 |
G'ZOX-NSX今季初勝利達成。表彰台の伊藤(右)とコロネル(左) |
9月14日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)において2003年全日本GT選手権(JGTC)第6戦「MOTEGI GT CHAMPION RACE」の決勝レース(63周=約302.5km)が開催された。
13日(土)に行われたGT500クラス公式予選では伊藤大輔/トム・コロネル組(G'ZOX-NSX)が1分47秒392を記録し予選3番手を獲得。先月行われたツインリンクもてぎでの合同テストで連日ベストラップを記録していた松田次生/アンドレ・ロッテラー組(Mobil 1 NSX)は8番手、加藤寛規/光貞秀俊組(RAYBRIG NSX)は12番手、前回の富士ラウンドにおいて劇的な今季初勝利を飾った道上 龍/セバスチャン・フィリップ組(TAKATA童夢NSX)は15番手、土屋圭市/金石年弘組(ARTA NSX)は16番手から決勝スタートを迎えることとなった。
決勝レースは晴れ、気温36.1℃、路面温度50.5℃と残暑の残る厳しいコンディションのなか、14時04分にローリングスタートが切られた。Honda NSX-GT勢のオープニングラップは伊藤大輔選手(G'ZOX-NSX)が激しい上位争いの中で3位をキープ、A.ロッテラー選手(Mobil 1 NSX)が8位、加藤寛規選手(RAYBRIG NSX)が12位、S.フィリップ選手(TAKATA童夢NSX)が15位、土屋圭市選手(ARTA NSX)が16位で通過した。しかし、S.フィリップ選手はスタート前の追突によるリアカウル破損の影響により、5周終了後にピットインを余儀なくされてしまう。
10周目、ライバルを激しくプッシュしていた伊藤選手が1コーナーでモチュールピットワークGT-Rをパスし、2位に浮上。トップを走るライバルを激しく追走する。
25周通過時点で、伊藤選手が2位、加藤選手が7位、土屋選手が11位、22周目にコースアウトを喫し順位を下げたA.ロッテラー選手が12位を走行。トップの背後に迫り、激しくプッシュしていた伊藤選手は、タイヤに余裕を保ちながらも26周を終えて早めにピットインを敢行、T.コロネル選手へドライバー交代を行う。続いて加藤選手も同じタイミングでピットインし、光貞選手へドライバー交代を行う。
早めのピットインを敢行したG'ZOX-NSXは、T.コロネル選手(G'ZOX-NSX)がアウトラップから激しくアタックし、続いて27周終わりでドライバー交代を敢行したWOODONEトムススープラがコースに復帰した時点で、トップの座を奪うことに成功した。しかし、A.ロッテラー選手から交代した松田次生選手(Mobil 1 NSX)はピットアウト直後にマシントラブルが発生し、惜しくもリタイアとなる。
トップを走行するコロネル選手は追走するライバルに対し、頭脳的な走りでレースを支配。常に2位との差を3〜4秒差に保ち続けて今季初勝利を飾った。また、光貞秀俊選手(RAYBRIG NSX)もレース終盤に3位争いを繰り広げたが、惜しくも5位となった。
ピット作業のペナルティを受けた金石選手(ARTA NSX)は最後まで力走し8位でゴールし、今季初ポイントを獲得。リアカウル修復のため何度もピットインしながらも粘り強くレースを続けた道上 龍選手(TAKATA童夢NSX)は31位(GT500クラス14位)完走を果たした。
この結果、Honda NSX-GTは前回の富士ラウンドから2連勝を達成。伊藤選手にとっては昨年の第7戦MINE以来の勝利、またT.コロネル選手にとっては99年第6戦TI以来の勝利となった。童夢レーシングチームはチーム部門のシリーズポイント争いにおいて合計61ポイントを獲得。トップとの差を23ポイント差に縮め、逆転でのシリーズチャンピオン獲得に望みをつないだ。
●永長 真(Shin Nagaosa)NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
「おかげさまで、JGTC2連勝、8/24に開催されたPokka1000km(鈴鹿)を加えると3連勝を達成することができました。これも、スタッフが開幕戦から地道な努力を続けてくれた成果だと思っています。ただ、ライバル達がウェイトハンディを背負った状態での戦いであり、これからが本当の勝負だと考えております。今シーズンのJGTCも残り2戦となりましたが、優勝そしてタイトル獲得を目指して頑張りますのでご声援をお願いいたします」
優勝 #16 G'ZOX-NSX
●伊藤 大輔(Daisuke Ito)選手
「優勝できてホッとしています。前戦の富士で18号車が優勝しているし、ツインリンクもてぎはHondaのホームコースなのでプレッシャーも感じていました。決勝レースは、タイヤに余裕がありましたが、2位の時点で早めのピットインをして、チームスタッフのピット作業の速さとコロネル選手の頑張りでトップを奪うことができました。先月に出場したPokka1000kmで優勝できなかった原因をチーム内で検討した結果、ピット作業やアウト・インラップなどの目に見えない部分の重要性を再認識し、対策を練ってきたことが優勝へ結びついたと思います。さらに、猛暑のレースとなったPokka1000kmでコロネル選手と2人で走った経験が活かされました。今回も暑い中でのレースでしたがマシンもドライバーも全く問題ありませんでした。残りのレースでは、ハンディウェイトを積んでもトップ争いができるようにマシンを煮詰めていきたいです」
●トム・コロネル(Tom Coronel)選手 「NSX-GTの勝利は99年以来だから嬉しいね。今回はライバルと比べてハンディウェイト面でも有利だし、勝負所のレースだと思っていました。伊藤選手から交代してピットアウト直後の周回から全力で走りました。レース終盤はペースを落として走りましたが、これはリスクを少なくして安定した走行をしていたからです。最後までレースをコントロールして後続との差を3〜4秒差に保つことができました。残り2戦はチームのために全力を尽くして頑張ります」
|