JCF MTBジャパンシリーズ第3戦が9月3日、岐阜県のウイングヒルズ白鳥リゾートで開催された。Team G Cross Hondaは井手川直樹選手が2位となり、'06年シーズンのナショナルポイントランキング1位が決定した。チームメイトの内嶋亮選手は、井手川選手に約0.8秒差で3位に入賞。ジャパンシリーズチャンピオンの行方は最終戦へと持ち越された。
今大会は、7月16日に石川県で行われた全日本マウンテンバイク選手権大会から、約1カ月半の長いインターバルを経ての開催となった。先週末ニュージーランドで行われた世界選手権に出場した井手川選手は、世界の強豪と走ることで得た感覚を維持したまま、この第3戦と来週の最終戦に臨む気構えだ。一方、2カ月前のカナダ遠征で背中を痛めていた内嶋選手は、世界選手権を棄権、残り2戦に全てを集中する万全の態勢で臨むことを選択した。
例年は8月に開催され、酷暑のイメージのある白鳥だが、日差しこそまだ強いものの、秋の訪れを感じさせるさわやかなレースウイークとなった。
全長1900mの白鳥のコースは、スタート直後のスピードの出る緩斜面から、木の根が顔を見せるシングルトラックとゲレンデを出入りする中盤、そこからフィニッシュへと駆け下りるレイアウトとなっている。また、今年のコースは、中盤に小さなジャンピングポイントが設置されるなど、ややテクニカルなレイアウトとなった。シングルトラックの一部を除いて大きな難関こそないものの、逆に攻めどころやリズムのつかみ方が難しく、ペダリングの持続力とペース配分も重要なポイントとなってくる。
例年、勝者から1秒以内に数人が並ぶ僅差の結果となる白鳥だけに、少しのミスが結果を大きく左右することになり、最後まで集中力を維持する確実な走りが求められる。
決勝前日は前日の雨でところどころに滑りやすい箇所が残り、コース攻略を試みるライダーたちを悩ませた。事前に現地入りしてコースを走り込み、タイムセッション(計測機テストを兼ねたタイムアタック)で3分5秒907という最速のタイムを出した安達靖選手(Team Ikuzawa)に対して、海外遠征後の体調調整に配慮しながらやや慎重にペースを上げてきた井手川選手が約1.6秒差で続く。さらに、約1.6秒置いて、注意深くコース攻略を進めてきたチームメイトの内嶋選手が続き、路面がよりドライになる決勝当日のタイムは、いよいよ2分台に突入する可能性も見せはじめた。
決勝当日、前日に続く快晴となった白鳥のコースにおいて、予選最速のタイムを叩き出したのは、前日の自己ベストタイムを約1.6秒短縮した安達選手(3分4秒338)だった。これに続いた内嶋選手(3分5秒169)、井手川選手(3分7秒245)ともにミスによるタイムロスがあったといい、決勝は今年も僅差の戦いが予想された。
午後3時20分、30名の予選通過選手による決勝がスタート。昨日より気温も上がり、風も強いこともあって、路面コンディションはさらにドライに変化していた。そのため、各ライダーのタイムは予選と比べて5秒〜10秒短縮している。
トップ10の選手がゴールし始めると、次々に順位が入れ替わる。そしてトップ3のライダーのうち、最初にゴールした井手川選手のタイムは3分2秒992と、それまでのトップタイムを更新するも3分を切ることはできなかった。続く内嶋選手も井手川選手のタイムには約0.8秒およばない。最終走者の安達選手がゲレンデに姿を現したとき、勝利の行方をめぐり場内はどよめきに包まれた。安達選手のタイムは3分00秒967で、井手川選手のタイムをさらに2秒上回り、今回の勝者となった。井手川選手は獲得ポイントにより、'06年シーズンのナショナルポイントランキング1位が確定した。
チームはこの後、次週9月9日(土)に青森県の大鰐温泉スキー場で開催される、今シーズンの最終戦へ向けた調整に入る。
|