モータースポーツ > トライアル世界選手権 > 第7戦 フランス > 決勝
July 27 2014, RACE FIM Trial World Championship France
フランス
2014年7月27日(日) 会場:ラ・モンジー
トライアル世界選手権の第7戦がフランスのラ・モンジーで開催されました。トニー・ボウ(Repsol Honda Team)の最大無二のライバルであるアダム・ラガ(ガスガス)との優勝争いは、最後の最後まで勝敗の行方が分からない激しい戦いとなりました。減点数は12セクション3ラップを走って、どちらもたったの2点。クリーン数も同じ、34。1点の数も同じ。勝敗は競技タイムの差で決しました。ボウが5時間8分59秒に対し、ラガが5時間5分41秒。その差3分18秒差で、ボウは2位に甘んじることになりました。
フランスのラ・モンジーは、標高1800mほどのピレネー山脈に包まれた小さな村です。スペインの国境からもほんの20kmの位置にあり、ウインタースポーツのメッカとされています。そしてここでのスポーツは、雪にまつわるものだけでなく、オフロードバイクや自転車など多岐にわたっています。
フランスでのトライアル世界選手権は、1975年に世界選手権が始まって以来、毎年開催されています。ただ1度だけ、1991年にお休みがありましたが、この年はトライアル・デ・ナシオンがフランスで開催されていました。モンジ・リゾートでの世界選手権は今回がはじめてになります。高い標高で観戦環境はほどよく、3000人の観客がトライアルを楽しみました。今大会はクラブAMCグラーセ、MCラゴード、S2クールーズトライアルクラブの共催によって開催されました。3ラップ12セクションは、山間の乾いた岩場を中心に設営されていました。
今回は稀に見る好スコアでの戦いとなりました。ボウとラガによるトップ争いは、ここ数戦の流れを見ても予想されていたことですが、それでもここまでの接戦になることを予想した者は少なかったはずです。
1ラップ目、第5セクションまでをすべてクリーンしたライダーは5人。ボウ、ラガ、藤波貴久(Repsol Honda Team)、ジェロニ・ファハルド(ベータ)、アルベルト・カベスタニー(シェルコ)です。しかし藤波とファハルド、カベスタニーは第6セクションで5点。残されたボウとラガのトライに注目が集まります。
ここでボウは減点1、対してラガはクリーン。ほんの1点ですが、ラガがボウをリードして戦いは続きます。ラガは12セクションをすべてクリーン。ボウもこのセクションでの1点のみで12セクションを走りきりました。この2人を追うのは、やはり減点は第6セクションのみだったファハルドで、そのスコアは5点でした。藤波は14点の減点を喫して、1ラップ目でトップ5から脱落していました。
2ラップ目、ラガが2つのセクションで1点ずつ減点します。第9セクションでラガが2点目をついたので、トップはボウとなりました。このままの点差を維持すれば、ボウの勝利でしたが、最後の第12セクションで1点減点を喫してしまいました。両者は同点のまま、最終ラップに入りました。
ここまでくると、足つきの1回が勝負を左右します。2人は一歩も引かず、クリーン合戦を続けていきます。そしてついに、2人はそのまま全部のセクションをクリーンのまま、3ラップ目の12セクションを走りきったのでした。
ボウとラガ、2人の減点はともに2点で同点。さらにクリーン数34も同じ。1点が1つずつなのでこれも同じ。この場合、勝敗を決めるのは競技時間となります。ボウの競技時間は5時間8分59秒。持ち時間は5時間20分でしたから、ずいぶんと早くゴールしたことになります。そしてラガの競技時間は、5時間5分41秒。3分ちょっとの差で、勝利はラガのものとなったのでした。3位にはファハルドが入りました。
ここまでボウはラガに対して、選手権ポイントで10点差をつけていましたが、今大会で両者の点差は7点にまで縮まりました。
藤波は2ラップ目に好スコアをマークして追い上げたのですが、1ラップ目の大幅減点を覆すまでには至らず、今回は6位と低迷してしまいました。藤波はこの大会でランキングを1つ落とし、5番目となっています。
次回の世界選手権大会は1カ月ちょっとの夏休みの後、舞台をスペインに移して9月6日(土)、7日(日)に開催されます。土曜日曜の2日制のスペイン大会は、今シーズンの最終ラウンドとなります。
トニー・ボウ(2位)
「チャンピオン争いのライバルに点差を縮められる結果を望んだわけではないのですが、セクションの難易度が低い今回のような戦いでは、勝利は非常に難しいものになります。しかし私はいまだチャンピオン争いをリードしていますし、最後の戦いであるスペインでの2連戦に向け、まずはゆっくりと休養を楽しもうと思います」
藤波貴久(6位)
「ランキング3位争いを勝ち抜こうと臨んだ戦いだったのですが、今日の結果は失望に包まれたものとしか言いようがありません。3ラップ目の追い上げも、全部で5つの5点減点で台なしになってしまいました。よかったことと言えば、ヒザの具合が幾分よかったことと、これからランキング争いに向けての休暇が待っていることです」