JCF MTBジャパンシリーズ ダウンヒルの今シーズン最終戦となる第4戦が、風光明媚な青森県の大鰐温泉スキー場で開催された。Team G Cross Hondaは、内嶋亮選手が2年連続となる優勝、井手川直樹選手も3位の表彰台に上がった。これによりTeam G Cross Hondaは、今シーズンすべての大会において、両ライダーともに表彰台に上がるという安定した成績で、トップチームの座をアピールした。
決勝日の大鰐スキー場は快晴で、9月とはいえ強い日差しが終日照りつける夏日となった。午後のエリートクラス決勝時には、ゴール地点の気温が35℃を記録。ライダーにとっては、水分補給や休息などの体調管理も重要な要素となった。全長3200mの同コース最大の特徴は、「漕ぎの大鰐」といわれるほど、漕ぎセクションが占める割り合いが多いこと。これに加えて、多数の切り株を縫うように走るスリッピーな場所、ジャンプを含む急坂、ロックセクションなどが散りばめられている。練習日の雨模様によりウエットだったコースは、決勝日を迎えるとたちまちドライとなり、ハイスピードを競う攻撃的なレース展開が予想された。
前週に開催された岐阜大会の結果により、すでに井手川選手は今シーズンのナショナルポイントランキング1位に確定しているが、それでもなお大鰐大会初勝利の意欲に燃えていた。そして内嶋選手もまた、ジャパンシリーズランキングをかけたこの最終戦に、並々ならぬ気合で臨んだ。
今大会は予選と決勝スタート時間の間隔が比較的短く、さらに漕ぎセクションが多いこともあって、ライダーにとっては予選走行のペース配分も、大きな作戦となる。30人の決勝進出をかけて58人で行われたエリートクラス男子予選では、内嶋選手が3分45秒650のタイムで予選2番手、井手川選手が3分46秒736で3番手につけた。しかし、ここで安達靖選手(Team Ikuzawa)が1番手タイムを記録したことで、安達選手のジャパンシリーズランキング1位が確定することとなった。
決勝までにコース路面は日陰部分も完全に乾き、予選からのスピードアップとタイムアップは必至となった。予選30位からのリバーススタートで行われた決勝は、ライダーがゴールするたびに次々とタイムが更新され、暫定トップがめまぐるしく入れ替わる。最後から3人目のスタートとなった井手川選手は、これまでにないような勢いのペダリングでスタートダッシュを試みた瞬間、シューズとペダルを固定するビンディングが外れてしまい、わずかなタイムロスを喫してしまう。しかし、すぐに体勢を立て直し、落ち着きを取り戻して走りきった。タイムは3分42秒271で暫定トップ。そのタイムをさらに更新したのは、次にゴールした内嶋選手だった。前半のテクニカルセクションを、まさに飛ぶような鋭い走りでクリアすると、頭を低く落として低い姿勢をキープしたまま、ゴールの瞬間まで力強いペダリングを続けた。タイムは3分40秒037。そして、最終ライダーの安達選手のタイムが3分41秒375と表示された瞬間、内嶋選手の優勝が決まった。今季2勝目、大鰐大会は昨年に続いての連勝で、テクニカルと漕ぎの両セクションを複合したコースでの速さと強さを証明した。今シーズンの参戦大会をすべて終えた両選手は、シーズンオフに入る。
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