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鈴鹿8耐 30年にかける思い 宮城光 インタビュー
2007 SUZUKA 8HOURS
宮城光 インタビュー

30回目という節目を迎える鈴鹿8耐。この伝統のレースに、80年代はライダーとして、そして近年はチーム監督として参戦している宮城光氏。5年目を迎えた仮面ライダーチームを率いる宮城監督に、8耐30年にかける思い、そして仮面ライダー電王Honda DREAM RTの監督としての意気込みを聞いた。

ライダーとしての8耐の思い出

宮城光何度か8耐参戦の経験がありますが、実は、あまりいい思い出がなく、当時は走る意味を見出せなかったというのが正直なところなんです。モリワキから初めて8耐に参戦したのが1984年です。8耐を1つの特別なレースと考えるというより、モリワキの速さをみんなに知らせたいという思いの方が強かったですね。モリワキは81年にワイン・ガードナーが予選で2分14秒76というポールポジションタイムを記録して森脇護社長が男泣きしたという出来事があり、モリワキライダーは、レコードタイムに燃えていた。80年のポールポジションタイムが2分17秒62で、82年が2分17秒51ですから、あの当時は、ガードナーが出したタイムは驚異的だったわけです。

森脇社長は自分がチューニングしたマシンのポテンシャルをガードナーが示してくれたことで感動もし、自信も深めることができたと思うのですよ。この出来事はモリワキにとって、とても、大きな出来事だったのをみんなが感じていました。だから、ライダーとしての速さを、とにかく示したいと気持ちは、予選に向いていて、決勝までは考えられなかったですね。実際、予選ではガードナーにはなれず全開で飛び出して転倒、決勝はトラブルでリタイアでした。

8耐の印象は強烈でした

やはり、ライダーとして1番印象に残っているのは、初めての84年大会です。10万人を超える観客が詰めかけ、どこのコーナーにも道にも人があふれていました。その熱気がサーキットを包んでいましたね。いろいろなバイクが走っていて、普段は日本で見る機会のないライダーたちが、海外からやってきていました。キャンペーンギャルもたくさんいて、何もかもがキラキラ輝いていましたね。すごく、空が青かったことを覚えています。

1984年
750cc化した84年は、RS750Rを駆るM.ボールドウィン/F.マーケル組が優勝

今とは違った8耐の魅力

あの頃は、町のバイク屋さんが思い思いにチューニングしたバイクで8耐を目指していたように思います。そこには、参加するだけでいい、予選を走るだけでいいと思う人も、決勝に残れればというだけのライダーたちやチームもいて、駄目なら駄目でそれでもいいと、がむしゃらに8耐を目指していたように思います。8耐を走ることに答えなんてなかった。答えを求めているわけでもないという混沌とした雰囲気が魅力でもあったと思います。

それが、85年にキングと呼ばれたケニー・ロバーツが8耐にやって来た。あの頃から、少しずつ、8耐が変貌を遂げたのだと思います。メーカーも力を入れ、勝利にこだわるようになり、レースもハードな内容になってきた。今ではワンミスも許されない厳しい戦いへと様変わりし、あの頃とは違った魅力でファンをひきつけているのだと思います。

1985年
85年は8耐通算4勝を記録したW.ガードナーが徳野政樹と組んで1勝目を挙げた

監督として、できる限りのサポートを

5年前から仮面ライダーの監督を務めさせて頂いているのですが、8耐を通じた監督であって、全日本ロードレース選手権を一緒に戦いながら、チームとして活動していらっしゃる監督の方々に比べれば非力さを感じます。その中で、自分が何をできるのか懸命に考えてチームに貢献しようとしています。アメリカンスーパーバイク選手権の伝説のライダーで、僕の大好きなキース・コードというライダーの言葉をいつも思い出しています。「トイレットペーパーがたくさんあったら、制限なく使うけど、もし、1枚しかないとしたら、人間は頭を使って最大限に利用することを考えるだろう」というものです。8耐に向けて、テストは無限に積み重ねたい。これもやりたい、これも試してみたい。それでも、時間は限られている。その中で、本当に重要なものを考えて選んで実行する。1枚のトイレットペーパーを有効に使うことを考えるのです。そうすると、おのずと、やるべきことが見えてきます。

若手ライダーの成長を助けたい

2003年の8耐には全日本ロードレース選手権を走っていた高橋裕紀選手を起用することになりました。高橋選手は、250のライダーで、JSBの経験があまりありませんでしたので、なるべく、彼のライディングを見るように気をつけていました。やっぱり、250の乗り方になってしまう部分があって、鈴鹿サーキットのS字、ダンロップの走り方をアドバイスしたことがありました。高橋選手が順応性のある優秀なライダーであることもありますが、僕のアドバイスを実行してくれ、つながりが格段によくなりタイムアップしてくれました。

徳留和樹徳留選手が05年の計時予選で好タイムを出してくれたことも印象に残っていますが、彼は普段からJSBに乗っているライダーですし、アドバイスすることは、あまりありません。これからのライダーですし、成長過程にありますから、彼のよさを引き出せるように心がけています。今年は徳留和樹選手と鎌田学選手のコンビで走ります。徳留選手にとっては、これまでと違うタイプの鎌田選手と組むことで発見があると思いますし、ライダーの幅が広がるはずです。今年の8耐は学ぶことが多いのではないかと期待しています。

2007年鈴鹿8時間耐久を前に

鎌田学鎌田選手は昨年のオフのケガで入院していたこともあり、本格復帰はこの8耐です。体調を心配する声もありますが、彼は03年の8耐勝者でもあり、レース経験も豊富ですから、心配はしていません。鎌田選手が全面的に徳留選手のサポートを申し出てくれているので、徳留選手が中心のチーム作りになっています。ライダーのバランスをとるのが8耐の難しさでもありますから、徳留選手中心に、彼のよさを引き出そうと、チーム一丸となって準備ができるのはプラス要素だと思います。毎年、表彰台に上がれる可能性も実力もあると信じていますので、その力を示したいですね。

私たちのチームのマシンはHRCが販売しているキットパーツを純粋に組み込んだ市販マシンで、特別なものではありません。応援してくれるファンの方々にとっても、身近なマシンです。そのマシンで、どこまで強豪に立ち向かうことができるのかも見どころです。仮面ライダーを応援してくれる方々は親子連れの方が多いので、子供たちに夢を与えられるレースをしたいと思っています。

仮面ライダー電王Honda DREAM RT

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