2012年8月4日(土)・予選 会場:シルバーストーン・サーキット 天候:雨ときどき曇り 気温:18℃
コースコンディション:ドライのちウエット
第10戦イギリス大会が、3日、ロンドンの北、ノーザンプトン近郊のシルバーストーン・サーキットで開幕しました。3日はフリー走行と予選、4日は2回目の予選と予選上位16台によるスーパーポールが行われました。
シルバーストーンでスーパーバイク世界選手権が開催されたのは、2002年が初めて。以来、07年まで行われました。その後、開催は一時中断されましたが、サーキットが全面改修を受けた10年に大会が復活、今年で3年目を迎えます。07年まではショートコースが使用されていましたが、大会復活後は全面改修を受けた一周5.780kmのフルコースで行われています。シルバーストーンは、左8、右10のコーナーを持つ高速サーキット。ロードレース世界選手権もシルバーストーンで開催されています。
1週間前に鈴鹿サーキットで開催された鈴鹿8時間耐久ロードレースで念願の初優勝を達成したジョナサン・レイ(Honda World Superbike Team)は、第9戦チェコ大会、鈴鹿8時間耐久ロードレース、そして第10戦イギリス大会と苛酷な3連戦となっています。しかし、「鈴鹿の優勝はすばらしかった。さすがに疲れは残っているが、チェコが残念な結果だったので、今回はその分もがんばりたい」と気合満点で今大会に挑みました。
前戦チェコ大会では、優勝争いに加わりながら他車と接触して転倒。続く第2レースでは、転倒の影響で12位と悔しい結果に終わっています。今大会はその雪辱を果たす意気込みですが、鈴鹿8耐の耐久仕様のCBR1000RRと、スーパーバイク世界選手権のCBR1000RRは、タイヤ、サスペンションなどが異なり、それに慣れることから始まります。加えて、金曜日と土曜日は、断続的に雨が降る不安定な天候となり、乗り換えに戸惑います。そのため、初日の予選では18番手と苦しいスタートとなりましたが、2日目の予選で14番手、スーパーポールでは10番グリッドを獲得しました。昨年の大会はケガのために欠場しているレイですが、一昨年の大会では2レースともに2位でフィニッシュしています。今年はシルバーストーン初制覇に向けて3列目からの追い上げのレースに挑みます。
チームメートの青山博一(Honda World Superbike Team)も、鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝争いに加わるすばらしいレースを見せました。結果はチームメートの転倒でリタイアとなりますが、8耐の好走をシルバーストーンにつなげる意気込みです。しかし、不安定な天候に翻ろうされてリズムをつかめず、ウエットからドライになった1回目の予選で20番手、ドライからウエットになった2回目の予選も20番手とポジションを上げることができず、今大会もスーパーポール進出を果たせませんでした。シルバーストーンは、グランプリ時代に経験しているサーキットです。その経験を生かし、後方からの追い上げのレースに挑みます。
スーパースポーツ世界選手権(アメリカ大会がないために第9戦となります)は、金曜日、土曜日の予選ともにウエットコンディションで行われ、CBR600RR勢が上位を独占しました。初日トップのジュール・クルーゼル(PTR Honda)が、2日目も好調でトップタイムをマークし、今季3回目のポールポジションを獲得。ホーム大会に闘志のサム・ロース(Bogdanka PTR Honda)が2番手。昨年までフル参戦していたアレクサンダー・ルンド(Bogdanka Honda PTR)が今季初参加で3番手。マシュー・ショルツ(Bogdanka PTR Honda)が4番手と、ともに初のフロントローを獲得。5番手にイムレ・トース(Racing Team Toth)と上位5番手までをCBR600RR勢が独占しました。今大会の予選は、不安定な天候の中で難しい条件となりましたが、CBR600RRのパフォーマンスを生かせるコースレイアウトに、決勝でも表彰台独占が期待されます。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 10番手) 「今日は少し順位を上げましたが、まだフラストレーションがたまっています。昨日よりマシンはよくなったし、フィーリングもよくなったが、まだ十分ではありません。マシンのセットアップを変えても、問題が解決せず、フラストレーションがたまります。スーパーバイク用のマシンに乗っていなかったので、再び、自信を取り戻す必要があるのですが、今は、なにをやってもうまくいきません。マシンの状態はそれほど悪くないのですが、なにかが違うような気がします。以前のようなフィーリングになれば、またトップグループに入ることができるはずです。明日のウオームアップに向けて、今夜も遅くまで改善策を考えたいです。シルバーストーンのいいところは、少しの変化で大きく変わることです。なぜならここは1周が長いですし、タイムに大きく影響します。みんなベストを尽くしてくれています。僕もベストを尽くしています。鈴鹿8耐の優勝の経験を生かし、その勢いを今回にもつなげたいです。10番手というポジションは、本来、自分がいるべき場所ではないし、とても悔しいです」
青山博一(スーパーバイク 20番手) 「午前中の予選は、最後の10分で雨が降ってしまい、チャンスを逃がしてしまいました。ちょうど新品タイヤを履いてラップタイムを出すところだったのですが、それができませんでした。午後のフリー走行は、ドライとなり11番手タイムをマークすることができました。まずまず、いいラップタイムを出すことができただけに残念です。ドライではマシンのフィーリングは悪くなかったし、マシンの状態もラップタイムもよかったです。雨になったらどうなるか分からないですが、ドライになったらいいレースができると思います」
ジュール・クルーゼル(スーパースポーツ ポールポジション) 「午前中のフリー走行は、コンディションが難しかったのですが、トップタイムをマークすることができました。しかし、午後の予選は、あまりマシンが快適ではなかったので、セットアップを換えたら、すべてがよくなりました。最後に乾き始めたドライのラインで一生懸命プッシュしました。今シーズン3度目のポールポジションを獲得できてうれしいです。しかし、重要なのは明日のレースなので、ミスのないように全力を尽くしたいです。チャンピオンシップのためにも、いいポイントを獲得したいです」
サム・ロース(スーパースポーツ 2番手) 「今日の予選は楽しかったです。天気が不安定でしたが、ポールポジション争いができましたし、フロントローに並ぶことができました。今大会は、ウエットでもドライでも速く走れているので、とてもうれしいです。そして今日は、中途半端なコンディションでも、いい仕事ができてよかったです。明日はウエットか、それともドライになることを願っています。イギリスのファンの前でどんなレースができるか楽しみです。どんなコンディションになっても、いいレースをする自信があります」
アレクサンダー・ルンド(スーパースポーツ 3番手) 「午前中は電子制御にいくつか小さな問題がありましたし、もっと速く走れると分かっていました。だから午後の予選に向けては自信がありました。コンディションは難しかったのですが、タイムを更新することができました。フィーリングもよかったと思います。そしてフロントローを獲得することができました。最後のラップでミスをして転倒してしまいましたが、最も重要なことはフロントローを獲得したことです。明日も引き続きがんばって、いいレースをしたいです。今年初めてのレースでフロントローが獲得できて、とてもうれしいです」
マシュー・ショルツ(スーパースポーツ 4番手) 「午前中はフルウエットのセットアップにしてコースに出ましたが、路面が乾き始めているときにフィーリングがよかったです。午後の予選も難しいコンディションでしたが、リズムよく走ることができました。そしてフロントローを獲得することができました。とてもうれしいです。明日の目標はトップ10でフィニッシュすることです。そしてシーズン後半戦に向けて、もっと上を狙えるようにすることです」
順位 | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|
1 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 2:20.810 |
2 | L.キャミア | スズキ | 2:20.846 |
3 | S.ギュントーリ | ドゥカティ | 2:21.385 |
4 | L.ハスラム | BMW | 2:21.613 |
5 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 2:21.951 |
6 | M.メランドリ | BMW | 2:21.960 |
10 | ジョナサン・レイ | Honda | 2:23.889 |
20 | 青山博一 | Honda | 2:06.921 |
順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|
1 | ジュール・クルーゼル | Honda | 2:22.258 |
2 | サム・ロース | Honda | +1.006 |
3 | アレクサンダー・ルンド | Honda | +1.264 |
4 | マシュー・ショルツ | Honda | +1.586 |
5 | イムレ・トース | Honda | +1.709 |
6 | V.レオーノフ | ヤマハ | +2.353 |
7 | ローナン・クォーンビー | Honda | +2.563 |
11 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +3.109 |
12 | バラージュ・ネメス | Honda | +3.733 |
14 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.849 |
16 | マーティン・ジェソップ | Honda | +4.328 |
18 | ブロック・パークス | Honda | +4.542 |
26 | ロバート・タンブリーニ | Honda | +7.373 |
27 | バレンタン・ドゥビーズ | Honda | +8.152 |
29 | ダニーロ・マランコーニ | Honda | +9.467 |