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リザルト ポイント
第12戦 ミッドオハイオ 第12戦 ミッドオハイオview

ライアン・ブリスコーが他を圧倒する速さでキャリア2勝目
武藤英紀は9位

2008年7月20日(日)
決勝
会場:ミッドオハイオ・スポーツカー・コース
天候:晴れ
気温:26〜29℃

オハイオ州コロンバス郊外のミッドオハイオ・スポーツカー・コースでIndyCarシリーズのレースが開催されるのは、今年が2回目。高速から低速まで様々なコーナーを持ち、アップダウンにも富むテクニカルなロードコースはとてもチャレンジングで、ファンの間でも人気は高い。

決勝日はスタート直前に強い雨が降り、路面のグリップが一気に低下し、全員がウエットタイヤを装着してレースをスタート。ところが、コースは瞬く間に乾き、1周目を終えたところでスリックタイヤに交換するチームもあったほどだった。

序盤にタイヤ交換を行わねばならないレースとなり、最初のピットストップを行うタイミングがチームによって異なる展開になった。今回のレースでは、フルコースコーションであるなしに関係なく、このピットに入るタイミングが勝敗に大きな影響を与えた。

ウエットタイヤでの周回数が6周と出場全マシンの中で最も多かったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は、スリックに交換してコースに戻ると17位にまで順位を落とした。しかし、2回目のフルコースコーションが出される直前の23周目にピットインしていたことがプラスに作用し、自分より前のマシンが一斉にピットに向かうと4位までジャンプアップ。路面のグリップがどんどんと高まっていくコンディションで彼は他を圧倒する速さを発揮し、最後のピットストップもグリーンフラッグ下で行ったが、リードを失うことはなかった。

ブリスコーは、ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)に7秒以上の大差をつけてゴールした。今年の第6戦ミルウォーキーに次ぐキャリア2勝目だ。3位にはポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が入賞。また、KVレーシング・テクノロジーのウィル・パワーとオリオール・セルビアがそろって4、5位でフィニッシュを果たす活躍を見せた。

武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は予選で初めて第2ステージまで進み、10番グリッドからスタート。スタート直後はポジションをキープしたが、チームの作戦がレース展開にマッチしなかった上、2回目のピットストップでタイヤ装着に時間がかかったためにポジションダウン。しかし、最後まで粘り強く戦い抜き、予選より1つ上の9位でフィニッシュした。

12戦を終えて、ポイントリーダーは依然としてディクソン。カストロネベスは今回、ポイント差を縮めたものの、まだ差は58点もある。ポイント3番手にはトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が復活し、今回、アクシデントに巻き込まれたダン・ウェルドン(チップ・ガナッシ・レーシング)は4位へと一歩後退した。そして、2勝目を挙げたブリスコーが9位から5位へと大きく躍進。ダニカ・パトリックは6位へ、武藤英紀は7位へとひとつずつ順位を下げている。

コメント

ライアン・ブリスコー(優勝)

「チームにとって、これ以上ないというぐらいすばらしい週末となった。2戦連続で非常に不運な目にあってきただけに、今回の勝利は特にうれしい。それにしても、とても興味深いレースになった。我々はウエットタイヤでの周回数が長すぎてポジションを大きく下げたが、ピットで陣頭指揮を執っているのはロジャー・ペンスキーなので、ばん回のチャンスはきっとあるとは思っていた。しかし、そこから優勝にまでたどり着けたのは、信じられない」

エリオ・カストロネベス(2位)

「フルコースコーションのタイミングは自分にとってよかったが、我々が勝つにはあと少しのスピードが必要だったと思う。トラフィックに引っ掛かり続けたことも、よくなかった。それでも2位でゴールできたのは悪くない。今日はライアン(ブリスコー)がすばらしいレースを戦い、そして勝利を収めた。チームにとっては1-2フィニッシュという喜ばしい結果となった」

スコット・ディクソン(3位)

「6位スタートで3位なら悪くはない。マシンには勝てる力があったと思う。レース中は常にエリオ・カストロネベスのポジションに注意を払っていた。ピットストップで彼を抜くチャンスがあった。しかし、右フロントタイヤの交換にいつもより時間がかかってしまったために実現しなかった。あれは残念だった。それでも、シリーズポイントでのカストロネベスとの差は、僕が彼のすぐ後ろでゴールしたため、ほとんど縮まらなかった」

武藤英紀(9位)

「僕らの作戦にレース展開が味方してくれませんでした。マシンはフロントのグリップがもう少しほしいという感じでした。それでも、抜きにくいコースながら2台のマシンをパスしました。ピットでの作業時間が長くかかって順位を落とし、作戦もいい方向に出なかったので上位にいけなかった。9位よりもっと上のポジションでゴールできたレースでした」

エリック・バークマン|HPD社長

「今年も大勢の観客が集まってくれた。そして、レースは非常にすばらしいものになったと思う。スタート前に雨が降って路面コンディションが変わり、タイヤ交換を序盤に行うという展開になった。そこからは作戦がチームごとに異なり、非常に興味深かった。新チームのドライバーたちが上位で活躍するシーンも見ることができた。レースは、中盤に入っても順位の入れ替わりが激しく、最後の最後まで誰が勝つのか、誰がどのポジションでフィニッシュするのか予測のつかないものとなった。結局、最後に勝利を収めたのは、伝統あるIndyCarチームだったが、多くのチーム、ドライバーたちがトップ争いを行ったことで、とても面白いレースになった。ファンの方々もIndyCarレースを大いに楽しんでくれたことと思う。

ライアン・ブリスコーのレース終盤の速さはすばらしかった。これで彼は2勝目。シーズン序盤はチップ・ガナッシ・レーシングが強さを見せ続けていたが、シーズンが終盤に入ろうというときになって、その状況に変化が起きつつあるのかもしれない」

決勝リザルト

順位 No. ドライバー チーム C/E/T
1 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F -
2 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F +7.2640
3 9 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing D/H/F +7.6967
4 8 ウィル・パワー KV Racing Technology D/H/F +12.7569
5 5 オリオール・セルビア KV Racing Technology D/H/F +13.4713
6 4 ヴィットール・メイラ Panther Racing D/H/F +14.9934
7 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing D/H/F +15.2597
8 14 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises D/H/F +17.5053
9 27 武藤英紀 Andretti Green Racing D/H/F +18.0084
10 17 ライアン・ハンターレイ Rahal Letterman Racing D/H/F +19.2100
11 02 ジャスティン・ウィルソン Newman Haas Lanigan Racing D/H/F +28.8880
12 7 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing D/H/F +34.6822
13 18 ブルーノ・ジュンケイラ Dale Coyne Racing D/H/F +39.7940
14 34 ジェイム・カマラ Conquest Racing D/H/F +51.5572
15 20 エド・カーペンター Vision Racing D/H/F +79.9192
16 06 グラハム・レイホール Newman Haas Lanigan Racing D/H/F +1Lap
17 10 ダン・ウェルドン Chip Ganassi Racing D/H/F +37.6867
18 2 A.J.フォイト4世 Vision Racing D/H/F +42.3447
19 96 マリオ・ドミンゲス Pacific Coast Motorsports D/H/F +2Laps
20 15 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +3Laps
21 25 マーティ・ロス Roth Racing D/H/F +5Laps
22 33 EJ.ビソ HVM Racing D/H/F +34.9060
23 23 ミルカ・デュノー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +6Laps
24 19 マリオ・モライス Dale Coyne Racing D/H/F +24Laps
25 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +44Laps
26 36 エンリケ・ベルノルディ Conquest Racing D/H/F +77Laps

ポイントスタンディング

順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing 455
2 エリオ・カストロネベス Team Penske 397
3 トニー・カナーン Andretti Green Racing 365
4 ダン・ウェルドン Chip Ganassi Racing 364
5 ライアン・ブリスコー Team Penske 296
6 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing 284
7 武藤英紀 Andretti Green Racing 276
8 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing 263
9 ライアン・ハンターレイ Rahal Letterman Racing 252
10 オリオール・セルビア KV Racing Technology 250
11 ウィル・パワー KV Racing Technology 245
12 エド・カーペンター Vision Racing 237
13 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises 235
14 ヴィットール・メイラ Panther Racing 231
15 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing 226
16 グラハム・レイホール Newman Haas Lanigan Racing 215
17 EJ.ビソ HVM Racing 202
18 ジャスティン・ウィルソン Newman Haas Lanigan Racing 202
19 A.J.フォイト4世 Vision Racing 201
20 エンリケ・ベルノルディ Conquest Racing 182
21 ブルーノ・ジュンケイラ Dale Coyne Racing 173
22 マリオ・モライス Dale Coyne Racing 172
23 ジェイム・カマラ Conquest Racing 114
24 マーティ・ロス Roth Racing 113
25 ミルカ・デュノー Dreyer & Reinbold Racing 100
26 タウンゼント・ベル Dreyer & Reinbold Racing 95
27 マリオ・ドミンゲス Pacific Coast Motorsports 86
28 ジェイ・ハワード Roth Racing 72
29 ジョン・アンドレッティ Roth Racing 71
30 フランク・ペレラ Conquest Racing 56
31 トーマス・シェクター Luczo Dragon Racing 34
32 ロジャー安川 Beck Motorsports 16
33 デイビー・ハミルトン Vision Racing 16
34 バディ・ラジアー Hemelgarn Johnson 13
35 アレックス・ロイド Rahal Letterman Racing 10
36 ジェフ・シモンズ A.J.Foyt Enterprises 10
37 サラ・フィッシャー Sarah Fisher Racing 10

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