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Section2 緊迫感倍増のノンストップルール

ノンストップルールで競技は激しくなる!?

トライアルでは競技当日になるまで、どのようなコースを走るのか分からないことになっている。このため、ライダーは最初の走行(基本的に一大会でコースを2ラップする。もてぎは3ラップ)でセクションの攻略法を確認しながら走る場合が多いし、細かい軌道修正を常に行ってきた。

これまでは、一つのポイントをクリアしたあと、マシンを一旦停止させて次のポイントのラインやアクションを考えられたが、今年からはそれができない。いったんセクションに入ったら、その出口までノンストップで走りきらなければならない。つまり、待ったなしの一発勝負になるのだ。

小川友幸選手「新ルールの下ではマシンを停めて走りを修正できないので、トップライダーたちはシーズンオフに、難易度の高いセクションを3点で確実に抜けるため、足着きの練習も行っているでしょう。

これまでのように停めて立て直しができないので、バランスが乱れたら致命傷になるわけです。走りながら立て直すしかないので、『バランスを乱したら負け』と言ってもいい戦いになるでしょう。

バランスを乱してしまったら足を着くか、あるいは“一か八か”の覚悟でバランスを崩したままの体勢でスロットルを開けて、そのまま突っ込んでいくしかないわけです。その点で、よりスロットルの開いた走りになるでしょうから、走り自体は派手になるかもしれませんね」

これによって、予想していなかったようなスペクタクルシーンが展開される可能性もある。大クラッシュになるのか、奇跡のクリーンになるのか、観客にとっては、この一発勝負の走りが新たな見どころの一つになるだろう。

小川友幸選手「もう一つは、採点に対する感情の問題ですね。もてぎが新ルールでの初戦ということもあって、オブザーバーもいろいろと熟慮しているとは思いますが、なにしろ人間の動作を人間が判定するのですから感覚的な食い違いがないわけではありません。

新ルールでは、停まったか停まらないかで、5点という大きな差になってしまいますから、ライダーが停まっていないつもりでも“停まった”と判断されて5点になると、心中穏やかじゃなくなるわけです。その気持ちを引きずって次のセクションに行けば、当然のように走りは乱れるでしょうから、いかに冷静でいられるかも相当に重要になってくるでしょうね。

どちらかというと、外国のライダーは感情的で、ともすれば“キレやすい”傾向にあるので、新ルールは我慢強い日本人に向いているような気もします(笑)。スペインなどのラテン系のライダーは、感情の高ぶりで調子を乱すことも多いんですよ。

そのため、感情を抑制でき、冷静さを失わない日本人ライダーが有利になる可能性も考えられますね。実は、新ルールの実施で例年になく藤波選手が意欲的になっている気がします」

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