Round09MFJGP
IA1 決勝
2018年10月28日(日)
スポーツランドSUGO(宮城県)
天候:晴れ
気温:20℃
コースコンディション:ドライ
観客:7100人
全日本モトクロス選手権のフィナーレを飾るMFJグランプリが、今年もスポーツランドSUGOで開催されました。Hondaは全クラス制覇を目指し(IBオープンは前戦近畿大会でタイトル確定)、万全の態勢でこの最終戦に臨みました。
IA1クラスには、世界チャンピオン(2015年MX2、2016年MXGP)のティム・ガイザー、さらにAMAナショナルに参戦中(2018年450ランキング14位)の富田俊樹がスポット出場。Team HRCのパドックには、ファクトリーマシンが5台(CRF450RW×4、CRF250RW×1)が並ぶことになりました。
●ヒート1
Team HRCの山本鯨とティム・ガイザーがホールショットを競い、ガイザーがトップに。山本と成田亮(Team HRC)が続きましたが、すぐにジェレミー・シーワー(ヤマハ)の先行を許し、モトクロス世界選手権に参戦しているライダーたちが、スタート直後から格の違いをみせつけました。1周目トップのガイザーは、2番手のシーワーから約4秒、3番手の成田とは早くも6秒差をつけました。
2周目以降、ガイザーとシーワーはそのまま単独走行となり、ガイザーはややペースを落としながらも圧倒的な速さで独走。そのままトップでチェッカーを受けました。一方、3年ぶりかつIA1では初めての全日本参戦となった、AMAライダーの富田俊樹(Team HRC)は、1周目を5番手でクリア。3周目に入るところで、山本を抜いて順位を1つ上げました。
富田は、4秒ほど前を走る成田に迫るべく追い上げを開始。しかし思うようにペースが上がらず、逆に山本が富田を数秒差でマークする展開となりました。そして、最後は完全に単独走行となった成田が3位。山本がミスしたことで一度は富田のリードが約6秒に拡大しましたが、レース終盤にペースを上げた山本がラスト2周の16周目に再逆転して、山本が4位、富田が5位でゴールしました。
●ヒート2
ヒート1を終えた段階で、ランキングトップの山本と2番手につける成田は7ポイント差。山本が有利な状況でヒート2を迎えました。ところがオープニングラップで、上位勢の中にいた山本がクラッシュ。これで肩を脱臼した山本はリタイアとなり、成田はこのレースを19位以内でゴールすれば逆転チャンピオンという、予想外の展開となりました。
レースは、成田がホールショットを奪いましたが、すぐにガイザーが成田を抜き、ヒート1に続いて同じ世界選手権ライダーのシーワーをも大きく引き離す完全な独走状態。レース後半になってもほとんどペースを落とすことなく周回を重ねたガイザーが、余裕のトップチェッカーを受けました。
1周目に3番手へ後退した成田に、翌周には富田が接近。しかし、ベテランならではの巧さで成田が順位を守りました。8周目、富田がついに成田攻略に成功しましたが、今度は成田が富田をマーク。11周目には、成田が前になりました。しかし翌周、富田が再び3番手。これを追った成田は13周目に転倒して10秒近く遅れ、富田が3位、成田が4位となりました。そして成田が、2年ぶり自身通算12度目の全日本タイトルを獲得しました。
ティム・ガイザー(IA1・優勝/優勝)
「昨日は雨でプラクティスが中止になったり、難しい一日でしたが、今日は天気もよくて最高のレースができたのでうれしいです。午前中はマディスポットも残っていて、少しマシンが埋まりがちな路面もありましたが、午後のコースコンディションはベストに近かったと思います。時間が経つにつれてバンプが増えてきたこともあり、ヒート1とヒート2の間に前後サスの減衰力を少し強めました。こういうテストをしながらマシンを仕上げていくことも、日本のレースに出場する目的の一つです。成田さんのV12には、僕も驚きました。心からのお祝いを述べたいと思います。それから転倒で負傷した(山本)鯨さんが、なるべく早くカムバックできるように祈っています」
成田亮(IA1・3位/4位)
「世界選手権の現役ライダーで、しかも若いガイザー選手とシーワー選手がスポット参戦。もちろん圧倒的に速いことは分かっていましたが、日本のコースでなら一矢報いるチャンスはあるかもしれないと思っていました。しかし実際には、まるで絡むことすらできずに惨敗。自分はいま38歳ですが、それでもまだ伸びしろはあると信じているので、もしも来年この2人が再び全日本に参戦してくれたら、そのときは少しでもこの借りを返したいと思います。チャンピオン争いのほうは、前戦で両ヒート優勝して山本選手に3点差まで迫り、この最終戦で勝負というシナリオを描いていました。しかし前戦は、ヒート1で優勝するもヒート2は2位。正直なところ逆転はほぼ不可能と思っていましたが、応援やサポートをしてくれる方々のおかげで、最後に驚くほどの幸運が巡ってきました」
富田俊樹(IA1・5位/3位)
「3年ぶりの全日本参戦ということで、テストの段階から難しさも感じていました。米国のコースとはまた違う、日本のコースならではの走り方が求められるという印象があります。具体的には、米国のコースはコーナーで奥までハードに突っ込んで、そこから旋回してアクセルを開けていくというようなシーンが多め。ヒート1では、そのような走りを最初にしていたのですが、そうするとすぐに腕上がりの症状が出てしまいました。そこでヒート2は、以前の日本的なライディングに歩み寄ったところ、だいぶスムーズに走れるようになりました。本当は、スタートでもう少し前の位置を確保して、外国人ライダーと一瞬でも絡みたかったのですが、タイム差もありすぎたので……。とはいえ、久しぶりに日本のファンにたくさん応援してもらいながらのレースだったので、緊張がありながらも楽しめました」
芹沢勝樹(Team HRC監督)
「IA1のチャンピオン争いは、Team HRCの山本と成田による事実上の一騎打ちとなったので、この最終戦を迎えるにあたりライダーには、チームオーダーは一切しないので正々堂々と勝負してほしいと伝えました。その結果として、成田のほうが強かったということだと思います。なお山本は、残念ながら肩の脱臼でヒート2をリタイアし、レース後は治療のためすぐに会場を後にしました。また今回のIA1には、海外のレースを戦ってきたガイザーと富田をスポット参戦させました。特にガイザーは、来季の世界選手権最高峰クラスでタイトルを奪還するという目標があり、それに向けたテストという意味合いもありました。トップ独走中も最後までスピードを緩めることなく攻め続け、HRCとしてそのパフォーマンスを確認することができましたし、同時にその走りを多くの日本人に楽しんでいただけたことをうれしく思います。IA2の能塚に関しては、完敗というのが素直な感想。練習でのポテンシャルを本番でも確実に発揮するという一年を通しての課題が、最後まで克服できなかった結果だと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 243 | ティム・ガイザー | 17 | 33'53.043 | |
2 | 91 | J.シーワー | ヤマハ | 17 | +30.919 |
3 | 982 | 成田亮 | 17 | +1'03.293 | |
4 | 1 | 山本鯨 | 17 | +1'25.351 | |
5 | 718 | 富田俊樹 | 17 | +1'30.539 | |
6 | 30 | 岡野聖 | ヤマハ | 17 | +1'48.300 |
7 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +1'51.333 |
8 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 16 | +1Lap |
9 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 16 | +1Lap |
10 | 122 | 稲垣達樹 | スズキ | 16 | +1Lap |
11 | 44 | 小島庸平 | 16 | +1Lap | |
13 | 155 | 大塚豪太 | 16 | +1Lap | |
16 | 113 | 田中雅己 | 16 | +1Lap | |
17 | 19 | 馬場大貴 | 15 | +2Laps | |
19 | 15 | 小野千成 | 15 | +2Laps | |
22 | 75 | 道脇白龍 | 15 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 243 | ティム・ガイザー | 17 | 33'26.513 | |
2 | 91 | J.シーワー | ヤマハ | 17 | +29.685 |
3 | 718 | 富田俊樹 | 17 | +1'28.304 | |
4 | 982 | 成田亮 | 17 | +1'40.822 | |
5 | 30 | 岡野聖 | ヤマハ | 17 | +1'41.458 |
6 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +1'53.485 |
7 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 16 | +1Lap |
8 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 16 | +1Lap |
9 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 16 | +1Lap |
10 | 44 | 小島庸平 | 16 | +1Lap | |
11 | 155 | 大塚豪太 | 16 | +1Lap | |
15 | 19 | 馬場大貴 | 15 | +2Laps | |
17 | 15 | 小野千成 | 15 | +2Laps | |
20 | 75 | 道脇白龍 | 15 | +2Laps | |
RT | 113 | 田中雅己 | 8 | +9Laps | |
RT | 1 | 山本鯨 | 0 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 982 | 成田亮 | 340 | ||
2 | 1 | 山本鯨 | 324 | ||
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 289 | |
4 | 2 | 小方誠 | カワサキ | 263 | |
5 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 236 | |
6 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 212 | |
7 | 44 | 小島庸平 | 204 | ||
8 | 30 | 岡野聖 | ヤマハ | 189 | |
9 | 793 | 池谷優太 | KTM | 164 | |
10 | 155 | 大塚豪太 | 155 | ||
11 | 113 | 田中雅己 | 153 | ||
15 | 19 | 馬場大貴 | 120 | ||
17 | 15 | 小野千成 | 81 | ||
20 | 243 | ティム・ガイザー | 60 | ||
22 | 718 | 富田俊樹 | 46 | ||
23 | 14 | 長門健一 | 46 | ||
24 | 75 | 道脇白龍 | 38 |