――ボウ選手にとって、小川選手はどういう人ですか?
トニー・ボウ(以下、ボウ):「小川選手とは昨年、1週間くらい一緒にバイクをテストしたことがあったけれど、そのくらいの付き合いなので彼がどういう人間がそれほどよくは知らない。けれども、彼自身は現役で走っている全日本チャンピオンとして優れたテクニックを持っているし、テストライダーとしてもすごくいいライダーだと思う。バイクのテストにおいてはお互いに分かり合えるし、僕の言ったことをよく分かってくれるのがありがたいね」
――小川選手の第1印象はいかがでしたか?
ボウ:「彼の第1印象は、よくなかった。2004年のトライアル世界選手権「ウイダー日本グランプリ」の1日目は小川選手に負けたから、あれはくやしかったね(笑)」
――確かに、04年の日本GP1日目、プロトタイプのRTL250Fをこの大会にデビューさせた小川選手は9位。ボウ選手は11位でした。2日目はボウ選手が8位、小川選手は2日目も9位でした。
ボウ:「彼が今31歳だということにも、かなり驚いた。もっと若いと思っていたからね。そういう意味では年齢を感じさせないライダーだと思うし、チャンピオンを取れる選手なので、すごくいいライダーだと思います。たぶん普通に走れば08年もタイトルを取れる可能性はあると思うので、よけいなことは何も考えないでいつものように走れば、勝てるのではないかと思います」
――以前はボウ選手と同じベータのマシンに乗っていた黒山健一選手が小川選手のライバルですが、黒山選手についてはどう思いますか?
ボウ:「黒山選手のことはよく知っている。彼に勝とうとするのはかなり難しいことではないかと思う。簡単なセクションだったならば、僕も彼に勝てないことがあるかもしれない。それくらい彼の集中力は高い。僕がベータに乗っていたとき、ベータの開発者でもあるドナト・ミリオが開催する大会では、黒山選手にいつも負けていたものだった。その黒山選手に勝った小川選手だから、08年も勝てる可能性は十分にあると思うよ」
――小川選手が黒山選手に勝てた理由はどこにあったと思いますか?
ボウ&藤波:「マシンが良かったのでしょう(笑)」
――小川選手のテクニックについてはどう思いますか?
ボウ:「彼のライディングはそれほどよく見ていないけれど、ちょっと見ただけでもいいテクニックを持っていると感じました。全日本ではセクションが易しくて、足を着けない神経戦でも全然足を着かない選手だと聞いているし、07年の全日本で黒山選手に勝ったので、黒山選手を上回る集中力があるのかもしれませんね」
藤波貴久(以下、藤波):「ガッチ(小川選手の愛称)の“合わせ技”は世界一だと思います。走る地形に合わせて使うテクニックが、すごくピタリと決まる。走りがメチャクチャに綺麗ですね。同じセクションをクリーンするにしても、ほかのライダーとは見た感じが違う。とくに2段、3段の段差上りについては、身体が常にバイクと一緒についていって、身体が遅れることがないですね」
――最後に08年、小川選手に望むことは?
ボウ&藤波:「テストライダーとしては、バイクをよりいい方向に持っていってくれることを期待しています。全日本ではもちろん、2年連続チャンピオンを獲得してもらいたいですね」
日本と世界でそれぞれ2度目のチャンピオンを目指す、小川と藤波、そしてボウ。再び世界と日本のダブルチャンピオンは誕生するか? 全日本は3月9日(茨城県・真壁トライアルランド)、世界選手権は3月30日(ルクセンブルク)に開幕するが、3者それぞれの活躍が今から楽しみでならない。
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