スーパーバイク世界選手権(WSB)のヨーロッパラウンドの初戦となるポルトガル大会決勝が、青空が広がり、気温も20℃まで上昇する絶好のコンディションの中で開催され、熱い戦いが繰り広げられた。第1レースは、マックス・ビアッジ(アプリリア)が優勝。2位にレオン・ハスラム(スズキ)。その2人を猛烈に追い上げたジョナサン・レイ(HANNspree Ten Kate Honda)が今季初表彰台となる3位を獲得した。続く第2レースもビアッジが優勝。以下、ハスラム、カル・クロッチロー(ヤマハ)と続いた。この3人とトップグループを形成したレイは、レース中盤にトラブルが発生し、惜しくもリタイアとなった。一方、チームメートのマックス・ノイキルヒナーは、第1レースはクラッチトラブルでリタイア。第2レースは15位という結果だった。
今大会、予選5番手のレイは、両レースともに絶好のスタートを切った。しかし、第1レースはスタート直後の1コーナーの混乱でコースアウトを喫し、オープニングラップ11番手。トップグループから大きく遅れる苦しい展開となったが、必死のリカバリーでレース中盤に3番手を走るクロッチローに追いついた。終盤には、クロッチローがペースを落とし、3番手に浮上したレイが今季初表彰台を獲得した。
第2レースも、ビアッジ、ハスラム、クロッチロー、そしてレイの4人がトップグループを形成。好スタートを切ったレイは、序盤、首位に浮上するなど快進撃を見せたが、8周目のメインストレートでトラブルが発生して惜しくもリタイア。2レース連続表彰台登壇は果たせなかったが、両レースで見せた快走により、調子のよさを強烈にアピールした。
スーパースポーツ(WSS)は、予選2番手のケナン・ソフォーグル(HANNspree Ten Kate Honda)が今季初優勝。2位にホアン・ラスコルツ(カワサキ)。3位に予選3番手のミケーレ・ピロ(HANNspree Ten Kate Honda)という結果だった。PPから決勝に挑んだユージェーヌ・ラバティ(Parkalgar Honda)はトップグループに加わったものの、痛恨の転倒を喫し、再スタートして11位だった。
今大会は、フロントローに並んだ4選手による優勝争いとなった。その中から、PP獲得からポルトガル大会2連覇を狙うラバティ、2年ぶりの優勝を狙う予選2番手のソフォーグル、予選4番手のラスコルツが抜け出した。戦いを終始リードしたラバティだったが、レース終盤、縁石に乗り上げて痛恨の転倒を喫し、優勝争いから脱落。終盤はソフォーグルとラスコルツの壮絶な一騎打ちとなり、ラスコルツを退けたソフォーグルが今季初優勝を達成。これでCBR600RR勢は、ポルティマオでの初開催から3連勝を達成した。2位にはラスコルツ。トップグループの3台を追ったピロが初表彰台獲得となる3位。7位にロビン・ハームス(Harms Benjan Racing)、8位にジノ・レイ(Intermoto Czech)、9位にマッシモ・ロッコリ(Intermoto Czech)と、トップ10に5台のCBR600RR勢が名前を連ねた。
このレースの結果、開幕戦から2戦連続表彰台に立ったソフォーグルが、年間ランキングで首位に浮上した。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 3位/リタイア)「金曜日の原因不明の転倒から、自信を取り戻すのにやや時間がかかってしまったが、決勝に向けていい状態を作ることができた。第1レースは、2列目からいいスタートを切って、ビアッジ、ハスラムとともにトップグループに加わる予定だった。しかし、1コーナーで強引にインに入ってくるライダーがいて、グラベルに押し出されてしまった。それでポジションを落とし、3位まで追い上げるのがやっとだった。第2レースもスタートはよく、今度はトップグループに入れたが、トラブルが出てリタイアとなった。第2レースは残念な結果だったが、気持ちを切り替えて月曜日のテストに取り組みたい。次のスペインはウインターテストで結果がよかったので、次戦こそ、優勝を狙いたい」
マックス・ノイキルヒナー(スーパーバイク リタイア/15位)「レースウイークを通じて、バイクのセットアップに全力を注いだが、最後まで完ぺきな状態にはならなかった。いま抱えている最大の問題は、コーナリング中にラインをキープするのが難しく、そのために立ち上がりで遅れてしまう点だ。それで、ブレーキングでも思いきり攻めることができない。月曜日のテストで、この問題の解決に全力を注ぎたい」
ケナン・ソフォーグル(スーパースポーツ 優勝)「とても厳しいレースだったし、こうして優勝することができて、本当にうれしい。今年もCBR600RRは、本当にすばらしい仕上がりだ。今回はすべてが順調だった。不満があるとすれば予選でPPを取れなかったことだ。今日はウオームアップで気持ちよく走れたし、いいレースができると確信した。ラスコルツとの厳しい戦いはラストラップまで続いたが、勝つことができた。開幕戦のオーストラリアは悔しいレースでがっかりした。その悔しさを晴らすことができた。チームとHondaに感謝している」
ミケーレ・ピロ(スーパースポーツ 3位)「スーパースポーツで初めて表彰台に立つことができて、本当にうれしい。チームがすばらしいバイクに仕上げてくれたし、ベストを尽くしてくれた。前回のオーストラリアでは、表彰台争いに絡みながらパンクするアクシデントでリタイアしているので、その雪辱を果たすことができた。次のバレンシアでは、2位以上を目標にがんばりたい」
ユージェーヌ・ラバティ(スーパースポーツ 11位)「思っていたようなレースができなかった。レース序盤、フルタンクのときにうまく走れなかった。それでもリードを築こうと全力でプッシュしたが、結果的に、それでタイヤを消耗させてしまった。終盤に入ってラスコルツとソフォーグルに抜かれたが、最終ラップまでバトルになると思っていた。しかし、ブラインドコーナーの4コーナーで縁石に乗り上げて転んでしまった。再スタートすることができたが、ブレーキのマスターシリンダーが破損していて、チェッカーを受けるのがやっとだった。残念だったが、今日獲得したポイントが、チャンピオン争いに生きると思っている」
スーパーバイク(レース1)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M.ビアッジ | アプリリア | 22 | 37:59.283 |
2 | L.ハスラム | スズキ | 22 | +0.200 |
3 | ジョナサン・レイ | Honda | 22 | +6.901 |
4 | C.チェカ | ドゥカティ | 22 | +7.457 |
5 | L.キャミア | アプリリア | 22 | +7.564 |
6 | S.バーン | ドゥカティ | 22 | +11.420 |
16 | ヴィットリオ・イアンヌッツォ | Honda | 22 | +59.135 |
17 | シェリダン・モライス | Honda | 22 | +59.852 |
RT | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 3 | +19Laps |
スーパーバイク(レース2)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M.ビアッジ | アプリリア | 22 | 38:06.128 |
2 | L.ハスラム | スズキ | 22 | +0.191 |
3 | C.クロッチロー | ヤマハ | 22 | +0.658 |
4 | C.チェカ | ドゥカティ | 22 | +1.015 |
5 | L.キャミア | アプリリア | 22 | +3.123 |
6 | J.トーズランド | ヤマハ | 22 | +9.131 |
15 | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 22 | +37.372 |
RT | シェリダン・モライス | Honda | 12 | +10Laps |
RT | ジョナサン・レイ | Honda | 7 | +15Laps |
RT | ヴィットリオ・イアンヌッツォ | Honda | 7 | +15Laps |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 20 | 35:21.143 |
2 | J.ラスコルツ | カワサキ | 20 | +0.031 |
3 | ミケーレ・ピロ | Honda | 20 | +8.879 |
4 | C.デイビス | トライアンフ | 20 | +15.270 |
5 | F.フォーレ | カワサキ | 20 | +22.096 |
6 | 藤原克昭 | カワサキ | 20 | +23.041 |
7 | ロビン・ハームス | Honda | 20 | +30.830 |
8 | ジノ・レイ | Honda | 20 | +35.171 |
9 | マッシモ・ロッコリ | Honda | 20 | +35.225 |
11 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 20 | +49.540 |
13 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 20 | +1:08.602 |
14 | バスティン・シェゾー | Honda | 20 | +1:13.455 |
15 | ダニーロ・デロモ | Honda | 20 | +1:30.738 |
16 | パオラ・カッツォーラ | Honda | 20 | +1:30.852 |
RT | ミゲル・プライア | Honda | 16 | +4Laps |
ライダー(スーパーバイク)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | L.ハスラム | スズキ | 85 |
2 | M.ビアッジ | アプリリア | 69 |
3 | C.チェカ | ドゥカティ | 60 |
4 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | 46 |
5 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 43 |
6 | ジョナサン・レイ | Honda | 39 |
17 | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 5 |
18 | ジョシュア・ブルックス | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(スーパーバイク)
順位 | ライダー | ポイント |
---|---|---|
1 | スズキ | 85 |
2 | ドゥカティ | 71 |
3 | アプリリア | 69 |
4 | Honda | 40 |
5 | ヤマハ | 32 |
6 | BMW | 29 |
7 | カワサキ | 7 |
ライダー(スーパースポーツ)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 41 |
2 | J.ラスコルツ | カワサキ | 40 |
3 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 30 |
4 | F.フォーレ | カワサキ | 22 |
5 | D.サロン | トライアンフ | 19 |
6 | ロビン・ハームス | Honda | 18 |
8 | マッシモ・ロッコリ | Honda | 17 |
9 | ミケーレ・ピロ | Honda | 16 |
11 | ジノ・レイ | Honda | 14 |
13 | ミゲル・プライア | Honda | 7 |
14 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 3 |
16 | バスティン・シェゾー | Honda | 2 |
17 | パオラ・カッツォーラ | Honda | 2 |
18 | ダニーロ・デロモ | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(スーパースポーツ)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 50 |
2 | カワサキ | 40 |
3 | トライアンフ | 26 |