JCF MTBジャパンシリーズのダウンヒル第2戦が6月3日、長野県の富士見パノラマリゾートで開催された。Team G Cross Hondaは内嶋亮選手が完璧ともいえる走りで今季1勝目を挙げ、チームメイトの井手川直樹選手が0.5秒差で2位に入賞、第2戦にして待望の1-2勝利となった。
富士見パノラマリゾートは、レベル別に全4本のダウンヒルコースのほか数本の林道コースもあり、ゴンドラや諸設備の充実した国内最大級のMTBフィールド。レースは、競技公認コースであるダウンヒルAコース、全長4200mをフルに使用して、レース用セクションも取り入れて行われた。
コースはスタート後まもなくシングルトラックから林道セクション、さらにハイスピードから切り込むスーパーバンク、S字高速コーナーが続く。そしてコース後半は森の中のロックセクションやジャンプセクションを通過し、最後は広いゲレンデに出てゴールとなる。距離は4200mと長く、ライダーはテクニックとスピード、持久力といった複数の要素を駆使して戦わなければならない。
梅雨入り前のレースウイークは快晴に恵まれ、高原特有の爽やかな気候の中、コース路面も連日ドライコンディションが続いた。レース前日、コースオープンの最後の時間には、エリートクラスのライダーのみでタイムセッション(計測機テストを兼ねたタイムアタック)が行われるのだが、ここで井手川選手が6分4秒台のトップタイムを出して好調をアピール。そして誰よりも富士見のコースを得意とし、この大会5年連続優勝で“富士見マイスター”の異名をとる内嶋選手は、終始冷静なペースで調整を重ねた結果、レース当日、朝の公式練習において完全な状態へと仕上げることができた。
エリートクラス男子75名により行われた予選で、5分59秒511という、ただひとり6分を切るトップタイムを叩き出したのは内嶋選手。続いて井手川選手が6分00秒446のタイムで予選2位に。3位には前回第1戦の覇者でもある安達靖選手(Team Ikuzawa)が6分1秒763で、予選はこの3名のライダーが約1秒差で並び、4位以下を大きく引き離す展開となった。ライダーそれぞれ、決勝ではどのセクションでどのように攻めながら、タイプアップを図って来るかが注目された。
予選タイムのトップ30名による決勝。予選30位の選手から順に15時半にスタートが切られた。ライダーがゴールするごとに暫定トップが入れ替わる激しいバトルが続き、いよいよ予選トップ3のゴールが近づいた。決勝28番目スタートの安達選手の出した5分57秒481というタイムで、暫定トップは再び入れ替わり、会場全体がどよめく。しかしながら、さらにそれを短縮する途中経過タイムで最後のゲレンデセクションに飛び出してきた井手川選手は、予選自己タイムを5秒近く短縮する5分55秒618をマークしてトップに立つ。そして会場全体は最終ライダー、内嶋選手のゴールの瞬間に惹きつけられた。こん身の漕ぎとともに叩き出されたタイムは、井手川選手よりも0.54秒速い5分55秒078。内嶋選手は富士見大会6年連続勝利を達成、チームは今季待望の1-2勝利となった。
ジャパンシリーズは、今季全4戦のうち2戦を消化し、早くも折り返し点を迎えた。現在シリーズランキングでは内嶋選手がトップに立つが、僅差でのポイント争いが展開されている。次回のレースは7月16日、「MTB全日本選手権大会」が石川県のMTBワールド瀬女で開催される。ジャパンシリーズとは別格式の大会で、競技はUCI(国際連盟)規則の年齢別にて行われ、内嶋、井手川両選手は23歳以上のシニア・エリートクラスで、日本チャンピオンのタイトルをかけて闘う。
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