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VOL.1 タイヤ交換

まさに、一瞬!! 早技のタイヤ交換

1タイヤ交換のスタンバイ

2ナットをゆるめる

3レンチの回転方向を切り替える

4タイヤを外す

5タイヤを付ける

6ナットを締める

72本目のタイヤ交換

8ナットを締める

  • タイヤ交換のスタンバイ

    リアルレーシングの場合、左側のタイヤ交換マンはフロントタイヤから、右側のタイヤ交換マンはリヤタイヤから交換作業を始める。

  • ナットをゆるめる

    車両が停止線に合わせて停止したら、タイヤ交換マンは圧搾空気で作動するインパクトレンチをホイールナット目がけて差し込む。このとき、同時にジャッキマンはエアジャッキのソケットを車両に差し込んでいる。車両が完全にジャッキアップされる頃にはナットが緩んでいるのが理想。

  • レンチの回転方向を切り替える

    ナットが緩んだのを確認したら、インパクトレンチを手前に引く。レンチ先端の爪が噛み込んでいるため、ナットはレンチに付いてくる。その状態でレンチを路面に置くと、レンチの根元にあるピンが押されて上に飛び出す。これにより、レンチの回転方向が切り替わる(右側は左回り→右回り、左側は右回り→左回り)。

  • タイヤを外す

    両手を使ってタイヤを外し、左側に置く。外したタイヤが暴れるとペナルティが科されるので、素早く作業しながらもタイヤが暴れないように気をつけながら作業する。

  • タイヤを付ける

    背後に準備してあるタイヤを持ち上げてハブ(ホイールを取り付ける軸)に差し込む。サーキットによって路面はコース側に向かってわずかに傾斜しているので、コース側のタイヤは奥までしっかり差し込まないと手前にずれてしまうことがある。そうなると、再度奥に押し込む作業が必要になり、タイムをロスしてしまうので細心の注意が必要。

  • ナットを締める

    先端にナットが付いた状態のインパクトレンチをハブに差し込み、トリガーを引いて締めたら、左手親指でグリップの根元にある赤いボタンを押す。これが、作業が終了した合図。左右のタイヤ交換マンがボタンを押し終わると、給油リグのデジタルメーターに「GO」の文字が出る。これが給油開始の合図となる。

  • 2本目のタイヤ交換

    給油の間、タイヤ交換はできない決まり。給油が終わってリグが給油口から離れると、インパクトレンチのランプが点灯する仕組み。それを合図に2本目のタイヤ交換作業を始めるが、同時に、無線でも給油完了までのカウントダウンを聞いている。給油が終わらないうちに作業を始めるとペナルティが科されるが、給油が終わったら間髪入れずに作業を再開したい。タイムを極限まで削るため、ランプと無線の両方をうまく使ってタイミングをとるわけだ。

  • ナットを締める

    2本目のタイヤ交換が終わったら、左手をサッと目の前に差し出す。蛍光イエローのグローブをはめているのは、ジャッキマンの視認性を考えてのこと。ジャッキマンはインパクトレンチの音でナットが締まるのを感じつつ、グローブの動きに注意を払い、ロスなくジャッキを降ろすよう心がけている。

LAP 1

右に回すと締まり、左に回すと緩むのは、世界共通の決まり事だ。水道の蛇口もそうだし、ペットボトルのキャップもそう。だが、ホイールナットは例外。左側はタイヤの回転方向とナットが緩む方向が一致してしまうので、左に回すと締まり、右に回すと緩む「逆ねじ」になっている。

LAP 2

鉄の塊でできたインパクトレンチは鉄アレイのように重たい。その重たいレンチを握って素早く正確にホイールナット目がけて差し込むため、タイヤ交換マンはそれぞれ、独自にグリップ形状を工夫している。また、確実に握れるよう、グリップの表面にはグローブに食い込むような突起状の処理が施してある。

タイヤ交換のキホン

ピットストップの際、車両に触れることができるのは5人までに定められている。ドライバーに停止位置を指示するストップボードとジャッキを担当する「ジャッキマン」に、タイヤを交換する「タイヤ交換マン」が左右にひとりずつ。それに、「給油マン」と「消化器マン」だ。腕章が作業を行うメカニックの目印である。これら5人に加え、ドライバーの交代作業をサポートする「ドライバーサポート」が2人いる。ルールでは、「車両が動いているときに作業してはならない」「タイヤ交換と給油は同時に行ってはならない」「外したタイヤが暴れてはならない」などと定められており、違反するとペナルティが科される。

タイヤ交換のキホン タイヤ交換のキホン

タイヤ交換はレースの勝敗を左右する

タイヤ交換の現場から

左タイヤ担当 河内憲之

Noriyuki Kochi

左タイヤ担当
河内憲之

「レースでは何が起きるのかわからないので、最初から最後まで常に気を張っています。速くやろうと意識するよりも、まず正確性です。確実にナットを外し、確実にはめるのが基本。クルマが動いている状態でインパクトレンチがホイールナットに入ってしまったり、外したタイヤが暴れてしまったりするとペナルティを科されます。そうなると、せっかくドライバーがいい仕事をしてくれたのに、台無しになってしまいますから。レース用に軽く作ってあるとはいえ、(ホイールを組み込んだ状態の)タイヤはかなりの重量になります。作業の正確性を高めるためにも、筋力トレーニングは欠かせません」

右タイヤ担当 西崎友章

Tomoaki Nishizaki

右タイヤ担当
西崎友章

「自分のタイヤ交換作業を動画で撮り、スローモーションで再生して動きに無駄がないか、少しでも効率を上げるためにチェックしています。ドライバーはそのときの気合いの入り方によって、停止位置を行き過ぎてしまうこともあります。ピットレーンに入ってくる様子やアクセルを緩めるタイミングで『これは止まりきれない』と感じたら、インパクトレンチをホイールナットに差し込む準備を進めながら、交換するタイヤを後ろ足で少し前側にずらします。そうしておくと、タイヤを交換する際にロスがなくなりますので。逆に、停止位置より手前で止まりそうな雰囲気を感じたら、サッと後ろにずらします」

チーフメカニック 鈴木豊久

Toyohisa Suzuki

チーフメカニック
鈴木豊久

「監督の『次、入れるから』の無線を合図にピット作業の受け入れ準備を始めます。合図があるのは、ピットに入る1周前が基本です。走行できる周回数は、積んでいる燃料の量から決まってきます。そのなかで、前後の状況を見極めたり、タイヤの状態をドライバーから聞き取ったりして、ベストなタイミングを決めます。これが基本ですが、レースは何が起きるかわかりません。いつ指示があってもいいように待機しています。ピットストップではロスをなくすため、いろんな作業が同時並行で進みます。エアジャッキのソケットを差すのは私の役目ですが、その瞬間にはタイヤ交換作業が始まっています。無駄のないピット作業を実現するには、個人の能力を高めると同時に、息の合ったチームワークが欠かせません」

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