トライアル世界選手権の第2戦が4月9日にポルトガルのモルタグアで行われ、COTA 4RTに乗る藤波貴久選手(REPSOL MONTESA HRC)が今季初優勝を飾った。チームメイトのドギー・ランプキン選手も3位に入っている。
今回の優勝は藤波選手本人にとっても、周囲にとっても驚きだった。先週のスペイン大会終了後、他のREPSOL MONTESA HRCチームのメンバーが大会の行われたニグランに残って練習を続けたのに対して、クラッチを握る指を傷めている藤波選手は、バルセロナの本拠地に戻り、指の回復に努めていたからである。藤波選手が練習を再開したのは、金曜日になってからのことだった。
ポルトガル大会のコース設定は、前週のスペイン大会とは対照的で、セクションの難易度は低く、バラエティも乏しかった。競技後のプレスカンファレンスでも、トップ3に入ったライダー全員がそれを指摘している。15個のセクションのうち13個が地元の川の両側にある斜面に設けられており、最初と最後のセクションだけが例外となっていた。
コースの難易度が低く、ミスが許されないことを知っているトップライダー達は、1ラップ目の前半はかなりナーバスになっていた。そんな中で藤波選手はセクション2とアリーナ・タイプの最終セクションで減点1を受けただけで1ラップ目を終えた。
これに対してランプキン選手の方は、セクション8とセクション15で減点5を受けたほか、さらに2点減点を課されていた。1ラップ目を終えた時点で減点12のランプキン選手は、藤波選手、アダム・ラガ選手(ガスガス)、アルベルト・カベスタ二―選手(シェルコ)に続いて4位だった。
2ラップ目の途中になると、それまでどんよりしていた空から雨が降り始めた。川沿いの急斜面や岩の斜面は、さらに滑りやすくなっていた。そんな中、藤波選手は集中力を保ち続けた。2つのセクションで合計5点の減点を受けただけで2ラップ目を終えた藤波選手は、トータルで減点7となり、見事今季優勝を飾ったのである。
2ラップ目、ランプキン選手は最終セクションに至るまでは減点1を保っていたが、最終セクションで減点5を受けてしまい、トータル減点18で3位に終った。2位には減点9でラガ選手が入っている。開幕戦スペイン大会の覇者アントニオ・ボウ選手(ベータ)は今回4位だった。
第2戦を終え、ランキングではラガ選手(34ポイント)がトップにつけている。同2位はボウ選手(33ポイント)。3位は藤波選手(30ポイント)、4位に同ポイントでランプキン選手(30ポイント)が続いている。
次の大会は5月20日、21日にアメリカのスクアッチで行われる。
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