#1 山本尚貴がシリーズランキング2位、
#64 アレックス・パロウはルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞
新しい「SF19」シャシーが導入された2019年シーズン、Honda/M-TEC HR-417Eエンジンを搭載したマシンで参戦するのは、2018年にシリーズチャンピオンとなった#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を筆頭に9名だった。鈴鹿サーキットでの開幕戦では、スターティンググリッドのフロントローに#65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)と#64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)のルーキー勢が並び、チームを移籍して2年連続の王座を狙う山本、そのチームメートの#5 福住仁嶺が続き、Hondaが上位を独占。セーフティカーが4回導入と荒れ模様となった決勝レースでは、2位に山本、4位に#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が入賞した。
オートポリスでの第2戦は、強い雨のため公式予選セッションで各選手が十分なタイムアタックができないまま打ち切られたが、決勝レースでは天候が回復した。開幕戦同様にレースは荒れ、スタート直後からセーフティカーが介入した。しかし、山本は着実な走りを繰り広げ2戦連続で2位に入賞し、2年連続シリーズチャンピオン獲得に向けてシリーズポイントを重ねた。
流れに乗った山本は、第3戦のスポーツランドSUGOで今季初のポールポジション(PP)を獲得した。2番手には野尻が並んだ。決勝レースでもスタートでトップに立った山本はライバルを寄せ付けない走りでレースを支配し、今シーズン1勝目を挙げた。

山本尚貴は今季初勝利をポール・トゥ・ウインで達成
富士スピードウェイでの第4戦は、梅雨前線の影響で雨模様の予選となった。ここでPPを獲得したのはパロウだった。パロウはウエットコンディションの決勝レースでもトップを快走し、2番手以降を引き離してスーパーフォーミュラにデビューしてわずか4戦目で初優勝を飾った。山本は11位とノーポイントに終わったが、シーズン折り返しの第4戦を終えた段階でシリーズポイントランキングトップの座を守り、好調のパロウはランキング3位に進出してシリーズチャンピオン争いを視野に入れ始めた。
シリーズ後半戦に入る第5戦ツインリンクもてぎでもパロウは速く、2戦連続でPPを獲得した一方、シリーズランキングトップの山本が予選8番手に沈んだ。決勝レース前半はパロウがリードしたがタイヤ消耗でペースが伸びずに後退、4位でフィニッシュとなった。山本はポイント圏内にわずかに届かず9位に終わり、シリーズランキングトップの座も譲り、トップと1ポイント差の2位に。チャンピオン争いの流れが少しずつ変わってきた。
シリーズ終盤戦に入った岡山国際サーキットで開催された第6戦では、公式予選でHonda勢は奮わず、最高位は福住の5番手、7番手に牧野、8番手にパロウという結果となった。決勝レースは、さまざまなタイヤ戦略が繰り出される中、セーフティカーも介入し、その間にタイヤ交換義務を済ませた選手が有利な展開に。順位を上げたのは12番手からスタートしたルーキーの#51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)だった。ニューウェイはタイヤ交換戦略を巧妙に進め、1時間30分の制限時間規定により、レースが早めに打ち切られたとき、3位でチェッカーフラッグを受けた。4位にパロウが続き、山本はしぶとくレースをまとめて7位でフィニッシュ、シリーズポイントを重ねて1ポイント差ながら再びシリーズポイントランキングトップに復帰し、シリーズ最終戦を迎えることとなった。
チャンピオン決定戦となったシリーズ最終戦は、鈴鹿サーキットで開催された。公式予選ではパロウがただ一人1分35秒台となる1分35秒972を記録してPPを獲得した。ランキング3位のパロウにもシリーズチャンピオン獲得の可能性が残されている。2番手に野尻が続き、2年連続王座獲得を目指す山本は5番手スタートとなった。
決勝レースではパロウがうまくスタートしてレースをリードし始めたが、ミディアムタイヤからソフトタイヤへ交換したところペースが上がらなくなり、徐々に順位を落とすことになってしまう。代わってトップに立ったのはソフトタイヤでスタートした野尻だった。野尻はレース後半ミディアムタイヤに交換してからもトップを守り、そのまま追撃する選手を振りきって優勝を遂げた。野尻にとっては14年、スーパーフォーミュラのデビューシーズン以来の勝利、所属するTEAM MUGENにとっては中野信治監督率いる新体制となって初めての優勝だった。
山本はミディアムタイヤからソフトタイヤへ交換する戦略が裏目に出て、チャンピオン争いの相手#37 ニック・キャシディ(トヨタ)の先行を許し、5位でフィニッシュした。この結果、ポイントランキングで山本はランキング2位となった。しかし山本の所属するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは、チームのシリーズチャンピオンに輝き、パロウはルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞して、Honda勢は20年シーズンに向けて前向きな流れの中でシーズンを終えることとなった。

デビュー4戦目で初優勝を飾ったアレックス・パロウがルーキー・オブ・ザ・イヤーに