マイカーが夢だった時代。
1960年代。それは「明日はきっと、今日より良くなる」と、みんなが未来に希望を抱いていた時代。オリンピックに向けて、日本は急ピッチでその姿を変貌させていた。工業化が進み、テクノロジーが発展するとともに、人々の生活スタイルはめまぐるしく変化した。家庭用テレビの普及と、高速道路や新幹線の開通は日本中を感覚的にも、物理的にもつなげた。にょきにょきと建ち並ぶ高層ビル、ぐんぐんと伸び続ける経済。誰もが同様に豊かさを求めて、一心に上を向いて歩いていた。「新・三種の神器」のひとつとして、クルマは豊かな生活を象徴する存在に。「マイカー」という言葉も生まれるが、依然「家族でドライブ」なんていうのは夢のまた夢だった。