ミルウォーキー
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3週間におよぶ熱戦、インディ500が終わったばかりのインディカー・シリーズだが、休むことなくミルウォーキーでの第5戦を迎え、予選が行われた。全長1マイルのコースを4連続周回する予選で1分26秒7966=平均時速168.394マイルを記録してポールポジションを獲得したのは、ライアン・ブリスコー(Team Penske)だった。
第5戦が行われるのは、ザ・ミルウォーキー・マイル。五大湖のひとつであるミシガン湖の西岸にたたずむ町、ミルウォーキーに1870年代から存在するオーバルだ。ただし、自動車レースが行われるようになったのは1900年代の初頭からで、もともとは未舗装の競馬場であったものが、1950年代の半ばに舗装オーバルへと生まれ変わった。インディアナポリス・モーター・スピードウェイをしのぐ100年以上の歴史を持つことから、同コースは“伝説のオーバル”とも呼ばれている。
朝方に広がっていた曇り空は、予選が始まる前に晴天へと変わり、過ごしやすい天候の下、20人のドライバーによって予選が行われた。今回のポールポジションはブリスコーにとって今シーズン初、キャリア5回目となった。彼は昨年、このコースでオーバルコースでの初優勝を挙げており、2年連続優勝を目指すことになる。
予選2番手はグラハム・レイホール(Newman/Haas/Lanigan Racing)だった。昨年の彼はルーキーながらミルウォーキーでポールポジションを獲得した。レイホールのショートオーバルでのパフォーマンスは極めてよく、2年連続のフロントロースタートとなった。
また、予選3番手はトニー・カナーン(Andretti Green Racing)で、4番手はスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)、そして、5番手はマリオ・モラレス(KV Racing Technology)となっている。
フラットに近いコースでは高いコーナリングスピードを保つのが難しく、セッティングもドライビングも極めて繊細だ。そのようなコースで武藤英紀(Andretti Green Racing)が予選6番手に食い込む走りを見せた。プラクティスで燃料系トラブルが発生、走行時間は十分ではなかったが、マシンの仕上がりがハイレベルだった上に安定した走りを続け、3列目グリッドを獲得した。今季の武藤にとってのベストグリッドである。
なお、インディ500で勝ったばかりのエリオ・カストロネベス(Team Penske)は、アタック1周目のターン1でコントロールを乱してクラッシュ。最後尾の20番グリッドから決勝に出走する。
順位 | No. | ドライバー | チーム | C/E/T | タイム |
1 | 6 | ライアン・ブリスコー | Team Penske | D/H/F | 01:26.7966 |
2 | 02 | グラハム・レイホール | Newman/Haas/Lanigan Racing | D/H/F | 01:26.9392 |
3 | 11 | トニー・カナーン | Andretti Green Racing | D/H/F | 01:27.1073 |
4 | 9 | スコット・ディクソン | Target Chip Ganassi Racing | D/H/F | 01:27.4746 |
5 | 5 | マリオ・モラレス | KV Racing Technology | D/H/F | 01:27.6306 |
6 | 27 | 武藤英紀 | Andretti Green Racing | D/H/F | 01:27.9743 |
7 | 7 | ダニカ・パトリック | Andretti Green Racing | D/H/F | 01:28.4915 |
8 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Target Chip Ganassi Racing | D/H/F | 01:28.7401 |
9 | 2 | ラファエル・マトス | Luczo Dragon Racing | D/H/F | 01:28.7590 |
10 | 23 | トーマス・シェクター | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 01:29.4984 |
11 | 24 | マイク・コンウェイ | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 01:30.1181 |
12 | 06 | ロバート・ドーンボス | Newman/Haas/Lanigan Racing | D/H/F | 01:30.4135 |
13 | 26 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Green Racing | D/H/F | 01:30.4842 |
14 | 4 | ダン・ウェルドン | Panther Racing | D/H/F | 01:30.5391 |
15 | 18 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | D/H/F | 01:30.5512 |
16 | 14 | ポール・トレイシー | A.J Foyt Racing | D/H/F | 01:30.8964 |
17 | 13 | E.J.ヴィソ | HVM Racing | D/H/F | 01:30.9274 |
18 | 21 | ライアン・ハンターレイ | Vision Racing | D/H/F | 01:31.1328 |
19 | 20 | エド・カーペンター | Vision Racing | D/H/F | 01:31.3052 |
20 | 3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | D/H/F | DNQ |
21 | 98 | スタントン・バレット | Team 3G | D/H/F | DNQ |
コメント
ライアン・ブリスコー(ポールポジション)
「昨年もフロントローからスタートしたグラハム・レイホールのタイムを上回った時、ポールポジションを獲得できると思った。チームメートのエリオ・カストロネベス、そしてTarget Chip Ganassi Racingの2人に逆転される可能性もあったが、私のタイムがベストとなった。とても充実した気分だ。昨年の私は予選11番手から優勝した。ポールポジションからであれば、きっとスタート直後の数周に混乱に巻き込まれることもないだろう。昨年のように決勝で速いマシンになっていることを期待したい」
グラハム・レイホール(2番手)
「マシンのハンドリングはとてもよかったが、最終ラップにマシンが暴れ、そのラップだけ10分の3秒もタイムが落ちた。あれさえなければポールが取れていただろう。決勝用セッティングでもマシンのフィーリングはよく、速さもあった。昨年もマシンは速かったが、私がミスを犯した。昨年のミルウォーキーで味わった悔しさは、今でも記憶の中で消せないものとなっている。ゴールまで走りきりさえすれば、きっとよい結果を残せる。優勝候補の一角であるとさえ考えている」
トニー・カナーン(3番手)
「インディ500で大きなアクシデントに遭いながら、こうしてミルウォーキーのレースに出場することができていることを、チーム関係者、IRLのセーフティクルー、そしてトレーナーに感謝する。短時間でマシンを完ぺきに直すのも大変な苦労であったと思う。自分の身体はまだ本当に万全の状態には戻っていないが、こうしてミルウォーキーにいられることに深く感謝している。予選も非常によく、明日のレースでも我々は高い競争力を発揮できるに違いない」
武藤英紀(6番手)
「マシンのハンドリングがとてもよかったです。レース用のセッティングはタイヤの消耗が少ないマシンにすることが大事ですが、それも我々は達成できていると思います。予選はもっと上位にいけました。プラクティスで燃料が漏れるトラブルがあって、走行時間が減ってしまいました。あれがなければ、少なくともあと1回はシミュレーションできていたので、もっとよいタイムが出せたと思います。6番手はよいポジションですし、周りは安心して走れる経験豊富なドライバーばかりなので、上位を保って走り続け、最後に勝負ができるように戦いたいと考えています」
ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー
「全長1マイルのミルウォーキーはコーナー半径が小さいが、予選の間には一周ずっとフルスロットルのドライバーもいた。タイヤのグリップが変化するため4周アクセルを踏みっぱなしというのは無理だが、マシンのセッティングを研ぎ澄ますことで1周、もしくは2周の全開走行は可能だ。
予選ではプラクティス時から速さの際立っていたライアン・ブリスコーとグラハム・レイホールがポールポジション争いを行い、ブリスコーがトップタイムをマークするすばらしいパフォーマンスを見せた。2番手となったレイホールだが、彼はこの1年間で速さに磨きをかけてきている。1台体制で戦うマリオ・モラレスの5番手もすばらしい結果だった。
レースでは周回遅れが15周ほどで出てくるだろう。最初の数台は難なくパスできるトップグループも、中団グループとなるとオーバーテイクには苦労をさせられ、トラフィック処理のよし悪しが結果に結びつく展開となることも考えられる。スタートからゴールまで目の離せない、非常にエキサイティングなレースとなるだろう」