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つかみかけた栄冠を今年こそ REVENGE FOR INDY500

  • 日本人初のポイントリーダー佐藤琢磨に直撃! インディ500への思いを語る
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日本人初のポイントリーダー佐藤琢磨に直撃! インディ500への思いを語る

3年目で得た自信と優勝への意気込み

Q:挑戦3年目の昨年は歴史に残るトップ争いを演じました。

佐藤:1年目と2年目のいいところをうまく合わせて、インディ500に向けて走っていくことができました。

Q:マシン作りやレース運びなど、どれもが高いレベルでできていたということですか?

佐藤:そうだったと思います。特に新型シャシーでのインディ500は全員が初めてでしたから、そういう意味で僕たちにとってもチャンスが大きかったのが昨年だと思います。そして、僕はF1時代にずっと一緒にやっていたジェリー・ヒューズというエンジニアと一緒にトライすることになり、いろいろな発見ができましたし、今年に向けての貴重な経験を積むこともできたと思います。すごく勉強になりましたし、とても楽しめました。

Q:すごいレースでした。終盤にトップグループでライバルをパスして、最後には優勝争いをしたのですから。見ていたファンも本当に興奮したレースでしたが、佐藤選手からすると、非常に悔しいレースという感想なのですか?

佐藤:そうですね。もちろん勝ちにいって敗れてしまったのは悔しいです。ただ、1台体制のチームで、連勝を重ねる強豪であるChip Ganassi Racingに太刀打ちでき、トップ争いをしたというところは非常に大きな意味があると思います。自分の中でも初めての経験でした。特に、インディ500のラスト30周、最後のスティントをトップグループで走れたというのは、非常に貴重な経験になりました。それは1年目のインディ500では経験できなかったことでしたが、本当にライバルたちの走りが大きく変わりました。チームから求められることも変わってきます。だれもがトップ、優勝を目指す戦いは非常にタフでしたが、それがすごく楽しかったです。緊張感も高かったです。そういう意味でラストラップに、勝利だけを目指してチャレンジしたことに悔いはありません。ただ、もちろん失敗したことに関しては、すごく悔しい思いもしましたし、逆に「なぜ失敗したのかな?」という部分で勉強になりました。

Q:今年はまだロードコースとストリートでのレースしか行われていません。そんな中でインディ500に臨むわけですが、今シーズンのこれまでの成績を振り返ると、非常にいいフィーリングをもってインディ入りができるのではないでしょうか?

佐藤:はい。オーバルでは自分たちのマシンがどんな戦いをみせられるのか、実際に走ってみないと分かりませんよね? ですが、ロードコース、ストリートコースで調子がいいというのは、非常にポジティブな要素だと思います。そしてもう一つ、テキサス・モーター・スピードウェイで行ったテストが好感触でしたので、インディ500がとても楽しみになっています。もちろん、テキサス・モーター・スピードウェイとインディアナポリス・モーター・スピードウェイでは全然違うのですが、チームが昨年のオーバルでどうしてもやりたかったことと、苦手意識を持っていた部分の改善、そうしたテーマを持って臨んだテストでポジティブな結果が出ているので、それらをインディ500できっちりと結果につなげていきたいです。今から楽しみで仕方がありません。

Q:チームはロングビーチでの優勝で大きく変わりました。ブラジルでは自信に満ちていました。インディ500に対する思い入れは強いチームだと思うので、意気込みにもすごいものがあると想像しますが?

佐藤:今、チームのモチベーションはとても上がっています。全員が高い意識を持って仕事に臨んでいます。大きな誇りとともにがんばっています。そんなチームにいることをとても幸せに感じています。僕たちは優勝という一つの目標を達成しました。でも実は、ここからがスタートなのです。だから今、僕はわくわく感と期待をおおいに感じています。残りのシーズン、思いきり走って、思いきり戦っていきたいと考えています。そして、大きな目標であるインディ500でも、持っている力のすべてを出しきりたいですね。

Q:ロングビーチでの優勝はとてもうれしかったと思いますが、なにが一番うれしかったですか?

佐藤:ミスがなかったこと。ピットワークも完ぺきでしたし、タイヤのマネジメントもすごくうまくいきましたし、自分も全ラップを楽しむことができていました。リスタートも全部うまく決めましたし、横綱相撲というか、どんな状況でもだれにも文句をつけられないレースができました。そういう勝ち方ができたのはすごくうれしかったですね。コース上でのオーバーテイクもできましたし、これまでやってきたレースでのいいところが出て、これから新しい境地に入っていくためのいい刺激にもなりました。非常に意味のあるレースでした。

Q:レースのあとに帰国しましたが、ファンの皆さまの反応はどうでしたか?

佐藤:「本当にたくさんの方々に応援してもらっているんだな」と、改めて強く感じました。みんながここまでずっと待ち続けてくれた、そういうファンの方々に祝福してもらったのはもちろんなのですが、普段はレースを全く見ていない人たちも、ニュースを聞きつけて祝福してくれました。それもうれしいことでした。あれだけたくさんのファンの皆さまの応援を背に走れていると再認識したことで、今後はもっとがんばっていこうと、気持ちを奮い立たせました。これまで応援してきてくれたファンの皆さま、スポンサーの方々、すべての人に大きな感謝の気持ちを持っています。これからも全力で戦っていきます。

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