第14戦ポルトガルGPのフリー走行は終日、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われ、最高気温も25℃まで上昇。エストリル特有の強風もなく、選手たちは順調にセットアップを進めた。
初日トップタイムをマークしたのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。そして、ポルトガルGP初優勝を狙うダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が2番手につけた。以下、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)と続き、6番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、7番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)、9番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)と、トップ10内にHonda勢4台が名前を連ねた。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は14番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は15番手だった。
トップから0.359秒差の2番手。通常通り、マシンの確認とセットアップで初日フリー走行を終えたペドロサは、走り出しから好調だった。周回数でも、トップタイムのロレンソらと並ぶ、最多の27ラップを刻み、今大会のマシンの仕上がりのよさを感じさせた。シーズン中盤戦に入って、常にPP争いをしているペドロサ。今大会は、第12戦インディアナポリスGP以来2戦ぶり、今季3回目のPPと今季2勝目への期待が膨らむ。
前戦サンマリノGPからサスペンションをオーリンズに変えたドヴィツィオーゾは、この日は、サスペンションのセッティングに集中、着実にタイムを上げた。エストリルは路面が荒れているため、セットアップが難しい。オーリンズのサスペンションで初めてエストリルに挑んだドヴィツィオーゾは、トップから約1秒差の6番手に終わったが、大きな手応えをつかむ一日となった。エストリルは、ドヴィツィオーゾがシーズンを通じて最も得意とするサーキット。セットアップが進む2日目は、ペドロサとともにPPを狙う意気込みだ。
3週間のインターバルで、左足首の骨折が順調に回復したデ・ピュニエは、セッション開始から力強い走りを見せた。過去3戦、左足首骨折の影響で、完ぺきな走りにはほど遠かった。特に左コーナーは足への負担が大きく、歯がゆい思いをしてきた。しかし、順調に足が回復し、エストリルは右コーナーが多いことも追い風となり、リズムある走りを披露。終盤の4戦で、常にトップ8を目指すという目標をクリアすることに成功した。
デ・アンジェリスは、2日前に風邪を引いて体調を崩しているが、バイクの状態がよく、9番手と健闘した。タルマクシは14番手、06年に優勝、今季2回目の表彰台を狙うエリアスは、リアのグリップに苦しんで15番手だった。
250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がトップタイムをマーク。Honda勢は、このサーキットを得意とするヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)が7番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)が8番手と、まずまずのスタートを切った。現在総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、思うようにセッティングが決まらず10番手。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)11番手、今大会から終盤の4戦に出場することになった青山周平(Racing Team Germany)16番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)17番手だった。
青山博一は、新品のエンジンで初日のフリー走行に挑み、エンジンの慣らしなど、バイクの確認で一日を終えた。車体のセッティングが決まらず、思いきり攻められなかったこともあり、不完全燃焼の10番手に終わった。しかし、2日目に向けてセットアップの方向性が見つかり、予選でのポジションばん回に期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:37.185 |
2 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.359 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.421 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.781 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.918 |
6 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.059 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.200 |
8 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.406 |
9 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.444 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.476 |
11 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.665 |
12 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.793 |
13 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1.848 |
14 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.208 |
15 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.382 |
16 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.501 |
17 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.572 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:40.777 |
2 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.550 |
3 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.706 |
4 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.944 |
5 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.952 |
6 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.973 |
7 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.003 |
8 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.113 |
9 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.327 |
10 | 4 | 青山博一 | Honda | +1.358 |
11 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.569 |
16 | 73 | 青山周平 | Honda | +3.496 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.710 |
18 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.094 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:45.880 |
2 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.078 |
3 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.168 |
4 | 93 | M.マルケス | KTM | +1.251 |
5 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +1.268 |
6 | 18 | N.テロール | アプリリア | +1.289 |
7 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.547 |
8 | 6 | J.オリベ | デルビ | +1.793 |
9 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.866 |
10 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +1.955 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「走り出しからバイクの状態もよく、気持ちよく乗ることができた。例年、ポルトガルGPは気温も低く路面のグリップがあまりよくないのだが、今日は路面温度も高く、ブリヂストンタイヤもよく機能していた。アベレージもよくて、初日のセッションとしてはとても満足している。エストリルは相変わらずバンピーなコースだが、それほど大きな問題ではない。スローコーナーとストレートエンドがパッシングポイントになるし、アドバンテージを築くためにも、ブレーキがとても重要になる。明日はセットアップをさらにつめて、この部分を改善したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 6番手)
「3週間の休養のあととしては、いいスタートだったと思う。本来の走りを取り戻すのにちょっとだけ時間がかかったけれど、初日のセッションを終えて、今回はいいレースができることを確信した。今日はリアのグリップにやや苦しんだ。そのためにベストタイムを刻めなかったが、それを改善するために集中した。スローコーナーはバンピーなので、リアのセッティングを決めるのが難しかった。明日のフリーと予選で、トップグループのライダーたちとの差を縮めたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 7番手)
「すごくいいスタートになった。リアのグリップに課題があって、手探りな部分はあったけれど、走り出しから気持ちよく乗れた。この問題は路面コンディションが影響しているようで、みんな同様の症状を訴えていた。セットアップは順調に進んだし、路面のグリップもラップを重ねるごとに上がり、いいリズムで乗ることができた。左足首は100%ではなく、走り終えたときに腫れが出たが、久しぶりに普通に足を動かせた」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「前回のサンマリノGPから3週間のインターバルとなったが、その間もライバルたちとの差を縮めるために全力を尽くした。初日のセッションとしては、まずまずのスタートだったと思う。ダニは2番手だったが、トップと肉薄している。ドヴィツィオーゾもバイクのセットアップに集中して、多くのデータを得ることができた。エストリルは路面が荒れているので、ベストなセッティングを見つけるのに時間がかかるが、この問題を解決して、明日はさらに前進したい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 7番手)
「最初のセッションから気持ちよく乗れている。バイクの状態はよく、とりあえずの目標だったトップ8で初日を終えることができた。最初はリアのグリップに問題を抱えていたが、新品のタイヤじゃなかったことも関係している。セッション中にいくつかのセッティングにトライ、タイムを上げることができた。いいスタートが切れたし、日曜日の決勝に向けて大きな自信になった」
青山博一(250cc 10番手)
「今回はエンジンを新品にして初日のセッションに挑んだが、車体もエンジンもフィーリングは完ぺきではなかった。何回もオーバーランしたし、うまくバイクをコントロールできなかった。明日に向けて課題は、はっきりしている。タイムをつめられるポイントも多い。2月のテストのときと天候などの条件は違うけれど、そのときのデータも生かせるはずだ。今日は最後まで思いきり攻められなかったが、いいレースができるようにセットアップに集中したい」
青山周平(250cc 16番手)
「テストなしで今大会を迎えたので、今日はやることがたくさんあった。ポジション合わせに始まって、いろいろなことを確認しながら周回を重ねた。Honda Racing スカラーシップのころに乗っていたRS250RWとは、エンジンも車体もフィーリングがずいぶん違っていて、最初はとまどった。そんな状態だったが、初日16番手で終われてよかった。今回の目標はトップから2秒以内に入ること。今日は3.5秒も離されているので、明日はその差を縮めたい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「思ったよりも難しいサーキットだった。今日はエンジンの慣らしをして、コースを覚えることに集中した。序盤の30分をコースに慣れることに重点を置き、後半になって徐々にペースを上げていった。明日はコースを攻略できるようにがんばりたい」