チェコGPの予選は、終日、青空が広がる絶好のコンディションとなり、最高気温も27℃まで上昇、サーキットにつめかけたファンにとっても最高の一日となった。PPを獲得したのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。この2人とPP争いを繰り広げたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が3番手。PPこそ逃したが、前戦イギリスGPから2戦連続のフロントローを獲得した。4番手にはトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)で今季ベストグリッド。5番手にコーリン・エドワーズ(ヤマハ)、6番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、7番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)と、トップ10に4台のHonda勢が名を連ねた。以下、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)13番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は17番手だった。
前半戦のケガから解放されたペドロサが、後半戦のスタートとなるチェコGPでフロントローを獲得した。フリー走行では、トップタイムをマークしたロレンソから、わずか0.131秒差の2番手。予選でも快調にラップを刻み3番手につけた。セッション終盤には、クリアラップが取れずに不完全燃焼のアタックとなったが、本来の走りに近づいていることを感じさせるハイアベレージのラップを刻んだ。昨年はタイヤのパフォーマンスの差で悔しいレースとなったが、今年は十分に優勝争いに加われる状態に仕上がった。「今回は優勝争いに加わりたい」と、第8戦アメリカGPに続く、今季2勝目に闘志を燃やす。
この数戦、上り調子をアピールしていたエリアスが4番手と、今季ベストグリッドを獲得した。前戦イギリスGPでは転倒を喫するまで一時トップを快走。今大会は初日から好調で、予選では一気に4番手に浮上した。昨年の大会では2位表彰台に立っている。「ブルノは大好きなサーキット」と語るだけに、今季初表彰台の期待が膨らむ。
前戦イギリスGPで今季初優勝を達成したドヴィツィオーゾが6番手につけた。初日のフリー走行では5番手。予選ではポジションを落とすことになったが、初日から大幅にセットアップを進めることに成功。決勝での追い上げに期待が膨らんでいる。前戦でも予選5番手から優勝を果たした。今大会もセッションを追うごとにアベレージを上げた。「優勝争いに加わるにはもう少しアベレージを上げたい」と、ウオームアップで最後の調整に挑むが、このセッションでセッティングが決まれば、2戦連続優勝が期待される。
前戦イギリスGPで今季ベストリザルトの4位になったデ・アンジェリスも7番手と好調な走りを見せた。今大会はセットアップに苦しんでいたが、予選セッション終盤にセッティングが決まり、一気にペースを上げることに成功した。第9戦ドイツGPで5位。第10戦イギリスGPで4位と確実に順位を上げているデ・アンジェリスだが、今大会は表彰台が期待される。
大会前に左足首を骨折したデ・ピュニエは、完ぺきな走りにはほど遠かったが、13番手につける熱走を見せた。決勝は厳しい戦いが予想されるが、ポイント獲得を目標に全力を尽くす意気込みだ。隣国ハンガリーからの応援団の声援を受けるタルマクシは、大接戦の中で17番手。「もう少し上のグリッドが獲得できた」と悔しさをにじませるだけに、追い上げのレースに期待される。
250ccクラスは、マルコ・シモンセリ(ジレラ)がPPを獲得。初日2番手の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、この日もPP争いを繰り広げて2番手につけた。初日は車体のセットアップに課題を残したが、2日目は、車体、エンジンともに順調にセッティングが進んだ。今大会は、PPのシモンセリから1秒差以内に7台という接戦。総合首位に立つ青山博一が、「PPは取れなかったが、最高の2番手」と、大接戦の中で2連勝を狙う。以下、Honda勢は、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)が9番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG) 11番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)12番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は16番手から追い上げのレースに挑む。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:56.145 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.050 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.383 |
4 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +0.672 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.809 |
6 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.963 |
7 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.630 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.658 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.666 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.849 |
11 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.942 |
12 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.063 |
13 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.153 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +2.186 |
15 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.332 |
16 | 84 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | +2.535 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.604 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 2:01.611 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.350 |
3 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.453 |
4 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.775 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.815 |
6 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +0.932 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.950 |
8 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.137 |
9 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.157 |
10 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.200 |
11 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.288 |
12 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.310 |
16 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.340 |
20 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.960 |
21 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.477 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | 2:08.171 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.313 |
3 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.336 |
4 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.371 |
5 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.786 |
6 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.013 |
7 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.069 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +1.247 |
9 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.263 |
10 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +1.291 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「予選ではフロントローに並ぶことが最大の目標なので、今日の結果には満足している。しかし、セッション終盤は渋滞がひどく、クリアラップを取るのに2ラップを無駄にしてしまい残念だった。正直、もっとタイムを出せたと思う。明日のウオームアップでは、もう少しアベレージを上げられるようにセッティングに取り組みたい。ブルノは好きなサーキット。明日はいいスタートを切って優勝争いをしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 4番手)
「今回はすべてのセッションでトップ6にいた。予選では4番手になれたし、これ以上の結果はない。今日は、昨日の問題を解消するために全力を尽くした。走り始めからいい感じで走れたし、トップグループの選手たちについていくこともできた。タイムも接近しているのが何よりもうれしい。過去2戦、ザクセンリンクとドニントンパークは、あまり好きなサーキットではなかったが、ブルノは大好きなコース。明日はいいレースができると信じている」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 6番手)
「予選は6番手だったが、昨日から今日にかけてセットアップは進んだ。予選でも、セッション中に0.4秒アベレージを上げることができた。優勝争いに加わるには、さらにペースを上げなくてはいけない。明日のウオームアップで、さらにセットアップを見直したい。タイヤのチョイスは決まった。ハードタイヤは多少合わない部分はあるが、ハードタイヤがベストだと思う。明日のウオームアップでさらにいい状態に仕上げて決勝に挑みたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 7番手)
「7番グリッドを獲得できて、本当にうれしい。今日はアンダーステアに苦しんでいたが、セッション終盤に劇的によくなり、タイムを上げることができた。フィーリングもよかったし気持ちよく走ることができた。どのサーキットでも、トップ8、トップ10に入れればハッピーだが、今日は7番手だからね、言うことはない。明日はしっかりとポイントを獲得したい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 13番手)
「足をケガしているので厳しい状態だが、今日の自分のパフォーマンスには満足している。歩くときは松葉杖が必要だが、明日のレースはベストを尽くすだけだ。チームは、ケガをしている自分のために、本当に全力を尽くしてくれている。今日は、バイクに乗るための足の動きは昨日よりよくなっているが、すごく痛かった。今日の自分のペースには満足しているし、日を追うごとに着実にステップを刻めている。22ラップの決勝レースで、今日のペースをキープするのはとても厳しいが、とにかくポイントを獲得できるようにがんばりたい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 17番手)
「もう少しいいグリッドを期待していたが、リアのグリップに苦しんで思うようにタイムを上げられなかった。アクセルを開けるとラインがワイドになってしまい、タイムをロスしていた。しかし、自分のタイムから1秒差に8人のライダーがいる大接戦だった。この問題を解決できれば、もっと速く走ることができると思うし、明日のウオームアップで違うセッティングにトライしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ダニが1列目、ドヴィツィオーゾが2列目を確保したことで、明日の決勝レースが楽しみになった。両選手ともに、明日のウオームアップに向けて、試したいことがあるし、それがうまくいけば十分に優勝争いに加われると思っている。金曜日、土曜日と天候に恵まれたこともあり、予定通りにメニューを消化することができた。前にいるヤマハ勢とのギャップはまだまだあるが、明日のウオームアップで最後の調整をして、決勝では優勝を目指したい」
青山博一(250cc 2番手)
「セッション終盤にトップに立てたときに、今日こそPPを取れると思った。しかし、シモンセリが最後にベストを出して2番手に終わってしまった。でも、今日は内容もよかったし、いい2番手だと思う。バイクの状態は決して完ぺきではないが、できることはすべてやったし、納得のいく2日間だった。明日は、アプリリア勢を相手に厳しい戦いになると思うが、タイヤのチョイスも決まったし、あとはやれることをやるだけ。今日はロングランができなかったことが唯一の不安要素だが、いいレースをしたい」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 9番手)
「昨日はタイヤに問題を抱えていて、思ったようなペースで走れなかった。しかし、今日は問題も解決して気持ちよく走ることができた。コーナーの進入もスムーズになり、セットアップも進んだ。明日はいいスタートを切って、ひとつでも上のポジションでフィニッシュしたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 11番手)
「昨日から今日にかけてバイクの状態はすごくよくなったし、気持ちよく乗ることができた。明日のウオームアップは、決勝に向けて細かな調整をするだけ。今日はセッション終盤に、もっとタイムを出せたと思うが、クリアラップが取れずタイムを短縮できなかったのは残念だった。それがなければトップ8を狙えたと思う。明日はいいスタートを切って、前のグループでレースをしたい」
ラタパーク・ウィライロー(250cc 12番手)
「セッション序盤に、アクセレーションに問題を抱えて時間をロスしたが、その後は順調にセットアップをすることができた。下りのストレートではトップスピードを伸ばすことができたし、ラップタイムの短縮に役立った。セッション終盤にポジションを落としたのが残念だが、決勝では、いい走りができると思う。とにかく、いい結果を残したい」
富沢祥也(250cc 16番手)
「予選では、フリー走行でマークした2分3秒7を目標にしたが、3秒9しか出せなかった。フリー走行では速い選手にうまくついて出せたタイムだったが、それを単独で出せるようにしたかった。ここはコース幅が広く、どのラインでも走れるが、ライン取りが悪いとタイヤの消耗が激しかった。この2日間ではベストなラインを見つけることができなかった。決勝では速いグループについていって、コースを攻略したい」