ウィル・パワーがキャリア初優勝
武藤英紀は14位

2009年7月26日(日)
決勝
会場:エドモントン・エアポート・サーキット(全長1.973マイル)
天候:晴れ
気温:24〜26℃

今シーズン5戦目となるロードレースは、エドモントン市街の空港を使った全長1.973マイルの仮設サーキットで開催された。快晴に恵まれ、過ごしやすいコンディションで行われたレースには23台のインディカーが出場。多くの高速コーナーと高いグリップ、それに加えてバンピーな路面は、ドライバーたちの体力を消耗させたが、満員のグランドスタンドの前で繰り広げられた95周にわたる高速バトルはクリーンに戦われ、ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(Team Penske)がキャリア初勝利を飾った。全く隙のない走りで2位以下を突き放したパワーの速さは最後まで衰えることがなく、まさに完ぺきな勝利となった。

コース幅が広く、ランオフエリアも広いコースとあって、決勝ではフルコースコーションがファイナルラップの1周だけしか出されなかった。これはインディカー・シリーズにおける新記録である。レースはハイペースで進み、パワーはピットストップ以外ではトップを譲らない決定的な速さを見せつけ、チェッカーフラッグとイエローフラッグが同時に振られるゴールラインをゆっくりと、勝利を噛みしめるように横切った。

予選で1、2、3位を独占したTeam Penskeは、決勝では、予選3位だったエリオ・カストロネベスが2位でゴールし、今シーズン2回目の1-2フィニッシュを記録した。カストロネベスは2回目のピットストップでスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)に先行を許したが、周回遅れにつまったディクソンの一瞬の隙を逃さずにオーバーテイクした。昨年度ウイナーのディクソンは3位でフィニッシュし、わずか3点の差ながらポイントリーダーの座へと返り咲いた。予選2位だったライアン・ブリスコー(Team Penske)は、レース終盤にハンドリングが悪化してペースダウンし、2位から4位まで順位を下げてゴール。ポイントリーダーとしてエドモントン入りしたダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)が5位。そして、カナダの人気ドライバーであるポール・トレイシー(KV Racing Technology)がスタート直後にチームメートとの接触などもありながらも、第10戦トロントの時と同様にファンの歓声を浴びる活躍を見せ、予選順位から3つのポジションをアップさせる6位でゴールした。

武藤英紀(Andretti Green Racing)は、12番グリッドからスタートし、レース序盤はポジションを守っていたが、1回目のピットストップで16位まで順位を下げた。それでも武藤は粘り強く走り続け、14位でゴールした。

コメント

ウィル・パワー(優勝)

「完ぺきな一日になった。マシンはレースを通してすばらしい速さを保ち続けてくれた。ハードワークをこなしてくれているクルーたちのためにも、優勝することができて本当にうれしい。私にこのようなチャンスをくれたチームオーナーのロジャー・ペンスキーにも感謝している。今日は周回遅れの後ろを長いこと走らねばならないなど辛抱強さが試されていたが、こうして勝つことができ、忘れ難い一日となった」

エリオ・カストロネベス(2位)

「今日のパワーは本当に速かった。彼の初優勝を心からたたえたい。見事な勝利だったが、チームが1-2-3フィニッシュを逃したのは残念だった。エドモントンはコース幅が広いものの、ラインを外れるととたんにグリップが落ちるので、オーバーテイクは難しかった。パワーが勝ち、ライバル勢の勝利を阻んだ。チャンピオンの座をかけたポイント争いは、依然としてタイトなままだ」

スコット・ディクソン(3位)

「体力的にハードなレースだった。コース自体がタフなものである上に、フルコースコーションは最後の1周だけだった。さらに、自分たちのマシンが最高のハンドリングとなっていなかったから、楽に走ることができなかった。今日の(ウィル)パワーはすばらしかった。彼の勝利におめでとうと言いたい。自分としては3位フィニッシュで多くのポイントを稼ぐことができたことを喜びたい」

武藤英紀(14位)

「予選までセッティングが決まっていなかったので、決勝日のウオームアップで新しいセッティングを試し、決勝でもさらに違うセッティングをトライしました。しかし、プライマリータイヤで走ったレース序盤は、グリップの低さから苦しい戦いになりました。1回目のピットストップで新品のオプショナルを装着したところ、今日はオプショナルタイヤの方がコンディションに合っていると感じたので、レース終盤も、使い古しのオプショナルタイヤで走りました」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チームマネジャー

「パワーの完勝だった。予選でもポールポジションを獲得していた彼は、すばらしい走りを最後まで保ち続けて初勝利を手にした。今後も2戦に出場する予定の彼がさらなる勝利を重ねる可能性は十分にある。新しいウイナーの誕生は、シリーズをさらに激しい戦いの場にしてくれた。フルコースコーションの出ないレースは順位の動きが少なく、オーバーテイクの数も決して多くはなかったが、集まってくれたカナダのファンは非常にハイレベルな戦いを堪能してくれたことと思う。トレイシーも母国のファンの前で奮闘し、6位フィニッシュした。エドモントンは昨年以上に大きなイベントへと成長していると感じた。来年もレースが行われるのが楽しみだ」

決勝リザルト

順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
112ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F01:42:42.3773
23エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+1.0936
39スコット・ディクソンTarget Chip Ganassi RacingD/H/F+1.3213
46ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+1.8266
510ダリオ・フランキッティTarget Chip Ganassi RacingD/H/F+4.4652
614ポール・トレイシーKV Racing TechnologyD/H/F+6.3941
702グラハム・レイホールNewman/Haas/Lanigan RacingD/H/F+26.5700
818ジャスティン・ウィルソンDale Coyne RacingD/H/F+26.9169
906ロバート・ドーンボスNewman/Haas/Lanigan RacingD/H/F+1Lap
1026マルコ・アンドレッティAndretti Green RacingD/H/F+5.1494
117ダニカ・パトリックAndretti Green RacingD/H/F+6.2888
1213E.J.ヴィソHVM RacingD/H/F+21.5575
1334アレックス・タグリアーニConquest RacingD/H/F+22.8565
1427武藤英紀Andretti Green RacingD/H/F+31.3756
154ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+34.4187
1620エド・カーペンターVision RacingD/H/F+2Laps
1714ライアン・ハンターレイA.J.Foyt EnterprisesD/H/F+8Laps
182ラファエル・マトスLuczo Dragon RacingD/H/F+10Laps
1923トーマス・シェクターDreyer & Reinbold RacingD/H/F+22Laps
2024マイク・コンウェイDreyer & Reinbold RacingD/H/F+32Laps
2111トニー・カナーンAndretti Green RacingD/H/F+61Laps
2298リチャード・アンティヌッチCurb/Agajanian/Team 3GD/H/F+75Laps
235マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+95Laps

ポイントスタンディング

順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing 380
2 ダリオ・フランキッティ Target Chip Ganassi Racing 377
3ライアン・ブリスコーTeam Penske 366
4エリオ・カストロネベスTeam Penske 309
5ダニカ・パトリックAndretti Green Racing 285
6 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing 259
7ダン・ウェルドンPanther Racing 255
8ジャスティン・ウィルソンDale Coyne Racing 241
9 トニー・カナーン Andretti Green Racing 239
10グラハム・レイホールNewman/Haas/Lanigan Racing 235
11武藤英紀Andretti Green Racing 220
12 ロバート・ドーンボス Newman/Haas/Lanigan Racing 197
13 ライアン・ハンターレイ A.J.Foyt Enterprises 194
14ラファエル・マトスLuczo Dragon Racing 194
15 ウィル・パワー Team Penske 187
16エド・カーペンターVision Racing 186
17マリオ・モラレスKV Racing Technology 169
18 E.J.ヴィソ HVM Racing 164
19マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing 160
20トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing 125
21アレックス・タグリアーニConquest Racing 114
22 ポール・トレイシー KV Racing Technology 87
23ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises 62
24ミルカ・デュノーDreyer & Reinbold Racing 51
25スタントン・バレットCurb/Agajanian/Team 3G 50
26サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing 43
27ジャック・ラジアーCurb/Agajanian/Team 3G 41
28ダレン・マニングDreyer & Reinbold Racing 38
29 リチャード・アンティヌッチ Curb/Agajanian/Team 3G 36
30 タウンゼント・ベル Rahal Letterman Racing 32
31A.J.フォイト4世A.J.Foyt Enterprises 26
32アレックス・ロイドChip Ganassi Racing Sam Schmidt Motorsports 17
33スコット・シャープPanther Racing 16
34ジョン・アンドレッティRichard Petty Motorsports/Dreyer & Reinbold Racing 12
35ネルソン・フィリップHVM Racing 10
36オリオール・セルビアRoth Racing 10
37デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing 10