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2007 SUZUKA 8HOURS
鈴鹿4耐 決勝レポート
最終ラップの攻防、転倒再スタートでつかんだ岩谷/谷組の劇的優勝。2位深津/向山組、3位藤島/長谷組とHonda勢が表彰台独占!
2007年7月28日(土)・決勝
会場:三重県 鈴鹿サーキット 天気:晴れ 気温:30.1℃ 観客:4万1000人
リザルト

真夏の祭典、鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)と同時開催で行われる鈴鹿4時間耐久ロードレース(4耐)。アマチュアライダーが出場できる国内最高の舞台として、全国からライダーたちが集結する。ライダーたちはこの4耐をステップとして、全日本選手権や8耐に参戦できる国際ライセンスの取得を目指す。トップライダーを夢見るライダーたちの登竜門として、この4耐は数多くの有名ライダーを生み出してきた。今年は全78チーム、155人のライダーたちが、たった1つしかない勝利を目指した。

鈴鹿8耐

酷暑となった予選でポールポジションを獲得したのは#19 モリワキクラブの藤島翔太/長谷友博組。モリワキクラブは'05年に4耐での優勝経験があり、今年も優勝を狙う。2番手は坂本晃一/山本佑司組(#49 スズキ)、3番手に深津拓真/向山将弘組(#88 CLUB 桜井ホンダ&OSGフェニックス&モトスポーツ)、4番手に桐井有希/筒井伸組(#26 CLUB モトラボ EJ with 鞍馬サンド)、5番手に竹之内淳司/池主永組(#61 ACTIVEteamTOYBOY&Arrow Tree Racing)と続き、トップ5の内4台がCBR600RRとなった。

予選を勝ち抜いた72台がグリッドにつき、午前8時30分にル・マン式で決勝のスタートが切られた。ホールショットを奪ったのは深津だが、すかさず桐井がトップを奪う。2番手に#6 DOG HOUSE&シーベルwithオーテック&ロードウエイの岩谷圭太/谷雄太組の岩谷がつけた。3番手に坂本となり、鈴鹿サンデーロードレースで上位に顔を出す岩谷と坂本の争いから坂本が2番手に浮上する。

トップは桐井、坂本で争われ、2台は22ラップ目、ほぼ同時にピットイン。坂本は素早いピットワークで山本に交代、トップでコース復帰して、それに筒井が続いた。だが、山本は28ラップ目にマシンに異変を感じてイレギュラーのピットイン、コース復帰するもトップから脱落した。そこで普段は1000ccに乗っている谷が600ccでも安定した速さを示してトップに浮上。2番手に筒井、3番手藤島、4番手にはマシンの不調で一時17番手までポジションダウンした深津/向山組が追い上げ、Honda勢が上位4番手までを独占して、トップ争いを繰り広げた。

2時間が経過、トップの岩谷は相変わらず快調なペースで飛ばし、2番手の桐井に約24秒ものアドバンテージを築く。桐井は単独2番手で、その後方、約24秒離れて3番手には長谷、さらに4番手に深津が続く。暑さもピークを迎え、各コーナーで転倒者が相次いだ。混沌とした状況の中でも、岩谷/谷組は安定してトップをキープし、確実に周回を重ねていく。2番手の桐井/筒井組も淡々と周回を重ねる。桐井は4耐前哨戦といわれる「鈴鹿ST600 20Lapsロードレース」で独走優勝を飾っており、その実力は高く、追い上げに期待が集まった。3番手は20才の藤島と23才の長谷とのフレッシュコンビで、タイムアップしてジリジリと上位に迫る。4番手の深津は鈴鹿サンデーロードレースST600のランキング2位、合方の向山はランキングトップ。この実力者コンビも追い上げてきた。

そのトップ争いに異変が起きたのが58ラップ目。2番手の桐井が転倒を喫して右ステップを曲げてしまい、急きょピットイン。修復してコース復帰するも13番手まで順位を落とす。トップは変わらないものの、自動的に長谷が2番手に浮上、3番手に深津となった。61ラップ目、上位3台が、次々とピットインして、ライダー交代。残り1時間26分、終盤の戦いへと飛び出していった。3番手の向山はペースアップして2番手藤島に襲いかかり、76ラップ目には追いついて2番手に浮上した。残り40分を切ると最後のライダー交代が行われ、上位陣が次々とピットインし、再びコースインしていく。

トップの岩谷を深津が追い、その差は約11秒と詰まってきた。残り20分でどこまで追いつけるかが焦点となる。岩谷が2分27秒台を刻むのに対して、深津は2分24秒台で追う。94ラップ目には、その差が4秒154、95ラップ目には2秒208、96ラップ目には1秒を切り0.844まで迫る。

97ラップ目、深津は射程距離に岩谷を捕らえて背後に迫る。スプーンで深津が仕掛けるも岩谷は耐える。再びストレートで並びかけ、130R手前で深津はついに岩谷を捕らえてトップに浮上、逆転に成功した。だが、岩谷も深津に食い下がり、2分25秒025とタイムアップして迫る。最終ラップ、息を吹き返した岩谷は得意のシケイン飛び込みで深津の前に出た。だが、深津も負けずにシケイン2つ目でインに飛び込む。譲らない2人は接触し、ともにグリーンに飛び出して転倒、すぐさまマシンを起こして、一足先にチェッカーを目指した岩谷が優勝を飾った。2位に深津、3位に藤島が入り、Honda勢が表彰台を独占した。

リバイバルクラス(Honda、カワサキは'06年型以前、スズキ、ヤマハは'05年以前の型落ちマシンを使用)では総合6位に入ったProject X Racing 鞍馬サンドの石塚喜之/中西宏明組がトップとなった。

ライダー&チームのコメント

優勝 #6 岩谷圭太(DOG HOUSE&シーベルwithオーテック&ロードウエイ)
「夢のようです。まさか、転倒して勝てるなんて……。今年で4耐は8度目の挑戦です。最高位は4位なのですが、そのときは、最後に逆転されて表彰台を逃したんです。今回もと思うと、あきらめられませんでした。最後は滑りまくりで、いつ転ぶかという状況でしたが、シケインは得意なのでインに飛び込みました。自分のラインでしたが、深津選手につけこまれるスキを与えたのだと思います。横から突っ込まれる格好だったので、転倒は避けられませんでした。とにかく、起こしてゴールすることだけ考えてチェッカーを受けました。勝てたのか確信が持てなくて、ウイニングランのときにシケインでオフィシャルの人に確認して……。本当に夢心地です。今回は峠を走っていたときに知り合った谷君を誘って、峠仲間で勝ちたかった。夢がかないました」

優勝 #6 谷雄太(DOG HOUSE&シーベルwithオーテック&ロードウエイ)
「一緒に走ろうと誘われたのが1カ月前くらいでした。新型のCBR600RRに乗ってみたかったのもありました。5年前に一緒に走ったこともあって、やってみようと思いました。テストは2回くらい。決勝では自分が2回目の走行のときにミスのないようにと慎重になり過ぎたことで追いつかれる原因を作ってしまったという反省もあります。岩谷君は熱いライダー魂を持った奴なので、最後は絶対に勝ってくれると信じていました」

2位 #88 深津拓真(CLUB 桜井ホンダ&OSGフェニックス&モトスポーツ)
「スタートはうまくいったのですが2ラップ目くらいからブレーキの調子が悪くなってしまい、ペースが上げられなくなってしまいました。手元で調整しながら走って、調子が戻ってからペースを上げました。向山さんがタイムアップして、どんどん、順位を上げてくれたので、自分もがんばろうと思いました。最後は優勝を目指して走りました。勝てなかったのは悔しいですが、2位で表彰台に上がれましたし、悔いのない走りができたと思います。今回は桜井ホンダさんのサポートで、走りに専念できる環境を作って頂きました。感謝しています。来年は全日本に上がってST600で戦いたいです」

2位 #88 向山将弘(CLUB 桜井ホンダ&OSGフェニックス&モトスポーツ)
「4耐のペアライダーがなかなか決まらず、レース直前に深津君と走ることになりました。今回は桜井ホンダさんが助けてくれて、ワークスライダーのような至れり尽くせりの中でレースに集中することができました。深津君が最後まであきらめずに勝負をしてくれたことがうれしいですし、転倒してしまったけれど、あそこで仕掛けてくれたことで悔いが残らずに済みました。あそこで守って安全な2位でレースを終えたら、もっと悔しかったと思うんです。やるだけやっての2位は、気持ちがいい。来年は国際に上がるので8耐に挑戦したいです」

3位 #19 藤島翔太(モリワキクラブ)
「ポールポジションを取ることができて調子もよかった。なのに、勝つことができなくて……。3位はとても悔しい結果です。それでもモリワキさんのスタッフやチームスタッフ、いろいろな人が、僕たちを走らせるために助けてくれたことに感謝しています。来年は、優勝を目指したいです」

3位 #19 長谷友博(モリワキクラブ)
「メチャクチャ悔しいです。目標は優勝だったので、3位という結果はものすごく悔しい。でも、あきらめないでもっともっと練習して、精一杯がんばって、はい上がりたいです」

決勝リザルト

順位 No. チーム/ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 6 DOG HOUSE&シーベルwithオーテック&ロードウエイ
岩谷圭太&谷雄太
Honda 98 4:01:34.595
2 88 CLUB 桜井ホンダ&OSGフェニックス&モトスポーツ
深津拓真&向山将弘
Honda 98 +8.854
3 19 モリワキクラブ
藤島翔太&長谷友博
Honda 98 +10.369
4 97 チームモトクラッシュと走る店長&お兄やん
林規夫
Honda 98 +1:30.237
5 401 Kawasaki401Club #1
岡嶋晋也&田中誠
カワサキ 98 +2:04.379
6 60 Project X Racing 鞍馬サンド
石塚喜之&中西宏明
Honda 98 +2:24.577
7 64 東海オートナガサカレーシング
野田達也&大内田伝
カワサキ 97 +1Lap
8 26 CLUB モトラボ EJ with 鞍馬サンド
桐井有希&筒井伸
Honda 97 +1Lap
9 63 DOG FIGHT RACING
草薙伸一&佐々木幸弘
ヤマハ 97 +1Lap
10 37 BEAMS-MC.COM&ガレージパパとマイスター&ビークル
樋榮聖&中村浩
Honda 97 +1Lap
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