鈴鹿8時間耐久ロードレース
リザルト・レポート
2011年7月31日鈴鹿8耐 決勝 レポート

秋吉/伊藤/清成組が3強の争いを制して優勝!
高橋/玉田/岡田組が3位表彰台獲得!

2011年7月31日(日)・決勝 会場:三重県・鈴鹿サーキット 天候:晴れ 気温/湿度:28.9℃/68% 観客:5万5500人

7月31日(日)に三重県・鈴鹿サーキットにて「2011 QTEL FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦 “コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第34回大会」(鈴鹿8耐)の決勝レースが行われました。

F.C.C. TSR Honda

今年の鈴鹿8耐は東日本大震災への配慮から、節電を目的にスタートの時間が1時間早く、チェッカーも1時間早くなり、名物のナイトランがなくなりました。また、今年は暑い時間帯の走行が1時間増えることから、チーム構成の主流がライダー2名体制から3人体制へと変化しました。

さらに、周回数記録の更新への期待も高まる大会となりました。鈴鹿サーキットのコース改修前、Hondaが6回ピット作戦を実行した2002年、加藤大治郎/C・エドワーズ組が成し遂げた219周が記録として残っており、それを超えるかにも注目が集まりました。

今年の最終予選は2年ぶりに、1名ずつのタイムアタックで競われる「トップ10トライアル」が予定されました。29日(金)に公式予選が行われ、そこでの上位10チームがトップ10トライアルへの出場権を得ます。

公式予選では、#12 加賀山就臣/J.ウォーターズ/青木宣篤組(スズキ)が1番手、#11 秋吉耕佑/伊藤真一/清成龍一組(F.C.C. TSR Honda)は2番手、#634 高橋巧/玉田誠/岡田忠之組(MuSASHi RT HARC-Pro.)は3番手。4番手に#7 中須賀克行/G.ジャバニ/I.ジャーマン組(ヤマハ)、5番手に#25 安田毅史/徳留和樹組(Honda鈴鹿レーシングチーム)と続きました。11番手以降は、この公式予選の順位がスターティンググリッドとして確定しました。話題の#27 中木亮輔/津田一磨/鈴木慎吾組(TEAM SHINSUKE)は26番手からのスタートなりました。

30日(金)のトップ10トライアルは、直前の雨のためにスケジュールが変更され、各チームの第1ライダー、第2ライダーごとにタイムアタックのための予選走行枠が20分ずつ設けられました。この両セッション総合のラップタイム順で、決勝の上位10グリッドが決められます。

第2ライダーによるセッションでは#11伊藤がトップタイムを記録。続いて行われた第1ライダーのアタックでは、転倒車が出たことから赤旗中断となり、アタックのタイミングをつかむのが難しい状況となりました。その中で最速タイムは#12加賀山、僅差で#7中須賀が2番手に続き、3番手は#634高橋となりました。#11秋吉はコースアウトする場面もあり、タイム更新のチャンスがつかめず、4番手となりました。5番手には#25安田がつけました。

31日(日)、直前の予報では雨も覚悟の決勝当日を迎えましたが、終日晴れて熱い日差しが降り注ぎ、8耐らしい酷暑となりました。

午前10時30分、伝統のル・マン式スタートが切られました。#11 F.C.C. TSR Hondaは、スタートライダーを清成に変更。清成はホールショットを奪い、レースをリード。それを#12加賀山、#634高橋、#7中須賀、#25安田が追う展開。#11清成は6周目に2分8秒75のファステストラップを叩き出し、首位を強固なものにします。#11清成は2分9秒台前半で周回、ジワジワとアドバンテージを広げ、16周目には5秒818差まで広げました。しかし、17周目のヘアピンでまさかのスリップダウン。幸いにもすぐにコース復帰しますが、#12加賀山が先行し、2番手となりました。チームは緊急ピットインに備えて準備しますが、#11清成はピットインせずに走り続けてトップを猛追。周回遅れの影響を受けつつも快走を続け、21周目の1コーナーで#12加賀山を捕らえて首位奪回。何事もなかったように2分10秒台へとタイムを戻し、周回を重ねました。3番手は#634高橋と#7中須賀で争われていましたが、20周目に中須賀が緊急ピットイン、マシンをガレージに入れての修復となりました。#634高橋は単独3位、4位に#25安田、5位に#3 クラウン警備保障RACINGの浜口俊之(北口浩二/渡辺一馬組)、6位に#2 Honda DREAM RT 桜井ホンダのW.マクスウェル(J.スタファー組)が続きました。

26周目、トップ3が続々とピットイン。#11 F.C.C. TSR Hondaは、清成の転倒により左側のクラッチレバーが途中から折れていることを確認しますが修復せず。#11秋吉がマシンにまたがりますが、ピット作業に手間取り、遅れました。素早いピット作業でコースインしたのは#634玉田。#634玉田がトップに立って、僅差で#12ウォーターズが続きました。

27周目、トップの#634玉田、#12ウォーターズの差はコンマ差ですが、ウォーターズと#11秋吉との差は7秒と開いてしまいます。しかし、#11秋吉はペースアップして2分9秒台で追い上げ、33周目には#12ウォーターズを、34周目には#634玉田を捕らえてトップに浮上し、2分10秒台で周回して独走態勢を築きあげました。#634玉田、#12ウォーターズはともに11秒台で、僅差のまま周回を重ねました。5番手走行の#25徳留は給油が完全でなかったことから再度ピットインして、11位に順位を落としてしまいます。4位には#2スタファー、5位に#1V.フィリップ(スズキ、A.デラール/酒井組)、6位に#999関口太郎(テルル・ハニービーレーシング、岩田悟/野田弘樹組)のオーダーとなりました。

#634玉田が43周目のメインストレートで#11秋吉をかわしてトップに浮上、玉田、秋吉、#12ウォーターズの三つ巴の戦い。45周目のシケインで、#11秋吉がハードブレーキングで#634玉田を捕らえてトップに再浮上。50周目には#12ウォーターズが#634玉田を捕らえて2番手に浮上し、この時点で#11秋吉、#12ウォーターズ、#634玉田のオーダーとなります。

53周目にトップ3が同時にピットイン。#634 MuSASHi RT HARC-Pro.は13秒のピットストップ、#12 ヨシムラスズキが16秒、#11 F.C.C. TSR Hondaはクラッチレバーの修復を行い39秒のストップ。トップでコースインしたのは#634岡田、続く#12青木がすかさず岡田を捕らえましたが、シケインで岡田が前に出ると、青木はメインストレートで並び先行、岡田はバックストレッチで青木を抑え首位に立ちました。トップ争いは激しい攻防戦となり、70周目に#12青木がデグナー1つ目で前に出ますが、73周目には#634岡田が130Rで青木を捕らえて首位奪回。#634岡田、#12青木、#11伊藤のオーダーとなりました。

81周目に、トップ3はまた、ほぼ同時にピットイン。トップでコース復帰した#634高橋を、82周目に#12加賀山がダンロップでパスして先行。#12加賀山、#634高橋のオーダーで周回を重ねました。ペースアップした3番手の#11清成は、#634高橋と30秒近くあった差を18秒と詰め、108周目のライダー交代で秋吉へとバトンを渡しました。

110周目、ライダー交代した#634玉田がシケインで#12ウォーターズを捕らえてトップに浮上。その後方、2分8秒634とファステストラップを記録しながら追撃に入る#11秋吉は、#634玉田との差を約15秒と詰めていきます。トップ争いは114周目のシケインで、あわや接触という激しさ。3番手の#11秋吉は、トップ集団との差を118周目には約5秒まで短縮。122周目、#11秋吉はトップ争いの背後へと詰め寄り、バックストレッチで2番手に浮上し、さらにシケインで#634玉田を捕らえてトップに躍り出ました。

124周目、#12ウォーターズがデグナー1つ目で#634玉田の前に出て、#11秋吉、#12ウォーターズ、#634玉田とポジションが変わります。#634玉田はペースが上がらす、2位の#12ウォーターズとの差が約15秒と広がりました。

136周目、トップ3が同時にピットイン。#11秋吉から清成へ、#12ウォーターズから加賀山へ、#634玉田から岡田へとライダー交代。トップの#11清成は2分9秒台へとタイムアップして、160周目には#12加賀山との差を10秒495と広げていきます。続く2番手#12加賀山と3番手#634岡田の差は約37秒と広がってしまいます。

163周目、#12加賀山から青木へ、164周目に#11清成から秋吉、#634岡田から高橋へとライダー交代。トップ#11秋吉、2番手#12青木。3番手の#634高橋は2分9秒台にタイムアップしますが、なかなか#12青木との差は詰まりません。それでもあきらめずにトップ3の中で最速タイムを記録しながら周回を重ねました。

残り1時間をきり、最後のライダー交代。まず192周目に#12青木から加賀山へ。#11秋吉から清成へ、#634高橋から玉田へ。トップの#11清成は2分10秒台にタイムを上げ、#12加賀山を引き離して勝利へと突き進みます。

そして、午後6時30分にチェッカー。#11清成は、そのまま217周を走りきり、勝利を飾りました。この勝利で伊藤と清成は鈴鹿8耐での勝利回数を4に伸ばし、歴代2位となりました。44歳の伊藤は、「最年長優勝ライダー」という記録も作ることになりました。2位には#12加賀山、3位には#634玉田が入りました。

6位には#3 浜口/北口/渡辺組が入りました。#999 野田/関口/岩田組は8位。1回目のピットイン時に給油がうまくいかず、4番手から大きく順位を落とした#25 安田/徳留組は、一時は5番手までばん回。しかし再びクラッチトラブルが発生し、我慢の走りを強いられながらも13位でチェッカーを受けました。#27 中木/津田/鈴木組は目標の15位以内を達成する14位でチェッカー。一時、4番手を走行していた#2 スタファー/マクスウェル組は、183周目に立体交差下でマシンストップ、マシンを修復して再びコースインしようとしましたが、ピットロード出口で、再びマシンがストップしてリタイアとなりました。

  • F.C.C. TSR Hondaのウイニングラン
  • 秋吉耕佑選手
  • 伊藤真一選手
  • 清成龍一選手
  • 伊藤真一選手(左)と清成龍一選手
  • 秋吉耕佑選手
  • 岡田忠之選手(左)と玉田誠選手
  • 高橋巧選手
  • 玉田誠選手
  • 岡田忠之選手
コメント

秋吉耕佑 (優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda 「レースウイークを使ってギリギリまでマシンの調整をしていました。その時間があったから、8時間を乗りきれたのだと思います。今回はレースをコントロールすることができましたし、3チームでトップ争いができたこともよかったと思います。伊藤さんと組んで出た8耐では転んでしまったし、昨年も勝てませんでした。『勝てる勝てる』と言われて勝てなかったので、今回、勝つことができてよかったです」

伊藤真一 (優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda 「雨なら自分が、ドライなら清成が出ると2人で準備していました。速さを持った秋吉、強じんな体力がある清成、2人の力を引き出せるマシン作りを、事前テストからレースウイーク中の走行チャンスすべてを使って詰めていきました。清成が期待に応えてくれましたし、秋吉もしっかりつないでくれました。一回しか走るチャンスがなく、そこで自分の走りができなかったことが残念ですが、勝つことができて本当によかったと思います」

清成龍一 (優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda 「セッティングに関しては、伊藤さんと秋吉さんにまかせ、自分は走ることに集中させてもらいました。勝てる状況を作ってくれたのに、自分のミスで転んでしまい、そのことで勝つことができなかったらどうしようと、ずっとヒヤヒヤしていました。8耐は最後まで何があるか分からないので、チェッカーの瞬間まで気を抜かずに精一杯走りました。勝つことができてホッとしています」

高橋巧 (3位)|#634 MuSASHi RT HARC-Pro. 「全日本でも、序盤のペースが上がらず、走り慣れてくるとペースが上がるという課題が、8耐でも出てしまいました。今は、悔しい気持ちでいっぱいです」

玉田誠 (3位)|#634 MuSASHi RT HARC-Pro. 「トップ争いができている時は楽しめたのですが、ペースを上げられなくなり、チームに貢献できずに悔しいです」

岡田忠之 (3位)|#634 MuSASHi RT HARC-Pro. 「ノブ(青木宣篤)とのバトルは楽しく走れ、タイヤのライフが終わってからの走りの感覚なども戻ってきていたので、もっと走りたかったですね。自分は久しぶりにレースができてうれしかったのですが、優勝という目標に届かなかったことは残念です」

リザルト
決勝
順位 No. チーム/ライダー マシン
111F.C.C. TSR Honda
秋吉耕佑/伊藤真一/清成龍一
Honda217Laps
212ヨシムラSUZUKIRacingTeam
加賀山就臣/J.ウォーターズ/青木宣篤
スズキ+38.765
3634MuSASHi RT HARC-Pro.
高橋巧/玉田誠/岡田忠之
Honda+1:31.162
499BMW MOTORRAD FRANCE 99
S.ジンバート/E.ナイゴン/D.カドリン
BMW+5Laps
501エヴァRT初号機トリックスターFRTR
出口修/芹沢太麻樹/武石伸也
カワサキ+6Laps
63クラウン警備保障RACING
浜口俊之/北口浩二/渡辺一馬
Honda+7Laps
794YAMAHA RACING FRANCE GMT94 IPONE
D.チェカ/M.ラグリブ/K.フォレイ
ヤマハ+7Laps
8999テルル・ハニービーレーシング
岩田悟/関口太郎/野田弘樹
Honda+7Laps
91SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM
V.フィリップ/A.デラール/酒井大作
スズキ+9Laps
10104TOHO Racing 広島デスモ
山口辰也/國川浩道/江口謙
ドゥカティ+11Laps
     
1140Honda浜松エスカルゴ&PGR&狭山&H-TEC関東
久保山正朗/中津原尚宏
Honda+12Laps
1275RIDEZ & PANOLIN
里実/五十嵐明弘/清水匠
Honda+12Laps
1325Honda鈴鹿レーシングチーム
安田毅史/徳留和樹
Honda+12Laps
1427TEAM SHINSUKE
中木亮輔/津田一磨/鈴木慎吾
Honda+13Laps
1634Honda 緑陽会 熊本レーシング
吉田光弘/飯田将人/北折淳
Honda+13Laps
1823鈴鹿コミュニティーレーシングチーム
下地申悟/松井秀樹
Honda+14Laps
1985Honda QCT 明和レーシング
安藤元之/山中正之
Honda+14Laps
2367Honda DREAM RT 和歌山
西中綱/三木章宏/権随廉
Honda+15Laps
28112Honda EG Racing
栗林剛/本田恵一/本道雅樹
Honda+18Laps
2941Hondaオールホンダ社内合同チーム
野寄真二/大山翼
Honda+19Laps
3166アローツリー・プリージング&オーテックスズカレーシング
大内田実/矢木清貴/渡辺幸夫
Honda+20Laps
3360HondaブルーヘルメットMSC
大塚卓也/栗田伸一
Honda+21Laps
3673CLUBNEXT&中村eng
吉広敦/喜多田学/清水郁巳
Honda+23Laps
3987チーム岡山Trouble Tribe
花房一樹/佐藤大輔/田村武士
Honda+25Laps
RT2Honda DREAM RT 桜井ホンダ
J.スタファー/W.マクスウェル
Honda+35Laps
RT28Team ホンダ学園
古澤基樹/浜口喜博
Honda+65Laps
RT111Honda向陽会ドリームレーシングチーム
海老沼孝志/中村浩/倉山寿生
Honda+99Laps
RT77HONDA TT LEGENDS
J.マックギネス/K.アモレ/C.ドナルド
Honda+164Laps

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