2020年の世界選手権、その第3戦は毎年欠かさず開催されているアンドラのサン・ジュリア・デ・ロリアで、週末2日間にわたって開催されます。この大会、トニー・ボウ(Repsol Honda Team)は2位獲得、チームメートの藤波貴久は7位でした。
土曜日の初日、アンドラのトライアルは、とても厳しいものになりました。スタートした朝は雨、アンドラといえば乾いてざらざらとした岩場が特徴的ですが、雨に濡れた岩はとても滑りやすく、すべてのライダーにとって厳しく困難なものになりました。そして雨がやんだ後のコンディションの変化も戦いに影響を及ぼしました。さらにそれに輪をかけたのが採点でした。ストップがとても厳しく、ちょっとしたことで減点となってしまいます。その結果、スコアは大接戦となりました。
Repsol Honda Teamのエース、トニー・ボウは、10セクションを3ラップするこの戦いで、終始ライバルのアダム・ラガ(TRRS)と首位を争いました。ボウはチャンピオンの実力を遺憾なく発揮して、この日も最終ラップの中盤まではトップを守っていました。しかし最終ラップ中盤、ボウは続けて5点減点されてしまいます。この減点で、ボウは今シーズン4回目の勝利を逃し、2位表彰台となりました。優勝したのはラガでした。ラガは選手権争いでも最大のライバルですが、ボウはラガに対して7ポイントのランキングポイントリードを保っています。
日本の期待を一身に背負った藤波貴久は、1ラップ目に多くのミスを犯してしまいました。しかし2ラップ目と3ラップ目、藤波は自分のマークすべき減点数まで復調し、最終的に7位までポジションを上げて試合を終了しました。
次なる戦いはすぐ翌日、今回と同じ会場で開催されます。
トニー・ボウ(2位)
「私たちはいつものように、勝利をおさめるべく戦いましたが、今日はいつものような結果にはなりませんでした。トップを走っていてもいい感触が得られない1日でした。それでも、10セクション3ラップの戦いのうち、かなり長い間、私はトップを走りました。フィジカル面で十分ではないところがあるので、最後に体力を失ってこの結果になってしまったのではないかと思っています。明日は体力をしっかり回復させて、よりよいトライアルを目指します」
藤波貴久(7位)
「厳しい1日でした。ウォーミングアップで転倒して肩を痛めてしまいました。1ラップ目、その影響で肩にほとんど力が入らず、5点の失点が多くなりました。これが今日のすべてでした。2ラップ目、3ラップ目は、少し本来の走りを取り戻すことができたのではないかと思います。今、自分が出している結果以上のものを出せる実力があることは分かっているので、なんとしてもそれを証明したい。もっと努力しなければいけないです。今日は医療トレーナーに処置をしてもらいながら、明日に向けて肩の状態をできるだけよくするよう努めます」
ミゲール・シレラ監督
「レースですから、勝つことも負けることもあります。トニー・ボウは常に勝つ、その状況に私たちも慣れてしまっていますから、今日のように思ったような結果にならないととても残念な気持ちになりますが、そんなことより、今は明日をよりよくするための努力をする必要があります。今年のチャンピオンシップは複雑で難しいものになると言っていましたが、その通りの状況になっています。大接戦、そこを戦い抜くしか、道はありません」
順位 | ライダー | マシン | L1 | L2 | L3 | タイム総減点 | 総減点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | A.ラガ | TRRS | 19 | 17 | 13 | 1 | 50 |
2 | トニー・ボウ | ![]() |
18 | 13 | 24 | 1 | 56 |
3 | J.カサレス | ガスガス | 33 | 21 | 19 | 0 | 73 |
4 | G.マルセーリ | モンテッサ | 28 | 25 | 25 | 1 | 79 |
5 | J.ダビル | ベータ | 29 | 27 | 26 | 0 | 82 |
6 | J.ブスト | ヴェルティゴ | 31 | 27 | 25 | 0 | 83 |
7 | 藤波貴久 | ![]() |
45 | 20 | 28 | 0 | 93 |