すばらしい快晴の下、14年の集大成となった「インディジャパン ザ ファイナル」は、5万5000人の大観衆を前に、初めてロードコースで開催されました。
650馬力の大パワーを誇るインディカー26台は、ツィスティでアップダウンに富む美しいコースで63周のレースを戦い、ポールポジションからスタートしたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が、予選で見せた圧倒的な走りを決勝でも見せつけて優勝を飾りました。ディクソンにとっては今シーズン2勝目、キャリア27勝目となり、ツインリンクもてぎのオーバルとロードコース、両方で勝利する初めてのドライバーとなりました。また、所属するチーム、Chip Ganassi Racingはこの優勝で2002年、2009年に続く日本での3勝目を果たしました。
予選2番手からスタートしたウィル・パワー(Team Penske)は、ディクソンにレースを通じて粘り強く食い下がり続けました。ピットストップは両チームとも完ぺきで、2人の戦いはきん迫したままレース終盤へと突入しましたが、ディクソンのドライビングに隙はありませんでした。
ゴール目前になってフルコースコーションが発生し、残り3周というところで切られたリスタートでパワーが絶妙のタイミングでメインストレートを加速。ディクソンの真横に並びかけましたが、ディクソンは落ち着いてアウト側からスピードを保ったまま1コーナーを旋回、そこからのドライビングでもついに一度のミスも犯さず、ゴールまで走りきりました。
3位でゴールしたのはマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)でした。10番手からスタートした彼は、ピットストップとリスタートでポジションを上げ、表彰台を獲得しました。4位はアレックス・タグリアーニ(Sam Schmidt Motorsports)、5位はオリオール・セルビア(Newman Haas Racing)でした。
ポイントリーダーとしてインディジャパンを迎えたダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、9番手からスタート。レースが中盤に入った26周目に切られたリスタートで他車と接触し、24位まで後退を喫しました。それでも彼はあきらめずに走り続け、着々とポジションをばん回。最後のリスタートでも順位を上げて8位でゴールしました。しかし、パワーが2位フィニッシュでシリーズポイントを542点まで伸ばしたため、ポイントリーダーの座はパワーが逆転。今回、24点しか稼げなかったフランキッティは、11点差の531点で残り2戦を戦うこととなりました。
佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は10位、武藤英紀(Sam Schmidt Motorsports)は18位でのゴールとなりました。佐藤はレース中に2回の接触がありながら、トップ10フィニッシュを達成しました。武藤は2周目にピットインする作戦が成功して一気にトップグループに躍り出る勢いをみせましたが、2度目にピットインしたタイミングがフルコースコーションと重なってしまい、24位までポジションダウンを喫します。しかし、その状況から6つポジションを上げてフィニッシュまで走りきりました。
今年のインディカー・シリーズも、残るは10月に行われるケンタッキーとラスベガスの1.5マイル・オーバルを使ったレースの2戦となります。
スコット・ディクソン(優勝)「チームがファンタスティックなマシンを用意してくれました。2回のピットストップも完ぺきでした。今日のレースで勝利を挙げるべく、すべてがうまく展開できました。チームが持つすばらしい力のおかげです。ゴールを目前にしたリスタートは高度の緊張を強いられました。グリーンフラッグが振られた時点でウィル・パワーの加速がよく、ターン1への進入でポジションを守るのは大変でした。それでも最終的に我々の望む結果となり、満足のいく週末で終えることができました」
ウィル・パワー(2位)「今週末の私たちは、自分たちがコントロールできること、自分たちのマシンや自分たちのレースに集中し、シリーズポイントのことは考えずに戦うと決めていました。そして、その通りの戦いが実現できたと思います。レースの日をいい一日とし、目指す結果を得られたと考えています。そして、私たちにはまだ2レースが残されています。それらは1.5マイル・オーバルで、私の大好きなコースレイアウトです。しかし、フランキッティも1.5マイル・オーバルを得意としているので、今年もチャンピオン争いは最終戦までもつれ込むでしょう」
マルコ・アンドレッティ(3位)「フルコースコーションのないレース展開だったなら、確実に走ってゴールまでマシンを運ぶことが必要です。しかし、フルコースコーションが発生し、そのあとにリスタートが切られるのであれば、そこでは何が起こるか分かりません。私はオリオール・セルビアに1度パスされました。幸いにもレースで彼を抜き返すことができ、こうして表彰台に上ることができました。チームにとってすばらしい一日となりました」
佐藤琢磨(10位)「悔しいレースとなりました。今週はずっとマシンを思い通りに仕上げることができず、レースでは序盤にアクシデントにあって、ポジション的に大きなダメージを受けてしまいました。サスペンションを曲げてしまったこともあって、そこからポジションを戻すのには大変苦労しました。最後のリスタートはとてもうまく加速ができたと思っていたのですが、アウトから大きく被せてきたマシンと接触し、順位を下げてしまいました。その場面も今日のレースでの悔しい点でした。インディジャパン出場は2回目ですが、今年もすばらしい応援をしていただきました。結果はとても残念ですが、大勢のファンの前で走れたのは本当に楽しかったです。残るは2レース、最高の結果が残せるように精一杯戦います」
武藤英紀(18位)「2周目にピットに入るというチームの作戦はとてもよかったと思います。マシンも非常にいい仕上がりでした。しかし、2回目のピットストップに入ったタイミングでフルコースコーションが出され、ピットで作業を受けることなくコースへ戻らなくてはなりませんでした。そのために、せっかく稼いだポジションを大きく落としてしまいました。そこからは後方集団に入ってしまい、オーバーテイクも難しいレースとなりました。しかし、最後まで全力で攻めるレースを戦うことはできました。結果は満足できるものにはなりませんでしたが、サーキットに集まってくれたファンのみなさん、応援をしてくれた方々に感謝の気持ちで一杯です」
エリック・バークマン|HPD社長「見事なレースを戦い、ポールポジションから優勝したスコット・ディクソンを讃えたいと思います。ダリオ・フランキッティはレース中にミスを犯しましたが、24位まで下げた順位をばん回して9位でゴールしました。今回のレースで、チャンピオン争いは攻守が入れ替わりました。残る2戦は、パワーがポイントリーダーとして戦い、フランキッティが追う立場になったのです。本当に残念なのですが、ツインリンクもてぎでのレースは今回でとりあえずは終了します。ロードコースでのレースはとてもエキサイティングでした。ウイナーはポールポジションからスタートしたドライバーで、オーバーテイクは期待されていたほどは多くなかったかもしれません。しかし、非常に緊迫した戦いがスタートからゴールまで続きました。最後に、日本の熱心なインディカーファンが、本当に大勢集まってくれたことに深く感謝いたします」
順位 | No. | ドライバー | チーム | C/E/T | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | D/H/F | 1:56:41.0107 |
2 | 12 | ウィル・パワー | Team Penske | D/H/F | +3.4375 |
3 | 26 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Autosport | D/H/F | +4.4782 |
4 | 77 | アレックス・タグリアーニ | Sam Schmidt Motorsports | D/H/F | +5.5913 |
5 | 2 | オリオール・セルビア | Newman Haas Racing | D/H/F | +6.1621 |
6 | 19 | セバスチャン・ブルデー | Dale Coyne Racing | D/H/F | +6.6399 |
7 | 4 | J.R.ヒルデブランド | Panther Racing | D/H/F | +8.7436 |
8 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | D/H/F | +9.0690 |
9 | 27 | マイク・コンウェイ | Andretti Autosport | D/H/F | +9.3816 |
10 | 5 | 佐藤琢磨 | KV Racing Technology-Lotus | D/H/F | +10.1187 |
11 | 7 | ダニカ・パトリック | Andretti Autosport | D/H/F | +10.6995 |
12 | 38 | グラハム・レイホール | Chip Ganassi Racing | D/H/F | +11.4555 |
13 | 18 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | D/H/F | +11.6119 |
14 | 78 | シモーナ・デ・シルベストロ | HVM Racing | D/H/F | +12.0651 |
15 | 06 | ジェームズ・ヒンチクリフ | Newman Haas Racing | D/H/F | +12.5498 |
16 | 22 | ジョルジオ・パンターノ | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | +14.4549 |
17 | 82 | トニー・カナーン | KV Racing Technology-Lotus | D/H/F | +15.8407 |
18 | 17 | 武藤英紀 | Sam Schmidt Motorsports | D/H/F | +16.3024 |
19 | 24 | アナ・ベアトリス | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | +20.5159 |
20 | 6 | ライアン・ブリスコー | Team Penske | D/H/F | +38.5887 |
21 | 59 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology-Lotus | D/H/F | +99.0777 |
22 | 3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | D/H/F | +99.0787 |
23 | 83 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | D/H/F | +1Lap |
24 | 28 | ライアン・ハンターレイ | Andretti Autosport | D/H/F | +1Lap |
25 | 14 | ヴィットール・メイラ | A.J. Foyt Enterprises | D/H/F | +2Laps |
26 | 34 | J.P.デ・オリベイラ | Conquest Racing | D/H/F | +44Laps |
順位 | ドライバー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | ウィル・パワー | Team Penske | 542 |
2 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | 531 |
3 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | 483 |
4 | オリオール・セルビア | Newman Haas Racing | 397 |
5 | トニー・カナーン | KV Racing Technology-Lotus | 353 |
6 | ライアン・ブリスコー | Team Penske | 340 |
7 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Autosport | 327 |
8 | ライアン・ハンターレイ | Andretti Autosport | 317 |
9 | グラハム・レイホール | Chip Ganassi Racing | 302 |
10 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | 302 |
11 | アレックス・タグリアーニ | Sam Schmidt Motorsports | 296 |
12 | ダニカ・パトリック | Andretti Autosport | 294 |
13 | J.R.ヒルデブランド | Panther Racing | 284 |
14 | 佐藤琢磨 | KV Racing Technology-Lotus | 282 |
15 | ヴィットール・メイラ | A.J. Foyt Enterprises | 273 |
16 | ジェームズ・ヒンチクリフ | Newman Haas Racing | 270 |
17 | マイク・コンウェイ | Andretti Autosport | 248 |
18 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology-Lotus | 229 |
19 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | 216 |
20 | シモーナ・デ・シルベストロ | HVM Racing | 215 |
21 | アナ・ベアトリス | Dreyer & Reinbold Racing | 200 |
22 | セバスチャン・ブルデー | Dale Coyne Racing | 188 |
23 | ジャスティン・ウィルソン | Dreyer & Reinbold Racing | 183 |
24 | セバスチャン・サーベドラ | Conquest Racing | 178 |
25 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | 177 |
26 | エド・カーペンター | Sarah Fisher Racing | 125 |
27 | アレックス・ロイド | Dale Coyne Racing | 75 |
28 | ポール・トレイシー | Dragon Racing | 68 |
29 | ラファエル・マトス | AFS Racing | 67 |
30 | ダン・ウェルドン | Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanian | 59 |
31 | シモン・パジェノー | HVM Racing | 56 |
32 | トーマス・シェクター | Dreyer & Reinbold Racing | 52 |
33 | マーティン・プロウマン | Sam Schmidt Motorsports | 49 |
34 | ジョルジオ・パンターノ | Dreyer & Reinbold Racing | 37 |
35 | ベルトラン・バゲット | Rahal Letterman Lanigan Racing | 30 |
36 | ジェイ・ハワード | Rahal Letterman Lanigan Racing | 27 |
37 | デイビー・ハミルトン | Dreyer & Reinbold Racing | 26 |
38 | タウンゼント・ベル | Sam Schmidt Motorsports | 21 |
39 | バディ・ライス | Panther Racing | 20 |
40 | ピッパ・マン | Rahal Letterman Lanigan Racing | 20 |
41 | ジョン・アンドレッティ | Richard Petty/Andretti Autosport | 16 |
42 | 武藤英紀 | Sam Schmidt Motorsports | 12 |
43 | ワイド・カニンガム | Sam Schmidt Motorsports | 10 |
44 | ホーピン・タン | Schmidt Dragon Racing | 10 |
45 | J.P.デ・オリベイラ | Conquest Racing | 10 |
46 | スコット・スピード | Dragon Racing | 0 |
47 | ブルーノ・ジュンケイラ | A.J. Foyt Enterprises | 0 |