豪雨のために1日遅れで開催されたカタールGPのMotoGPクラス決勝は、PPからスタートしたケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が好スタートからトップを快走し優勝。2位バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3位にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)という結果だった。
Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が、予選4番手からスタート。オープニングラップで5番手に順位を下げたが、3周目にロレンソをかわし4番手。4周目にはロリス・カピロッシ(スズキ)を抜いて3番手に浮上し、ストーナーとロッシを追撃した。しかし、中盤になってペースを上げて追い上げてきたロレンソにかわされ4番手にダウン。終盤にはコーリン・エドワーズ(ヤマハ)にも抜かれ、5位でフィニッシュした。スタートからフィニッシュまで1分57秒台のアベレージを刻んだが、周囲のペースアップについていけない苦しい戦いだった。
その後方では、予選9番手からスタートしたアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が、周回を重ねるごとに確実にポジションを上げた。オープニングラップで11番手に後退したものの、2周目にマルコ・メランドリ(カワサキ)がコースアウトを喫し、10番手に浮上。4周目にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)をかわして9番手。8周目にカピロッシが転倒して8番手。11周目にはペースの上がらないダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、13周目にクリス・バーミューレン(スズキ)を抜き、6番手に浮上してそのままフィニッシュした。レース前には「今回は表彰台争いは難しいが、いいレースができそう」と語っていたが、その言葉通りのすばらしい追い上げだった。
9位にはトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)。予選12番手からオープニングラップで15番手へと大きくポジションを落としたが、必死の追い上げを見せた。今大会はマシンをベストな状態に持っていけず、苦しい走りだった。しかし、決勝では力のある走りを見せた。
以下、予選7番手のデ・ピュニエが10位でフィニッシュ。左ヒザが完治していないペドロサは、予選14番手から、序盤に7番手まで浮上する熱走を見せた。しかし、中盤からはペースをキープできず、最後は11位でフィニッシュした。
MotoGPルーキーの高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は、予選17番手から決勝に挑み、15位でフィニッシュ。初ポイントを獲得した。序盤は予選グリッドと同じ17番手。中盤にはニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)とし烈な12位争いを見せたが、後半はペースが上がらず15位に後退する苦しいレースとなった。しかし、レース後は「すごく勉強になった。この経験を次のもてぎにつなげたい」と苦しいレースを振り返った。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 42:53.984 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +7.771 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +16.244 |
4 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +24.410 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +27.263 |
6 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +29.883 |
7 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +33.627 |
8 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +34.755 |
9 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +39.481 |
10 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +42.284 |
11 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +48.526 |
12 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +48.883 |
13 | 59 | S.ジベルノー | ドゥカティ | +52.215 |
14 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +56.379 |
15 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | +1:00.286 |
16 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1:14.978 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +1:15.028 |
RT | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +15Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | C.ストーナー | ドゥカティ | 25 |
2 | V.ロッシ | ヤマハ | 20 |
3 | J.ロレンソ | ヤマハ | 16 |
4 | C.エドワーズ | ヤマハ | 13 |
5 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 11 |
6 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 10 |
7 | C.バーミューレン | スズキ | 9 |
8 | M.カリオ | ドゥカティ | 8 |
9 | トニー・エリアス | Honda | 7 |
10 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 6 |
11 | ダニ・ペドロサ | Honda | 5 |
12 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 4 |
13 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 3 |
14 | M.メランドリ | カワサキ | 2 |
15 | 高橋裕紀 | Honda | 1 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
1 | ドゥカティ | 25 |
2 | ヤマハ | 20 |
3 | Honda | 11 |
4 | スズキ | 9 |
5 | カワサキ | 2 |
コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5位)
「スタートから3周まではすごくいい感じだった。とにかくバレンティーノ(ロッシ)についていこうと思った。しかし、コーナーの進入とクリッピングで向きを変えられず苦しかった。そのために進入を遅らせ立ち上がり重視にしなければならなかった。フリー走行中にこういう問題はなかったし、マシンとタイヤのマッチングをよくしなければならない。今日は厳しい戦いだったが、レースの内容と結果には満足している。次のレースにつながったと思う」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 6位)
「スタートは決してよくなかったが、それからペースを上げることができた。落ち着いたレースもできたと思う。とにかく、1人でも多くのライダーを抜いて前に出ようとがんばった。今回は、レースウイークを通じて表彰台は無理だろうと思っていたし、そういう意味では、現状でベストな結果を残せたと思う。シーズンは始まったばかり。今回は難しいレースだったが、今日のように確実に結果を残していきたい」
トニー・エリアス(MotoGP 9位)
「予選で12番手だったことを思えば、そう悪くないリザルトだった。しかし、アレックスと自分が残したリザルトは、決して喜べるものではないが、チームにとっては貴重なポイントだった。今抱えている課題ははっきりしているし、その問題の解決に全力を尽くしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 10位)
「予選を終えたときにもっといいリザルトを期待していたし、今日の結果にはちょっとガッカリしている。スタートはよかった。いいレースができると思った。しかし、フロントタイヤのグリップに問題を抱え、ペースを上げられなかった。フリー、予選までこういう問題はなかったし、まるでソフトタイヤを使っているような不思議な感じだった。目標はトップ10だったが、もっと上を狙えると思っていた。日本GPに向けて今回の問題を解決したい」
ダニ・ペドロサ (MotoGP 11位)
「今の自分の体調を思えば、いいレースができたと思う。確かに、11位という結果には満足していないが、セッションをこなすごとにすべての点で前進できた。今日はいいスタートが切れた。7周か8周目くらいからフロントにチャターが出てきて、グリップも低下、ペースも落ちてしまった。左のヒザは痛かったし、骨折は完治しているが左腕の疲労も大きかった。後半遅れてしまったが、5ポイント獲得できてよかった」
高橋裕紀(MotoGP 15位)
「目標がシングルフィニッシュすることだったし、15位という結果には満足していない。でも、MotoGPで初めてのレースだったし、実戦でいろんなことを学べた。特に終盤、メランドリと走ったときは、フロントタイヤの使い方、ブレーキングポイントなど、こうすればいいのか、ということを知ることができた。ニッキー(ヘイデン)に離されてからちょっとペースが落ちたが、後半は、レース中でもいい走りができたと思う。次は地元日本GP。シングルフィニッシュしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「2人のライダーのがんばりに、まずは感謝したい。優勝を目指している我々にとって、決して満足のいくリザルトではないし、それはライダーたちも同じ気持ちだろうと思う。今回のレースで得られたデータはとても貴重であり、次のレースに向けて、今抱えている問題を解決していきたい」