青空が広がったヘレス。第3戦スペインGPのフリー走行は、今季最高のコンディションの中で行われた。気温も26℃まで上昇。開幕から2戦は、不安定な天候に悩まされたグランプリだが、今大会は3日間を通じて晴れが予想され、選手たちの表情も明るかった。スペインGPはシーズンを通じて、最も観客を集める大会。この日、サーキットに詰めかけた大勢のファンも、ぐんぐん上がる気温の中で、レース前から早くもヒートアップしていた。
初日のフリー走行でトップタイムをマークしたのは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。以下、ロリス・カピロッシ(スズキ)、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。5番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が続いた。ここまでがトップから1秒差以内の接戦。以下、Honda勢は、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)7番手。ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)10番手。アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)13番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)15番手。高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)16番手だった。
開幕から2戦連続で5位のドヴィツィオーゾは、この日は順調にセットアップを進めた。ベストタイムこそ、トップのロッシから1秒近く遅れたが、安定したラップタイムを刻み、今季初表彰台への期待が膨らんだ。開幕戦カタール、第2戦日本GPと2戦連続で5位だったが、トップとの差は確実に縮めてきた。今大会では、さらに大きなステップを刻みたい。
7番手にはデ・ピュニエがつけた。この日は、3月下旬に行われた合同テストと、前戦日本GPのセッティングを比較しながらセットアップを進めた。その結果、3月のテストよりラップタイムが向上し、順調なスタートとなった。
その一方で、ペドロサはセットアップにつまずいて10番手に終わった。ウインターテストで痛めた左ヒザは依然として完調ではないが、前戦日本GPで3位と、身体の回復に合わせてリザルトも急上昇。スペインGP2連覇への期待が一気に高まった。それだけに、今日は残念な結果となったが、セットアップの方向性がクリアになったことで2日目以降のタイム短縮とポジションアップは必至。明日の予選に大きな注目が集まる。
デ・アンジェリス、エリアス、高橋のHonda勢は、思うようにセットアップを進めることができず、トップ10入りを果たせなかった。
250ccクラスは、アルバロ・バウティスタ(アプリリア)がトップタイムを記録。前戦日本GPで2位表彰台に立った青山博一(Scot Racing Team 250cc)が2番手。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)12番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)14番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)16番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)17番手だった。
好調なスタートを切った青山は、セッション終盤にバウティスタとし烈なトップ争いを繰り広げたが、わずか0.109秒およばなかった。しかし、安定したラップタイムを記録した青山は、今大会の優勝候補の一角。今季初PPと、今季初優勝が期待される。その他のHonda勢はトップ10入りを逃したが、チームの地元大会に闘志を燃やすウィライロー、地元ファンの声援を集めるファウベルなどの2日目のポジションアップが期待される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:39.647 |
2 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +0.364 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.621 |
4 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.794 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.954 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.056 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.219 |
8 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.416 |
9 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +1.535 |
10 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.561 |
11 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.814 |
12 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +1.884 |
13 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.910 |
14 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.937 |
15 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.089 |
16 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +2.251 |
17 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +2.269 |
18 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.416 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1:43.429 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.109 |
3 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +0.520 |
4 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.633 |
5 | 28 | G.タルマクシ | アプリリア | +0.849 |
6 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.939 |
7 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.956 |
8 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.969 |
9 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +1.037 |
10 | 6 | A.デボン | アプリリア | +1.203 |
12 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.489 |
14 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.709 |
16 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +1.886 |
17 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.156 |
22 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.732 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:47.385 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.304 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.666 |
4 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.231 |
5 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.337 |
6 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.683 |
7 | 45 | S.レディング | アプリリア | +1.746 |
8 | 6 | J.オリベ | デルビ | +1.788 |
9 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +1.844 |
10 | 99 | D.ウェッブ | アプリリア | +1.936 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「路面コンディションと天気は完ぺきだった。走り出しからまずまずのペースで走ることができた。今日は、いくつか新しいパーツのテストもこなせたし、順調だった。初日は45分間しか走行時間がなくて厳しいが、明日に向けてさらによくなる可能性を感じた。ポテンシャルを引き出すために、まだまだやらなければいけないが、今日の結果には満足している」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 10番手)
「ヨーロッパに戻り、最初のレースがヘレス。いい気分で初日を迎えることができた。まだ金曜日だというのに、今回もスペイン人選手の応援のために大勢のファンがかけつけてくれた。今日のフリー走行は、予定通りにセットアップが進まなかったが、方向性は見つけられた。明日はもっと速く走ることができると思う。ブリヂストンタイヤのフィーリングはよく、明日はセットアップに集中したい」
高橋裕紀(MotoGP 16番手)
「今日はブレーキに問題を抱え、思うようにペースを上げられなかった。いつもと同じようにブレーキをかけているのに止めることができず、自分のリズムで走れなかった。どうやら、いつもより厚いディスクを使ったことが原因だったようだ。明日はいつものディスクに戻して走りたい。今日は路面コンディションも天気もよくて、タイヤの選択はすぐに決まった。今日は16番手だったが、明日は1つでもポジションを上げたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ドヴィツィオーゾは、決勝に向けてセットアップを進めている段階。しかし、トップとの差が1秒弱あるので、明日はその差を埋める作業になる。いまのところ大きな問題はないが、まだライダーが納得する段階に来ていないのが現状だ。ダニは、新しいセットアップを試したが、完全に方向性を間違えてしまった。ダニには迷惑をかけてしまった。今日はトップから1.5秒遅れている。明日は、ドヴィツィオーゾ以上のステップを刻まなければいけない。天候もよさそうなので、明日は2台ともいい状態に仕上げたい」
青山博一(250cc 2番手)
「今日はトップタイムで終われると思った。最終ラップでベストを刻んだのだが、最後にシフトが入らずタイムロス。バウティスタに逆転されてしまった。しかし、今日はアプリリアと対等に走ることができた。3月のテストのときとコンディションが違うが、それで2番手というのは悪くない。2日目、決勝と、どれだけセットアップを進められるかにかかっている」
富沢祥也(250cc 17番手)
「もてぎでレースをした後なので、ついついコーナーで突っ込みすぎる走りになってしまった。セッション終盤は、それを修正できた。タイムも3月のテストより短縮することができた。今日はリア・サスペンションのセッティングが硬すぎて、タイムにつながっていない感じだった。明日は44秒台を目標にがんばりたい」