真夏の祭典、鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)と同時開催で行われる鈴鹿4時間耐久ロードレース(4耐)。アマチュアライダーが出場できる国内最高の舞台として、全国からライダーたちが集結する。ライダーたちはこの4耐をステップとして、全日本選手権や8耐に参戦できる国際ライセンスの取得を目指す。トップライダーを夢見るライダーたちの登竜門として、この4耐は数多くの有名ライダーを生み出してきた。今年は全78チーム、155人のライダーたちが、たった1つしかない勝利を目指した。
![鈴鹿8耐](images/02.jpg)
酷暑となった予選でポールポジションを獲得したのは#19 モリワキクラブの藤島翔太/長谷友博組。モリワキクラブは'05年に4耐での優勝経験があり、今年も優勝を狙う。2番手は坂本晃一/山本佑司組(#49 スズキ)、3番手に深津拓真/向山将弘組(#88 CLUB 桜井ホンダ&OSGフェニックス&モトスポーツ)、4番手に桐井有希/筒井伸組(#26 CLUB モトラボ EJ with 鞍馬サンド)、5番手に竹之内淳司/池主永組(#61 ACTIVEteamTOYBOY&Arrow Tree Racing)と続き、トップ5の内4台がCBR600RRとなった。
予選を勝ち抜いた72台がグリッドにつき、午前8時30分にル・マン式で決勝のスタートが切られた。ホールショットを奪ったのは深津だが、すかさず桐井がトップを奪う。2番手に#6 DOG HOUSE&シーベルwithオーテック&ロードウエイの岩谷圭太/谷雄太組の岩谷がつけた。3番手に坂本となり、鈴鹿サンデーロードレースで上位に顔を出す岩谷と坂本の争いから坂本が2番手に浮上する。
トップは桐井、坂本で争われ、2台は22ラップ目、ほぼ同時にピットイン。坂本は素早いピットワークで山本に交代、トップでコース復帰して、それに筒井が続いた。だが、山本は28ラップ目にマシンに異変を感じてイレギュラーのピットイン、コース復帰するもトップから脱落した。そこで普段は1000ccに乗っている谷が600ccでも安定した速さを示してトップに浮上。2番手に筒井、3番手藤島、4番手にはマシンの不調で一時17番手までポジションダウンした深津/向山組が追い上げ、Honda勢が上位4番手までを独占して、トップ争いを繰り広げた。
2時間が経過、トップの岩谷は相変わらず快調なペースで飛ばし、2番手の桐井に約24秒ものアドバンテージを築く。桐井は単独2番手で、その後方、約24秒離れて3番手には長谷、さらに4番手に深津が続く。暑さもピークを迎え、各コーナーで転倒者が相次いだ。混沌とした状況の中でも、岩谷/谷組は安定してトップをキープし、確実に周回を重ねていく。2番手の桐井/筒井組も淡々と周回を重ねる。桐井は4耐前哨戦といわれる「鈴鹿ST600 20Lapsロードレース」で独走優勝を飾っており、その実力は高く、追い上げに期待が集まった。3番手は20才の藤島と23才の長谷とのフレッシュコンビで、タイムアップしてジリジリと上位に迫る。4番手の深津は鈴鹿サンデーロードレースST600のランキング2位、合方の向山はランキングトップ。この実力者コンビも追い上げてきた。
そのトップ争いに異変が起きたのが58ラップ目。2番手の桐井が転倒を喫して右ステップを曲げてしまい、急きょピットイン。修復してコース復帰するも13番手まで順位を落とす。トップは変わらないものの、自動的に長谷が2番手に浮上、3番手に深津となった。61ラップ目、上位3台が、次々とピットインして、ライダー交代。残り1時間26分、終盤の戦いへと飛び出していった。3番手の向山はペースアップして2番手藤島に襲いかかり、76ラップ目には追いついて2番手に浮上した。残り40分を切ると最後のライダー交代が行われ、上位陣が次々とピットインし、再びコースインしていく。
トップの岩谷を深津が追い、その差は約11秒と詰まってきた。残り20分でどこまで追いつけるかが焦点となる。岩谷が2分27秒台を刻むのに対して、深津は2分24秒台で追う。94ラップ目には、その差が4秒154、95ラップ目には2秒208、96ラップ目には1秒を切り0.844まで迫る。
97ラップ目、深津は射程距離に岩谷を捕らえて背後に迫る。スプーンで深津が仕掛けるも岩谷は耐える。再びストレートで並びかけ、130R手前で深津はついに岩谷を捕らえてトップに浮上、逆転に成功した。だが、岩谷も深津に食い下がり、2分25秒025とタイムアップして迫る。最終ラップ、息を吹き返した岩谷は得意のシケイン飛び込みで深津の前に出た。だが、深津も負けずにシケイン2つ目でインに飛び込む。譲らない2人は接触し、ともにグリーンに飛び出して転倒、すぐさまマシンを起こして、一足先にチェッカーを目指した岩谷が優勝を飾った。2位に深津、3位に藤島が入り、Honda勢が表彰台を独占した。
リバイバルクラス(Honda、カワサキは'06年型以前、スズキ、ヤマハは'05年以前の型落ちマシンを使用)では総合6位に入ったProject X Racing 鞍馬サンドの石塚喜之/中西宏明組がトップとなった。
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