後半戦のスタートとなったチェコGPのフリー走行は、午後になって雲の多い天候となったが、気温22℃とまずまずのコンディションで行われた。トップタイムをマークしたのはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。2番手にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。そして3番手にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)。以下、4番手にコーリン・エドワーズ(ヤマハ)、5番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)、6番手にトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)、8番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)と続き、トップ10に4台のHonda勢が名前を連ねた。また、この日行われた鈴木哲夫HRC(株式会社ホンダ・レーシング)代表取締役社長の会見で、ペドロサ、ドヴィツィオーゾ両選手と、2年間の契約延長で基本合意に達したことが発表された。
初日3番手につけたペドロサは、後半戦最初のセッションで元気いっぱいの走りを見せた。今大会は、シーズン前半戦に痛めた大たい骨が、ほぼ完治。サマーブレイク中のトレーニングも通常のメニューをこなせたことで、今季ベストの体調で初日の走行に挑んだ。いつも通り、徐々にペースを上げていったペドロサは、ベースのセットアップを確認しながら、さらに、新しいスイングアームのテストも行った。上位につけたヤマハ勢の2人にはやや後れを取ったが、セッティングの方向性も決まり、2日目に向けて手応えを感じていた。ブルノでは過去、125cc、250ccで優勝している。最高峰クラスでは、これまで3位が最高位だが、今年は3クラス制覇に向けて、大きな期待が膨らむ。
前戦イギリスGPで初優勝を達成したドヴィツィオーゾも、気合の入った表情で後半戦のスタートを切った。ペドロサ同様、この日はベースのセッティングの確認を行い、ブレーキング時の安定性の改善に取り組んだ。2日目の走行ではペドロサ同様に新しいスイングアームのテストを行う予定で、2日目のタイム短縮に闘志満々。ペドロサとともにフロントローを狙う構えだ。
前戦イギリスでは転倒するも、序盤にはトップを走ったエリアスは、6番手につけた。セッション序盤は電気系のセットアップに時間を取られたが、中盤以降は快調にラップを刻んだ。イギリスで4位と今季ベストリザルトを刻んだデ・アンジェリスも好調なスタートを切り8番手。セッション終盤に転倒を喫したが、2日目のタイム短縮とポジションアップに自信をみなぎらせていた。
以下、サマーブレイク中に左足首を骨折し、痛みを押して出場したランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は14番手。隣国ハンガリーから駆けつけた大勢のファンの声援を受けたガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は16番手だった。
250cc クラスは、総合首位でシーズンを折り返した青山博一(Scot Racing Team 250cc)が、好調なスタートを切った。この日は、路面のコンディションがあまりよくなく、グリップに悩んだ一日となったが、トップタイムをマークしたヘクトール・バルベラ(アプリリア)からわずか0.140秒差の2番手。2日目の予選では、今季初PPを狙う。以下Honda勢は、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)11番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)12番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)13番手と続き、ルーキーの富沢祥也(CIP Moto-GP250)は17番手。トップ10を逃したHonda勢の2日目の巻き返しが注目される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:56.595 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.399 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.989 |
4 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.146 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.577 |
6 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.700 |
7 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.707 |
8 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.902 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.987 |
10 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.144 |
11 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +2.169 |
12 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.226 |
13 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.446 |
14 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.460 |
15 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.936 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.384 |
17 | 84 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | +3.828 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 2:02.371 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.140 |
3 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.754 |
4 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.759 |
5 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +1.056 |
6 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.115 |
7 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.157 |
8 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +1.217 |
9 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.540 |
10 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.552 |
11 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.723 |
12 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.793 |
13 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +2.014 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.336 |
18 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.168 |
19 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +5.294 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 2:09.211 |
2 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.113 |
3 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.198 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.299 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.407 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.523 |
7 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.008 |
8 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.094 |
9 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +1.134 |
10 | 45 | S.レディング | アプリリア | +1.190 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「今日はとても気持ちよく乗れた。休み明けの最初の走行としては、とてもよかった。今年は、ときどき金曜日の走行でつまずくことがあったが、今日は順調でいいスタートが切れたことがうれしい。まだ、前の2人とのタイム差があるので、明日はそれを縮めなくてはいけない。今日は、新しいスイングアームを試した。まだ基本的なセッティングにトライしただけだが、明日はさらにセットアップを進めたい。今日は順調な一日だった」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「前回のイギリスで優勝したことで楽しい夏休みになった。今大会は最高の気分でスタートすることができた。だからといって有頂天になってはいない。ドライコンディションでも前回のようなパフォーマンスを発揮できるようにしなければならないし、セットアップに集中した。今日はブレーキング時の安定性に取り組んだ。さらにセットアップを進めなくてはいけない。明日は新しいスイングアームにトライしたい。また、トップとの差を縮めなければならない。バイクの状態もよくなると確信している」
トニー・エリアス(MotoGP 6番手)
「前回のドニントンとはサーキットのレイアウトがまるで違うので、セッション序盤は電気制御のセッティングに集中した。それに時間をかなり割いてしまったが、最終的にいい方向に向かった。今日はタイヤのテストをこなし、データを収集することができた。ブルノはユニークなレイアウトで、求められるものも独特だが、どうすればいいのか分かっている。ここはタイム差の開くコースだが、今抱えている問題を解決できれば、その差を縮めることができると思う」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 8番手)
「今日はセッション序盤から快調にラップを刻めた。順調なスタートが切れたのだが、タルマクシを追い越そうとして転んでしまった。ここは高速コーナーが多く、リズムある走りが求められる。ライダーの力が試されるコースだ。転んでしまったのは残念だが、ケガをしなかったのはよかった。バイクの状態がいいことにも満足している。明日はトップグループとのギャップを縮めたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「短いサマーブレイクだったが、両選手ともにリフレッシュして今大会を迎えてくれた。ダニはケガもほぼ完治して、表情もよく、ケガをする前の顔に戻ってきた。ドヴィツィオーゾも前戦イギリスで優勝しているので、いい表情をしている。今日は予定通り確認作業ができた。明日のフリー、予選に向けて改善しなければならないポイントも明確になった。今大会は天候の心配もないので、予定しているメニューを消化したい。今回はヤマハの2台が速いので、追いつけ追い越せという気持ちで挑む」
青山博一(250cc 2番手)
「もうちょっとでトップタイムを取れたし、もう少しタイムを縮めたかった。今日はコースコンディションがあまりよくなくて、全体的にグリップが低かった。最初は車体のセットアップに重点を置いていたが、途中から、タイヤのテストに切り替えた。今日のコンディションは、タイヤの摩耗も激しく、走り終わった後のタイヤも荒れていた。明日の走行では、その点にも注意してセットアップしていきたい」
富沢祥也(250cc 17番手)
「今日は転ばずに1時間の走行をこなそうと思っていた。とりあえず、予定通り、きっちりと走ることができた。ブルノはコース幅が広く、走っていて楽しかった。しかし、攻略するのが難しく、コースを細かく区切って走り込んでみた。まだまだコーナーの出口できちんとアクセルを開けられていないので、明日は開けるポイントを探っていきたい」