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Section2 緊迫感倍増のノンストップルール

新ルールが藤波選手の活躍を加速させる

WCTにおけるノンストップルールは過去にも実施されている。最近では2004年に実施され、このときは停止すると減点1という規則だった(停止の判定が難しく、結局は廃止になった)が、この年に日本人初のトライアル世界選手権(WCT)チャンピオンに輝いたのがRepsol Montesa Hondaの藤波貴久選手だった。

小川友幸選手「藤波選手はもともと走破力があるライダーですし、本人もそれを自覚しているところがあります。新ルールが大変なのは分かっていますが、なにしろノンストップルールのシーズンにチャンピオンになったライダーですから、体勢を崩したような場面でのリカバリー能力が抜群に高い。

藤波選手は、見ているこちらが『あ、失敗した!』と思っても、なんとか行ってしまうところがある。直感力やサバイバル能力を求められるような状況で強さを発揮するタイプのライダーですから、この点で活躍が期待できるのではないかと思っています」

スロットルを開け続けるという点では、WCTで“FUJI-GAS(開けろ藤波)”というニックネームを持つほどの藤波選手が、新ルールの下ではこれまでにない勝機に恵まれる可能性もあるだろう。

しかも、このシーズンオフには積極的にエンデューロ走行のトレーニングに励んでいる様子が自身のブログでも紹介されているから、ますます気になるところだ。本人もチャンスだと考えているだろうし、もてぎはその活躍が間近に見られる絶好の機会になるはずだ。

小川友幸選手「藤波選手と同じように適応力のある走りができる可能性を持っているのは、イギリス人ライダーたちですね。逆にストップ&ゴーの元祖ともいえるスペイン人ライダーたちは、今回の新ルールによって不利になることを多少懸念しているところがあります。

とはいうものの、トップ3の顔ぶれが大きく変わるようなことはないでしょう。トップライダーの実力はそのくらい高いものです。常勝のトニー・ボウ選手が3位に落ちて、藤波選手が優勝するとか、トップ5以下にイギリス人選手が並ぶような、その程度の変動は考えられます。

結果的に身体を動かす時間も、考える時間も短くなってきますから、そういった厳しい条件の中では、技術だけではなく、メンタルの強さや直感力など、あらゆる要素を兼ね備えたライダーが勝つような結果になるだろうと思います。

応援ということでいえば、ライダーがトライする前に『イケーッ!』とお客さんが盛り上げるのは、WCTの中でも日本GP独特のものですが、藤波選手はその雰囲気を上手に盛り上げて自分の味方にしてしまうタイプのライダーですね。だから、藤波選手が走るときはあおった方がいいと思います(笑)」

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