山本尚貴選手(以下、NY):開幕戦の鈴鹿サーキットでは表彰台に上ることができて、まずまず幸先のいいスタートを切ることができたと思います。ただし、昨年は開幕戦で優勝したのに、その後のレースであまり結果を残せませんでした。そこで、今シーズンはそうしないためにもセッティングのアプローチを少し変えて臨みましたが、第2戦岡山国際大会では少し手こずってしまいました。僕たちのマシンは、まだ鈴鹿が突出して速いように思います。
NY:おそらくそうでしょう。周囲のドライバーからも同じような声を聞きますが、スーパーフォーミュラのマシンはパフォーマンスの一貫性があまり感じられないというか、少し見えづらい部分があるような気がします。たとえば、鈴鹿がこうだったら、岡山はこうするといいだろうと思ってセッティングしても、それが思うように機能しない。同じように、岡山がこうだったから富士はこうしようと考えても、思いどおりにならない。セッティングを積み重ねて進化させていくというのが、なかなか難しいようです。
NY:そうですね。あとはタイヤの使い方もあって、そういう部分で少し苦戦しています。
NY:昨年までとは違って、今年はスタートがひとつの武器になっていると思います。現在のスーパーフォーミュラでは、いい成績を残すうえで予選とスタートの占めるウェイトがとても大きい。そこでスタートに関しては、シーズンオフのテストからエンジニアとデータを見直し、かなり細かい部分まで注目しながらここまで取り組んできました。その成果が出ているのだと思います。
NY:今年はそれほど大きなモディファイが実施されたわけではないので、基本的には正常進化という位置づけです。ただし、自分たちには苦手としている部分があって、そこを改善できればもう少し楽に戦えるようになると思っています。それがうまくいけば、さらにステップアップできるはずです。
NY:パワーは少し進化したように思います。ただし、直噴ターボ方式を採用している現在のエンジンはとてもシビアで、サーキットや気象条件によってパフォーマンスが大きく変わってきます。だから、一概によくなったとはいいにくい部分もありますね。このエンジンがデビューして今年で4年目になりますが、当初はトラブルも多かったし、サーキットにやってきてからの合わせ込み作業にも長い時間がかかりました。いまは、そういった部分は格段によくなって、車体側のセッティングとか自分自身のドライビングをあわせこむ作業により長い時間を費やせるようになったので、とても助かっています。
NY:そうですね。これまでよくなかった部分をひとつひとつ潰していくことが、結果を残すうえではいちばんの近道ですし、いまはそれがしっかり実現できていると思います。まだ完全に納得できる成績は残せていませんが、それに向けてのステップは着実に踏んでいます。もっとも、最後は自分自身の力次第なので、一戦でも早く、自分たちが思うような結果を形として残せたらと考えています。
NY:テストのときから、どのサーキットに行ってもどのセッションでもずっと上位に顔を出していて、いいタイムも残している。彼から得られる情報やデータは有用ですし、彼がレースに挑む姿勢についても見習うべきところが多いと感じています。
NY:今年、スーパーフォーミュラでどのような成績を残すかによって、ガスリー選手が来シーズン、F1にステップアップできるかどうかが決まる。そういう意味では彼自身がテストされているともいえますし、それ以前に出場するからには負けられないという気持ちがあると思います。また、彼が実際に意識しているかどうかは別にして、去年ストフェル・バンドーン選手という強力なドライバーがやってきて、1年でぱっと成績を出してF1にステップアップしました。当然、ガスリー選手は彼と比較されるし、バンドーン選手以上にいい成績を残さなければいけないと思っているでしょうね。
NY:そうですね。僕自身、これまで甘えてきたという意識はまったくありませんが、どこかで馴染んでしまったというか慣れてきてしまった部分はあったのかもしれません。チーム無限がこれまで基本的に1台体制でエントリーしてきたこともあって、僕自身が直接的に誰かと比較される機会は多くなかったし、そういう意味ではドライバーとして楽な環境にいたのかもしれません。それが、強力なライバルがチームメイトになったことで、シリーズのなかでいい成績を残すだけでなく、直接比較されるガスリー選手にも負けるわけにもいかないという気持ちを持つようになりました。もちろん、あまり強く意識しすぎてチームメイトとバチバチやりあうことがいいとは思いませんが、いまの環境は自分を成長させてくれるものと考えています。
NY:今シーズンはまだ1度も勝っていないので、まずは1勝が欲しいですね。ただし、最終的なターゲットはやはりチャンピオンです。去年を振り返ると、開幕戦で優勝しても、第2戦以降はまったくいいところがありませんでした。今シーズンについては、鈴鹿のように尖った速さを見せることはもちろん大切なんですが、それとともに、どこのサーキットに行っても苦手意識を持つことなく、鈴鹿と同じかそれ以上に速いクルマを作れるように努力しています。また、クルマが速いときはもちろんですが、たとえセッティング面で後手に回っても、なんとか自分の力で1点でも多くポイントを獲得して、チャンピオンを賭けて最終戦の鈴鹿に臨めるようなシーズンにしたいと思っています。
NY:とにかくチャンピオンになりたいですね。このままライバル陣営に負け続けているのは許せないし悔しい。しかも、こういう状況でもずっと応援し続けてくれているHondaファンの方々がたくさんいらっしゃいますし、研究所を始めとする関係者の皆さんも僕たちを後押ししてくださっている。自分のためというのはもちろんですが、そういう方々のためにも頑張ってタイトルを勝ち取りたいですね。
7月7日 富士スピードウェイにて
第1部
ピエール・ガスリー
第2部
山本尚貴
第3部
山本雅史