MTB-J Honda Racing
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2006.07.16 全日本選手権
スケジュール
Rd. Date
01 5/5
滋賀
02 6/3
長野
  7/16
全日本選手権
03 9/3
岐阜
04 9/9
青森
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Team G Cross Hondaの井手川選手が、全日本チャンピオンを獲得。内嶋選手も2位でHondaが1-2フィニッシュ
決勝日:2006年7月16日(日)
会場:石川県白山瀬女高原スキー場 MTBワールド瀬女 天候:曇り 気温:スタート地点22.8℃、ゴール地点23.9℃ コース:全長3650m 標高:スタート地点1010m ゴール地点344m 標高差666m コースコンディション:マディ
リザルト&ポイント

 2006年全日本マウンテンバイク選手権大会が7月16日、石川県の瀬女高原スキー場で開催された。Team G Cross Hondaは、井手川直樹選手が予選、決勝ともに圧倒的タイムで完全優勝。全日本チャンピオンを手中にした。チームメイトの内嶋亮選手も冷静な攻めの走りで2位となり、1-2フィニッシュとなった。

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 全日本選手権大会は、ジャパンシリーズとは別格式の大会であり、競技はUCI(国際連盟)規則の年齢別で年1回行われる。井手川、内嶋両選手が出場するのは23歳以上の「シニア・エリートクラス」で、全日本チャンピオンのタイトルがかかっている。

 3650mのコースはシングルトラック、ハイスピードセクション、不規則な段差やキャンバーなど変化に富むが、中でも最大のテクニカルセクションで勝負を左右するといわれるのが瀬女名物のブナ林だ。雨天時にはよく滑る木の根が無数に露出する路面の連続が、ライダーを崖下へと誘い、難所セクションとして名高い。梅雨時ということもあり、レースウイークの練習日は雨が続いた。それも、強い雨が通り過ぎたと思うと数分後には太陽が射し、やがて再び雨が降るという非常に変わりやすい天候で、ひと雨ごとにコースはマディとなった。

 決勝前日、難所セクションもリズミカルに、まるでダンスを舞うように走る井手川選手は「とても調子がいい、思いきり走れる」、そして内嶋選手も「走っていてとても楽しい」とコメント。両ライダーともに終始リラックスした雰囲気で、各々のペースで練習走行を重ねた。

 そして決勝日、前夜から大量の雨が降り続き、コースの土はさらに流れて、木の根や石の露出する部分も増えた。スタートからゴールまで、すべてで滑る路面の攻略が、最大のポイントとなった。

 男子シニア・エリートクラス出場ライダーは全94名。ジャパンシリーズ第2戦までのナショナルポイントランキング1位の内嶋選手が今大会ではゼッケン1番をつけ、予選第1走者となる。その内嶋選手が出したタイムは5分31秒652。予選での獲得ポイントも重要になるため、ライダーたちは雨で濁流のようになったコースを果敢に攻める。しかし、今大会ゼッケン3番をつける予選第3走者の井手川選手が、5分23秒157という驚異的タイムでトップに踊り出ると、その後はさらに早いタイムを出すライダーは最後まで現れなかった。井手川選手1位、内嶋選手2位で予選を終了し、降り続く雨の中、両ライダーは決勝戦へ向け集中した。決勝前、ウォームアップをしながら井手川選手は、瞑想するように目をつぶり、頭の中のコースを確認していた。内嶋選手も音楽を聞きながら精神を集中させた。

 予選タイムのトップ30名による決勝は、30位から順のリバース方式で14時半より開始された。雨は小雨となり、そして決勝時にはとうとう上がった。しかし、ライダーにとっては喜ばしいかといえば微妙で、予選時に比べ路面状況と走行ラインはさらに大きく変化し、こねられた泥にバランスを崩し転倒するライダーが続出した。そんな中、内嶋選手はスタート直後に転倒を喫しながらも、諦めない落ち着いた走りで5分32秒481をマーク。その時点での暫定トップに立つ。そして最終ライダーの井手川選手は、ブナ林を始めとする数々の難所もまったく臆することなく、すべてのセクションを圧倒的な速さで華麗に駆け抜けた。タイムは、自身の予選タイムをさらに上回る5分21秒605をマーク。この瞬間、井手川選手の全日本チャンピオンが決定した。井手川選手自身にとって、1996年に獲得して以来10年ぶりの全日本チャンピオン復活となった。

 今大会の結果により、両ライダーは8月27日ニュージーランドで開催される世界選手権大会に参戦する。また、次回の国内レースは、9月3日にジャパンシリーズ・ダウンヒル第3戦が岐阜県白鳥で開催される。ジャパンシリーズは残り2レースとなり、いよいよランキングトップ争いも注目される。

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コメント

井手川直樹選手(優勝)
「マシン、自分の体調やメンタル面など、さまざまなことがすべていい方向に結びついたという感じです。特にマシンがよかったですね。今日のように全体に荒れている路面でも安定感があってよく進む。その要因はサスペンション・セッティングが合っていたことや、マディでもミッションに不安がないことなどだったと思います。最初から余裕があるように見えると周囲に言われましたが、じつは一昨日まで走るラインが決まっていないところがあって、そこをきちんと決めてしまえばあとは思いきり行くだけでした。だから、ラインのことをずっと考えていました。考えて答えを出して、それで気持ちを上手く切り替えることができた。そうしたらとてもリラックスできて、楽しく走れました。予選では、ブナ林でリアが2回ラインから外れてしまったんです。それでもいいタイムが出ていたので、決勝もこの調子でいけば大丈夫だろうと。決勝では、気持ちも走りも落ち着いて攻めることができました。優勝した瞬間は、気持ちよかったですね。僕は全日本選手権での優勝は10年ぶりなんです。思わず10年前の自分を思い出しましたね。8月の世界選手権大会は、10位以内を目指して思いきりがんばってきます」

内嶋亮選手(2位)
「雨が降っているときと止んだときのコース状況はすぐに変わるので、決勝では予選から何秒アップしようというよりも、変化する路面にどういう走りがベストかを考えていました。決勝スタート直前に、よりマディ向けのタイヤに替えたんですが、最初のシングルの出口で思い通りのラインに入りきれず、転んでしまいました。すごく悔しいです。その瞬間、絶対ハンドルだけは離さないぞと思ってリカバリーした。おそらく4秒くらいのロスでしょうか。走り出してから、ああこれは1位はちょっと無理かなと思いましたが、落ち着いてとにかくベストを尽くそうと。2位は悔しいですが、チームで1-2になれたのはよかったです。世界戦までは、乗り込む日の間隔を空けないように練習します。僕は夏バテは心配ないし、残りのレースを勝つことだけを考えています」

市川哲也監督
「速くなるための課題を設定し、昨年からやってきたことの成果が現れて、両ライダーとも全体にスピードがついてきたようです。井手川は決勝日も非常にリラックスしていていい状態でした。マシンでは特にフロントサスペンションのセッティングをパワフルな方向へと検討したことが、いい結果となりました。このあとは世界選手権、そして国内2戦と続きますが、チームとしても現在の好調をキープしながら取り組みます」

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決勝リザルト&ポイントランキング
順位 No. ライダー チーム タイム
1 3 井手川直樹 Team G Cross Honda 5:21.605
2 1 内嶋亮 Team G Cross Honda 5:32.481
3 102 柴田幸治 A&F SANTACRUZ 5:47.041
4 2 安達靖 Team Ikuzawa 5:47.894
5 4 丸山由紀夫 MOM&POP's 5:49.871
6 19 高橋唯之 TDC 5:56.191
※上記ゼッケンは、今大会のみの番号です
【ナショナル・ランキング】
順位 No. ライダー チーム 総合ポイント
1 1 井手川直樹 Team G Cross Honda 562
2 2 内嶋亮 Team G Cross Honda 534
3 3 安達靖 Team Ikuzawa 480
4 7 丸山由紀夫 MOM&POP's 404
5 9 向原健司 Team KHS・重力技研 373
6 8 柴田幸治 A&F SANTACRUZ 368
※JCFの国内公認大会のうち、高得点獲得大会3つの合計ポイントによるランキング
ポイント一覧
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