前回の近畿大会に続き、九州大会も新しい会場での開催となりました。広大なエリアをトライアルパークにしようという動きの一環として、町内の方々にトライアルを認知してもらうための全日本選手権も開催されました。
金曜日に大雨に見舞われたことで、レース会場の水分を含んだ土質は重く、セクションの下見をするライダーたちは表情を険しくさせていました。土曜日、日曜日には天気が回復するとはいえ、どこまで地面が乾くのか、またグリップがあるコンディションは復活するのか等が気になるところでした。
小川友幸(Honda)は、開幕戦では大差で敗れ、第2戦ではあと2点差の惜しいところで破れています。レースの内容は違いますが、2連敗している事実は変わりません。ゼッケン1を付けるチャンピオンとしては、ここでどうしても勝利が欲しいところでした。
今回の小川は、絶好調とは言えずとも、開幕からの2戦に比べればらしさを取り戻した走りを披露。1ラップ目では、第4セクションで5点の減点となり、一時は4番手からの追い上げを強いられます。この局面を耐えた小川は、終わってみれば、1ラップ目から2ラップ目、そしてSSの2セクションでもすべてトップを維持したまま、10セクション2ラップ+2セクションを走り抜けたのでした。
特に小川が圧巻の走りを見せたのがSSで、SS1は3点の減点に抑えます。こういう場面ではクリーンを狙う小川ですが、ここでは黒山健一(ヤマハ)に1点以上の差をつければ勝利が決まるという場面。ここでは、クリーンよりもまず勝ちにこだわって走行しました。バランスを崩した際にはちゅうちょなく足を出し、3点でコースを走破。その時点で、小川の勝利はほぼ確定となりました。
最終SSは、強烈なヒルクライム。最後にトライする小川の前では、黒山が失敗していました。この時点でセクションをアウトしたのは、野崎史高(シェルコ)ただ一人でした。
小川は、黒山がテープを切ってしまったり、多くのライダーを叩き落とした岩場をスムーズに越えると、野崎のみが3点で抜け出たこの難セクションを、わずか1点で走り抜けてみせました。
終わってみれば、小川の29点に対し、黒山は39点。クリーン数は小川の12に対し、黒山は8という結果に。昨年の終盤から黒山に連勝を許している小川にとっては、今回は待ちに待った復活の勝利となりました。
小川友幸(優勝)
「ようやく勝てました。長かったです。昨年の北海道以来の勝利です。今回は絶好調とは言わないにしても、いい走りができたと思います。前半に5点を取ってしまい、出遅れたものの、そこをよく抑えて勝利に結びつけることができました。途中、ライバルの減点が審査委員会によって修正されるという一幕がありましたが、それはなしと考えて(自分側に不利な点数として考えて)戦いを続けました。結果、4点差でSSに入ることができました。SS第1ではクリーンにしようと思っていたのですが、黒山選手が5点になり、3点なら勝ちが決まると分かったので、まず勝利を優先させました。ともあれ、今年の初勝利を手にできてよかったです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
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1 | 1 | 小川友幸 | 0 | 29 | 12 | |
2 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 39 | 8 |
3 | 3 | 野崎史高 | シェルコ | 0 | 47 | 7 |
4 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 56 | 4 |
5 | 5 | 柴田暁 | ヴェルティゴ | 0 | 73 | 4 |
6 | 11 | 成田亮 | ベータ | 0 | 84 | 2 |
7 | 8 | 斎藤晶夫 | 0 | 87 | 1 | |
10 | 14 | 砂田真彦 | 0 | 95 | 0 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 黒山 健一 | ヤマハ | 57 | ||
2 | 1 | 小川 友幸 | 54 | |||
3 | 3 | 野崎 史高 | シェルコ | 43 | ||
4 | 4 | 小川 毅士 | ベータ | 41 | ||
5 | 5 | 柴田 暁 | ヴェルティゴ | 33 | ||
6 | 8 | 斎藤 晶夫 | 28 | |||
13 | 14 | 砂田 真彦 | 12 |