最終戦はダリオ・フランキッティが優勝し、09年度チャンピオンに輝く
武藤英紀は予選19位から6位フィニッシュでシーズンを締めくくる

2009年10月10日(土)
決勝
会場:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ(全長1.5マイル)
天候:快晴
気温:29〜33℃

4月上旬に開幕し、17戦で争われた2009年のIRLインディカー・シリーズは、ついに最終戦を迎えた。4年連続でチャンピオン争いは最終戦までもつれ込み、今シーズンは3人のドライバーに王座に就くチャンスがある。

シーズン最後のレースは、フロリダ州ならではの強い日差しが照りつける中で華やかに開催された。全長1.5マイルの高速オーバルコース、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイがその舞台となった。

チャンピオンの座を争うドライバー、ダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)、スコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)、ライアン・ブリスコー(Team Penske)の3人は、ポールポジションからの上位グリッド3つを占めた。彼らを含む23人のドライバーたちは夕方5時、300マイル、200周のレースへとスタートを切った。ホームステッドは朝から猛暑に見舞われており、グリーンフラッグが振り下ろされた時、温度計の針は32℃を指したままだった。

レースはチャンピオン争いにふさわしい激戦となった。200周の戦いは、インディカー・シリーズ史上初めてスタートからゴールまでフルコースコーションが一切出されず、驚くべきハイペースで進んでいった。このレース展開を味方につけたのがフランキッティだった。彼は3回のピットストップでゴールまで走りきり、今季5勝目をマークし、チャンピオンの座を手に入れた。スタートから延々トップ争いを続けたディクソンとブリスコーは、それぞれ残り8周と残り6周で短い給油のために4回目のピットストップを行い、トップの座を明け渡さねばならなかった。残り5周となってトップに躍り出たフランキッティは、燃料切れギリギリでゴールへと飛び込み、07年に次ぐ2度目のインディカー・タイトルを手に入れた。

スタート後5周でディクソンはトップに立ち、レース中盤はブリスコーがリードを続けた。彼らのスピードは飛び抜けており、4位以下は全員が周回遅れとなった。勝者となるのはブリスコーとディクソンのいずれかと思われた。しかし、ただ一度のフルコースコーションも出されないレースとなったことで、勝利はフランキッティのものとなった。スタートからゴールまでにかかった時間は1時間28分28.3117秒。インディカー・シリーズ史上2番目の記録となる平均時速201.420マイルが記録された。

2位争いはブリスコーが制したが、彼のシリーズランキングはわずか1点差で3位となった。レースを3位でフィニッシュしたディクソンがランキング2位を獲得。Target Chip Ganassi Racingは2年連続のタイトル獲得と同時に、シリーズランキングの1、2位独占も成し遂げた。

武藤英紀(Andretti Green Racing)は最後尾に近い19番グリッドからスタートしたが、10周足らずで15位にまでポジションアップ。好ペースで走り続け、60周を消化する前にトップ10入りを果たした武藤は、6位にまで順位を上げてフィニッシュした。今シーズン7回目のトップ10入りで、09年のシリーズランキングは11位となった。

コメント

ダリオ・フランキッティ(優勝)

「07年と同じで燃費セーブを必死で続け、チームの作戦を遂行できるよう全力で走っていた。それが見事に成功した。レース序盤のマシンはハンドリングがよくなかったが、ピットストップでセッティングを変えてからは非常にいいマシンだった。路面の温度が下がり、コンディションが我々のマシンに合うようになった。しかし、その時点まででトップ2台に差をつけられてしまっていた。決めた作戦の通りに燃費セーブに徹し、優勝、そしてタイトルを手にすることができた。昨日の予選でのポールポジション獲得から流れはよかったと思う。この1年間、すばらしい力を発揮し続け、最高のマシンを用意してくれたチームに感謝する」

ライアン・ブリスコー(2位)

「自分としてはキャリアベストのレースを戦うことができた。それだけに本当に悔しい結果となった。今日のレースが燃費という作戦で決することになったのは非常に残念だ。チャンピオンシップは一年を通して決したもので、フランキッティがシーズンを通してすばらしい戦いを続けていたことは間違いない。しかし、今日の結果は本当に悔しいものとなった。私とディクソンのどちらかが優勝し、タイトルを手にするものと考えて戦っていたからだ」

スコット・ディクソン(3位)

「レースが始まってすぐ、燃費を気にせずに戦うのは決してスマートではないという考えが頭をよぎった。それが現実になってしまった。また来年、チャンピオンの座を目指して全力で戦うだけだ。今日のレースは私とブリスコーが激しく戦っていたが、最終的に我々は勝つことができなかった」

武藤英紀(6位)

「今日はレース用のマシンセッティングも、ピットストップでのセッティング変更もよかったと思います。ピットストップも毎回速く、順位を上げていくことができました。19位というスタート位置を考えれば、6位はいい結果だったと思います。シーズンを通してがんばってくれたチームに感謝します。チームの中の信頼関係を上手に築き上げなければいけないことなど、今シーズンは本当に多くのことを勉強できました。もてぎではアクシデントを起こし、肉体的にゴールまで走り続けるのが大変でしたが、ファンの声援が私を後押ししてくれました。ファンの力のすごさというものを感じることができました。それだけでも今年一年走った甲斐があると思います」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー

「フランキッティのチームは勇気ある決断を下し、それが勝利につながった。フルコースコーションが最後まで出ないとは誰も考えなかったはずだ。インディカー史上初めてだったのだから当然だ。ゴールした時のフランキッティのタンクには、もう燃料は半ガロンも残っていなかっただろう。「兎と亀」の話そのままのレースになった。

Honda Indy V-8はソノマで1基にトラブルが発生したが、今シーズンもレース中に大きなトラブルを発生させることはなかった。インディ500は4年連続でレース中のトラブルをゼロとできた。サーキットで各ドライバーのサポートを行うクルーたち、そして、ワークショップで働くクルーたちのハードワークが実った。その結果としてチャンピオン争いは今年も最終戦の最後の数ラップにまでもつれ込んだ。世界経済が厳しい状況にある中で全チームががんばり抜いた。09年もすばらしいシーズンにできたことをうれしく思う」

決勝リザルト

順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
110ダリオ・フランキッティTarget Chip Ganassi RacingD/H/F01:28:28.3117
26ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+4.7888
39スコット・ディクソンTarget Chip Ganassi RacingD/H/F+6.0206
411トニー・カナーンAndretti Green RacingD/H/F+1Lap
53エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+15.0277
627武藤英紀Andretti Green RacingD/H/F+2Laps
75マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+15.4695
8 402 アレックス・ロイド Newman/Haas/Lanigan Racing D/H/F 20.1948
943トーマス・シェクターDreyer & Reinbold RacingD/H/F+3Laps
1018ジャスティン・ウィルソンDale Coyne RacingD/H/F+9.8066
1102グラハム・レイホールNewman/Haas/Lanigan RacingD/H/F+18.3366
1220エド・カーペンターVision RacingD/H/F+21.8238
1314ライアン・ハンターレイA.J.Foyt EnterprisesD/H/F+4Laps
142ラファエル・マトスLuczo Dragon RacingD/H/F +17.2720
1524マイク・コンウェイDreyer & Reinbold RacingD/H/F+5Laps
1613E.J.ヴィソHVM RacingD/H/F+6Laps
1723ミルカ・デュノーDreyer & Reinbold RacingD/H/F+17.7894
18 67 サラ・フィッシャー Sarah Fisher Racing D/H/F +13Laps
197ダニカ・パトリックAndretti Green RacingD/H/F+15Laps
2033ロバート・ドーンボスHVM RacingD/H/F+34Laps
214ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+50Laps
22 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +142Laps
23 98ジャック・ラジアーCurb/Agajanian/Team 3GD/H/F+177Laps

ポイントスタンディング

順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1ダリオ・フランキッティTarget Chip Ganassi Racing616
2スコット・ディクソンTarget Chip Ganassi Racing605
3ライアン・ブリスコーTeam Penske604
4エリオ・カストロネベスTeam Penske433
5ダニカ・パトリックAndretti Green Racing393
6トニー・カナーンAndretti Green Racing386
7グラハム・レイホールNewman/Haas/Lanigan Racing385
8マルコ・アンドレッティAndretti Green Racing380
9ジャスティン・ウィルソンDale Coyne Racing354
10ダン・ウェルドンPanther Racing354
11武藤英紀Andretti Green Racing353
12エド・カーペンターVision Racing321
13ラファエル・マトスLuczo Dragon Racing312
14マリオ・モラレスKV Racing Technology304
15ライアン・ハンターレイA.J.Foyt Enterprises298
16ロバート・ドーンボスHVM Racing283
17マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing261
18E.J.ヴィソHVM Racing248
19ウィル・パワーTeam Penske215
20トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing195
21オリオール・セルビアNewman/Haas/Lanigan Racing115
22アレックス・タグリアーニConquest Racing114
23ポール・トレイシーKV Racing Technology113
24ミルカ・デュノーDreyer & Reinbold Racing113
25サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing89
26ジャック・ラジアーCurb/Agajanian/Team 3G77
27リチャード・アンティヌッチCurb/Agajanian/Team 3G63
28ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises62
29スタントン・バレットCurb/Agajanian/Team 3G62
30アレックス・ロイドNewman/Haas/Lanigan Racing41
31ダレン・マニングDreyer & Reinbold Racing38
32タウンゼント・ベルRahal Letterman Racing32
33A.J.フォイト4世A.J.Foyt Enterprises26
34スコット・シャープPanther Racing16
35ネルソン・フィリップHVM Racing16
36松浦孝亮Conquest Racing13
37ジョン・アンドレッティRichard Petty Motorsports/Dreyer & Reinbold Racing12
38フランク・モンタニーAFS Racing/Andretti Green Racing12
39ロジャー安川Dreyer&Reinbold Racing12
40デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing10