好天に恵まれた土曜日は、真夏を思わせる日差しの下で予選レースが行われた。IA1クラスでは増田一将選手(TEAM HRC)と辻健二郎選手(TEAM HRC)がワンツーフィニッシュ。IA2では福留善秀選手(TEAM HRC)が1位でチェッカーを受け、Honda勢は最良の予選成績をもって決勝に臨むことになった。
シーズンは残すところ今大会と最終戦の2戦のみで、タイトル争いも大詰めを迎えた。IA1でランキング2位につける増田選手は、ポイントリーダーの小池田猛選手(ヤマハ)に対し25点差、IA2でランキング3位の福留選手は、同点首位の溝口哲也選手(カワサキ)と小島庸平選手(スズキ)を32点差で追う態勢。Honda勢にとっては、両クラス制覇の望みをかけた戦いとなった。
日曜日の午前中は散水が必要なほどのドライコンディションだったが、昼頃から降り始めた雨でコースはマディへと変化した。 ▼IA1(450/250)ヒート1 スタート直後にトップの辻選手と戸田蔵人選手(スズキ)が接触転倒し、後続車が次々と突っ込むアクシデントが発生した。そのためレッドフラッグが振られ、レースはスタートからやり直しとなった。
再スタートで飛び出したのは、大河原功次選手(ヤマハ)、増田選手、小池田選手、釘村太一選手(ヤマハ)、高濱龍一郎選手(Honda)といった面々。2周目には増田選手が前に出るが守りきれず、リーダーの座は大河原選手、小池田選手と目まぐるしく交代しながら、しばらくトップ5台の接近戦が展開された。
10分を経過した7周目、増田選手は小池田選手をかわして再度トップに立つ。中盤は増田選手がハイペースで小池田選手を引き離し、5〜6秒のマージンを蓄えた。20分すぎには高濱選手が2番手に浮上。これで増田選手、高濱選手、小池田選手の上位3名が確定。堂々優勝を果たした増田選手は、この時点で小池田選手に対して20点差まで詰め寄った。 なお、辻選手は意識を回復したが、脳しんとうのために入院した。
▼IA1(450/250)ヒート2 マディコンディションの中、増田選手が1周目からトップに立つ。背後には大河原選手、加賀真一選手(スズキ)といったマッドスペシャリストが控えていたが、増田選手は数周で独走態勢に持ち込んだ。ポイントリーダーの小池田選手はスタートで出遅れたが、すぐに5番手まで浮上。小池田選手の前には高濱選手がいた。
20分頃から雨が激しくなったが、増田選手、加賀選手、大河原選手、高濱選手、小池田選手というオーダーは変わらず。このままでフィニッシュする気配が濃厚だったが、残り時間5分というところで増田選手がエンジントラブルに見舞われてピットイン。コースに復帰した後ふたたびエンジントラブルが発生し、ポイント圏外まで脱落してしまう。レースは加賀選手が優勝。総合優勝は高濱選手(2位/3位)が勝ち取った。
小池田選手がポイントリーダーの座を保ち、ランキング2位は高濱選手(31点差)、ランキング3位に増田選手(38点差)と入れ替わった。
▼IA2(250/125)ヒート1 オープニングのコントロールラインで、小島選手がマシントラブルを起こしてピットイン。これでトップ争いは溝口選手と福留選手の一騎打ちとなった。6周目には福留選手がトップに立ち、独走に持ち込もうとしたが、腕上がりで溝口選手の再接近を許す。 終盤には溝口選手のペースダウンにも救われ、福留選手が5〜6秒のセーフティリードを確保。今季6勝目となるチェッカーを受けた福留選手に、溝口選手、北居良樹選手(スズキ)が続いた。小島選手は1周遅れの32位でノーポイントを喫した。
▼IA2(250/125)ヒート2 マディレースとなったが、2周目から小島選手がトップに立ち、ヒート1のうっぷんを晴らすかのような快走を見せた。対照的に出遅れたのが溝口選手で、スタート13番手から3周目には転倒でポイント圏外に脱落。波乱のタイトル争いとなった。 2番手以下には井上眞一選手(カワサキ)、中堀敏宏選手(Honda)、福留選手と続いていたが、福留選手は中盤9周目には2番手に浮上。終盤20分頃には、後方から北居選手が接近し、福留選手と激しい2位争いを演じたが、北居選手が転倒。そして12周目には、単独トップだった小島選手が転倒を喫し、福留選手がリーダーとなった。最終ラップには福留選手が転倒する場面もあったが、事なきを得て優勝。ドライとマディの両ヒートを制した福留選手が、見事なパーフェクトを飾った。 このヒートでは溝口選手がノーポイント、小島選手が8位にとどまったため、ランキングには大変動が起きた。ポイントリーダーは溝口選手だが、わずか4ポイント差の2位に福留選手が躍進、そして小島選手は首位から9ポイント差の3位となり、チャンピオン争いは僅差の三つどもえの様相を呈している。
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