round 5

May 29 2011, RACE
IZOD IndyCar Series 2011 Indianapolis 500
第5戦 インディアナポリス

ダン・ウェルドンが逆転で2度目のインディ500制覇

5月29日(日)、記念すべき100周年レースとなるインディ500の決勝レースがインディアナポリス・モーター・スピードウェイにおいて開催されました。

雨の心配もない予報が出され、グランドスタンドもギッシリ超満員となる中、第1回インディ500のウイニングマシンが走り、時代を代表するマシンもアル・アンサー、ボビー・アンサー、ジョニー・ラザフォード、マリオ・アンドレッティら優勝経験者の搭乗でパレードラップを行いました。いつにも増して盛大なセレモニーは、100年の歴史を感じさせるものでした。

決勝レースでは、Chip Ganassi Racingのスコット・ディクソンとダリオ・フランキッティ、2人の優勝経験者がレースをひっぱり、ポールポジションスタートだったアレックス・タグリアーニ(Sam Schmidt Motorsports)も速さを発揮。予選3番手だったオリオール・セルビア(Newman Haas Racing)、ダン・ウェルドン(Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanian)とタウンゼント・ベル(Sam Schmidt Motorsports)もコンスタントに上位を走り続けました。一方、Team Penske勢がトップ争いに絡むことはありませんでした。

  • ダン・ウェルドンダン・ウェルドン
  • ダン・ウェルドンダン・ウェルドン
  • ダン・ウェルドンダン・ウェルドン
  • J.R.ヒルデブランドJ.R.ヒルデブランド
  • グラハム・レイホールグラハム・レイホール
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 決勝スタートシーン決勝スタートシーン
  • コース俯瞰コース俯瞰
  • 歴代、現役のインディ500参戦ドライバー集合写真歴代、現役のインディ500参戦ドライバー集合写真
  • ダン・ウェルドンダン・ウェルドン
  • ダン・ウェルドンとチームクルーダン・ウェルドンとチームクルー

タグリアーニは148周目にアクシデントを起こしてリタイア。ベルは158周目にライアン・ブリスコー(Team Penske)と接触し、ともにターン1の壁にクラッシュ。戦列を離れました。その後フルコースコーションが重なり、給油のタイミングはチームごとの作戦でさまざまになりました。

フランキッティとディクソンは作戦が外れて大きく後退。Team Penske勢もピットイン・タイミングを使っての上位進出を果たせませんでした。ライバル勢と違うタイミングでピットインしたダニカ・パトリック(Andretti Autosport)は、179周目からトップを走るものの、189周目のピットインで勝利のチャンスを失いました。続いて出場2回目のベルトラン・バゲット(Rahal Letterman Lanigan)がトップに立ちましたが、彼も燃料が持たずにピットイン。残り2周となる198週目には、ルーキーのJ.R.ヒルデブランド(Panther Racing)がトップに立ちましたが、優勝は目前という最終ラップの第4ターンで、ヒルデブランドは周回遅れのマシンに差し掛かり、ラインを外れてクラッシュしてしまいました。

驚くべきことに、ヒルデブランドは外側の壁にマシンをこすりながらもゴール・ラインを目指し、ストップすることなくゴールへと飛び込みましたが、迫っていた2位のダン・ウェルドン(Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanian)が間一髪でゴール直前の彼の横をすり抜け、ウェルドンにとってインディ500での2度目のチェッカーフラッグを受けました。Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanianはインディ500での初勝利となりました。

佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は10番手からスタートしましたが、ハンドリングが万全とはいえず、ジリジリと17番手まで後退。ピットストップでマシンのセッティングを変更するも、21周目のターン1でアクシデントを起こし、リタイアを喫しました。

コメント

ダン・ウェルドン(優勝)「Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanianが僕にすばらしいマシンを用意してくれました。今シーズンの僕はフルシーズン参戦を実現できないものの、インディ500には最高の体制で参戦することができました。Hondaはスポット参戦の僕にも100%のサポートをしてくれました。Sam Schmidt Motorsportsと協力しあえたことも大きかったと思います。Team PenskeやChip Ganassi Racingといった強豪チームを相手にスポット参戦のチームが勝てたこと。これはまさにシンデレラ・ストーリー。100周年という記念すべきレースで勝てたことも本当にうれしい」

J.R.ヒルデブランド(2位)「レース終盤は燃費が厳しい状況で、タイヤも使い果たしつつありました。そこへ、スポッターから後続が急激に迫っていることを知らされました。周回遅れの83号車を抜く判断が遅れ、彼を先に行かせることでスローダウンしたくないと考えました。大きく減速してでも彼の後ろにつくべきでした。しかし、レース中にアウト側からパスできたこともあり、この時も大丈夫だと考えました。アウトに出るやタイヤかすに乗り、コントロール不能に陥いりました。今年のインディ500で優勝のチャンスに恵まれるとは考えていませんでした。それを実現してくれたのはPanther Racingというすばらしいチームであり、それを考えると、今日のこの結末に対しては悔しい限りです」

グラハム・レイホール(3位)「ブラジルでの2位より、インディ500で3位でゴールできたことはとても気分がよく、大きな喜びですし、とてもうれしい。これまで僕らは勢いを手に入れたいと考えていて、それを今日手に入れたと思います。この勢いでシーズンを進めていきたいです。何よりChip Ganassi Racingのチームクルーたちを誇りに思います。彼らの仕事ぶりがすばらしかったからこそ、僕は後方からスタートしても、3位にまでポジションを上げることができました。26台も抜いたのだから」

佐藤琢磨(33位)「イン側にクルマがいるのを知りませんでした。誰かが並びかけてくるという情報をスポッターからももらっていなかったんです。すでにターン1にフルスピードで進入していたのにアクセルを戻さねばならず、ラインを外れるとグリップがまったくありませんでした。マシンはアウト側を向いてしまい、なすすべなく壁に一直線にぶつかってしまいました。本当に残念です。まだレースは序盤でした。マシンのハンドリングは決してよくはなく、スピードもありませんでしたが、ピットストップでフロントウイングやタイヤの空気圧変更を行えば昨年以上にポジションを上げていくことができると考えていました」

エリック・バークマン|HPD 社長「レースは天候に恵まれ、多くのファンが集まり、エキサイティングな戦いがスタートからゴールまで続きました。2列でのリスタートも心配されたほどのアクシデントを巻き起こすまでには至らず、ゴールシーンは実にドラマチックですばらしい100周年の記念レースになりました。Bryan Herta Autosport with Curb/Agajanianという新しいチームが優勝し、Panther Racingは惜しくも2位となりましたが、4年連続の2位という見事な成績を歴史あるスピードウェイに記録しました。Sam Schmidt Motorsportsも3台を決勝に進出させるなど、新しい勢力の台頭も感じさせるレースでした。33台すべてがHondaインディV8を搭載し、6年連続でエンジンのトラブルがないレースとなりました。伝統あるレースをこうして支えることができたことを誇りに感じています」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
198ダン・ウェルドンBryan Herta Autosport with Curb/AgajanianD/H/F02:56:11.7267
24J.R.ヒルデブランドPanther RacingD/H/F+2.1086
338グラハム・レイホールChip Ganassi RacingD/H/F+5.5949
482トニー・カナーンKV Racing Technology-LotusD/H/F+7.4870
59スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F+9.5434
62オリオール・セルビアNewman Haas RacingD/H/F+9.5435
730ベルトラン・バゲットRahal Letterman LaniganD/H/F+23.9631
807トーマス・シェクター KV Racing Technology-SH Racing D/H/F+24.3299
926マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+25.4711
107ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+26.4483
1167エド・カーペンターSarah Fisher RacingD/H/F+27.0375
1210ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+56.4167
1383チャーリー・キンボールChip Ganassi RacingD/H/F+1Lap
1412ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F+6.9232
1514ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+23.0117
1622ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+40.1530
173エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+50.6899
1844バディ・ライスPanther RacingD/H/F+2Laps
1919アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F+39.2159
2036ピッパ・マンConquest RacingD/H/F+54.6966
2124アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold RacingD/H/F+3Laps
2243ジョン・アンドレッティ Richard Petty/Andretti Autosport D/H/F+11.5717
2341ライアン・ハンターレイA.J.Foyt EnterprisesD/H/F+38.0894
2411デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+7Laps
2523ポール・トレイシーDreyer & Reinbold RacingD/H/F+25Laps
2699タウンゼント・ベル Sam Schmidt Motorsports D/H/F+43Laps
276ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+43Laps
2877アレックス・タグリアーニSam Schmidt MotorsportsD/H/F+53Laps
2906ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas RacingD/H/F+101Laps
3088ジェイ・ハワードSam Schmidt-RLL RacingD/H/F+140Laps
3178シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+156Laps
3259E.J.ヴィソKV Racing Technology-LotusD/H/F+173Laps
335佐藤琢磨KV Racing Technology-LotusD/H/F+180Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ウィル・パワーTeam Penske194
2ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing178
3オリオール・セルビアNewman Haas Racing152
4トニー・カナーンKV Racing Technology-Lotus135
5スコット・ディクソンChip Ganassi Racing129
6グラハム・レイホールChip Ganassi Racing 120
7ライアン・ブリスコーTeam Penske114
8J.R.ヒルデブランドPanther Racing113
9アレックス・タグリアーニSam Schmidt Motorsports110
10マイク・コンウェイAndretti Autosport102
11ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises96
12マルコ・アンドレッティAndretti Autosport95
13佐藤琢磨KV Racing Technology-Lotus94
14シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing92
15ダニカ・パトリックAndretti Autosport92
16ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing88
17エリオ・カストロネベスTeam Penske85
18ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas Racing80
19チャーリー・キンボールChip Ganassi Racing 78
20ライアン・ハンターレイA.J.Foyt Enterprises 68
21ラファエル・マトスAFS Racing67
22E.J.ヴィソKV Racing Technology-Lotus65
23セバスチャン・サーベドラConquest Racing62
24ダン・ウェルドンBryan Herta Autosport with Curb/Agajanian 59
25アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing55
26ジェームズ・ジェイクスDale Coyne Racing55
27セバスチャン・ブルデーDale Coyne Racing44
28ベルトラン・バゲットRahal Letterman Lanigan 30
29トーマス・シェクター KV Racing Technology-SH Racing 28
30ポール・トレイシーDreyer & Reinbold Racing 27
31エド・カーペンターSarah Fisher Racing26
32シモン・パジェノーDreyer & Reinbold Racing24
33タウンゼント・ベル Sam Schmidt Motorsports 21
34 バディ・ライス Panther Racing 20
35ジョン・アンドレッティ Richard Petty/Andretti Autosport 16
36デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing 16
37アレックス・ロイドDale Coyne Racing15
38 ピッパ・マン Conquest Racing 15
39ジェイ・ハワードSam Schmidt Motorsports 14