全の状態に仕上げる意気込みだ。
250ccクラスは、タイトル王手の青山博一(Scot Racing Team 250cc)がトップタイムと順調なスタートを切った。この日は、セッション中盤までエンジンのセッティングに苦しみ、車体の状態も完ぺきにならなかった。しかし、過去2年表彰台に立ってきた青山博一は、タイトルを争うライバルに先行。今大会は今季4勝目を狙う。隣国タイ出身のラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は3番手。事実上のホームGPとなるセパンで快走を披露した。前戦オーストラリアGPで初表彰台に立ったラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)は9番手。ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)12番手、青山周平(Racing Team Germany)16番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は18番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 2:02.180 |
2 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.064 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.578 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.684 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.962 |
6 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.073 |
7 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.114 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.246 |
9 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.559 |
10 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.583 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.605 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.862 |
13 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.094 |
14 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.484 |
15 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +3.038 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.109 |
17 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +3.156 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 4 | 青山博一 | Honda | 2:07.875 |
2 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.013 |
3 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.052 |
4 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.098 |
5 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.284 |
6 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.410 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.888 |
8 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +0.977 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.245 |
10 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.262 |
12 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.334 |
16 | 73 | 青山周平 | Honda | +1.983 |
18 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.197 |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +5.044 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 2:14.895 |
2 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.200 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.306 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.625 |
5 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +0.851 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.858 |
7 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.946 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +1.231 |
9 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.291 |
10 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +1.411 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「今日は決勝に向けて、ベースセッティングが決まったし、いいスタートが切れた。予想通り、すごく暑い一日となり、少しだけ暑さに順応することができた。決勝までには完全に暑さになれることができると思う。今日は路面が汚れていて滑りやすかった。しかし、セパンの初日はいつもこんな感じだし、決勝日に向けてどんどんグリップが上がっていくと思う。このサーキットは、どのチームもテストしているので、初日からすごい接戦になっている。トップから0.5秒遅れているが、まだ改善できるポイントはあるし、心配はしていない。ブレーキングの安定性もよくしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「このサーキットは大好きだし、今日はとても気持ちよく乗ることができた。スタートからフィーリングはよかったし、セッションを通じてセットアップに全力を尽くした。セパンでもっとも大事なのは、決勝でタイヤのパフォーマンスをキープすること。このセッティングにも明日は取り組まなければならない。今日は暑さだけでなく湿度も高かった。おまけにエンジンの熱もライダーは受けるのでそれにも対処しなければならない。明日の予選は好グリッドを獲得して、トップグループでレースを戦えるようにしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 7番手)
「7番手といいスタートが切れた。このサーキットが好きだし、暑いのも嫌いではない。前戦フィリップアイランドに比べれば、タイヤのパフォーマンスもしっかりと発揮することができた。しかし、ここはタイヤのグリップをキープするのが厳しいサーキットなので、それを助けるセッティングに集中しなければならない。とにかく、いい状態で今大会を始めることができた」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「両選手ともに大きな混乱もなく、初日のフリー走行を終えることができた。トップとのタイム差はあるが、悪くないスタートだった。前戦オーストラリアが終わった後、両選手、そしてスタッフを交えて、今大会への取り組みの方法を話し合った。そのミーティングが生きる一日だった。今回はマシンに大きな仕様変更もなく、決勝に向けてシミュレーションしながら、勝てるバイクに仕上げていきたい。前戦オーストラリアでは、両選手ともに体調に問題を抱えていたが、今回はコンディションもいいので不安要素もない。ここからの残り2戦。ベストリザルトとなる勝利を狙っていきたい」
青山博一(250cc 1番手)
「厳しいスタートだった。今日はセッション中盤までエンジンのセッティングに戸惑い、タイヤのグリップもいまいちよくなくて、タイムを伸ばせなかった。明日は、今日の課題を早急に解決して、万全の状態にしたい。思うようにタイムは伸びなかったが、セッションを通じて、単独で走ることが多かった。それでトップタイムを出せた点はよかったと思う。今日はトップタイムだったけれど、内容としては、それほど喜べるものではない。明日は安定したタイムを出せるようにしなければならない」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 3番手)
「シーズンを通じてバイクの状態はいいが、今回は一段と調子がよかった。コーナリングもスムーズで、立ち上がりでもいい感じでアクセルを開けられた。今日は調子がよかったこともあって、セッション序盤にタイヤのいい部分を使い切ってしまったが、タイヤを交換しないで周回を重ねた。3番手だがトップとの差もほとんどなくて、大きな自信になった。気温と路面温度が高く、タイヤの消耗が激しいので、タイヤを温存できるようなセッティングにしなければならない」
青山周平(250cc 16番手)
「今日は気温が高くてエンジンに厳しかった。水温が高かったことで中速から高速域でエンジンの伸びもなかった。カウルに穴を開けるなど、暑さ対策をして挑んだ。今日は車体のセットアップも決まらず、リアのグリップ不足に苦しんだ。今日の時点では、なかなかタイムの稼ぎどころがなく辛かったが、明日はいい状態になるようにチーム全員でベストを尽くしたい」
富沢祥也(250cc 18番手)
「1時間のセッションを必死に走った。フィリップアイランドは難しいサーキットだったが、ここは走りやすくておもしろかった。初日としてはかなりコースに慣れることができた。いろんなライダーについていって、少しずつ攻略することもできた。あと2秒は短縮しなければならないし、それを果たすためにどうすればいいのか考えている」