モータースポーツ > IRL インディカー・シリーズ > 第9戦 リッチモンド 決勝
リザルト ポイント
第9戦 リッチモンド 第9戦 リッチモンドview

トニー・カナーンが今季初勝利を飾る
武藤英紀はメカニカルトラブルによりリタイア

2008年6月28日(土)
決勝
会場:リッチモンド・インターナショナル・レースウェイ
天候:晴れ
気温:29〜34℃

第9戦が開催されるアメリカ東部バージニア州のリッチモンド・インターナショナル・レースウェイは、1946年オープンの歴史あるオーバルコースだ。同地でのIndyCarレースは今年で8回目を数える。

第8戦アイオワに続き、リッチモンドも全長が1マイル(約1.6Km)に満たないショートトラックでの戦い。開幕戦以来、3度目のナイトレースは全長0.75マイルのコースを昨年までより50周多い300周で争われ、ポールポジションからスタートしたトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が今季初勝利を飾った。

カナーンはすばらしいハンドリングに仕上げたマシンで、常にトップグループを走り続けた。レース中盤にはチームメートのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)がリーダーとなったが、彼が選んだピットストップを遅らせる作戦は裏目に出て、トップ争いから後退。カナーンは最後まで正攻法を貫いて戦い、2位以下に4.7691秒という大差をつけてのキャリア13勝目のチェッカードフラッグを受けた。

2位でゴールしたのはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。予選は18番手と振るわなかったカストロネベスだが、最初の30周でトップ10までポジションアップする見事な走りを見せ、ピットストップの作業スピードの速さでも順位を上げていった。しかし、あと1人、カナーンだけはパスすることができなかった。ポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、ゴールを目前にした最終ラップでチームメートのダン・ウェルドンが突然パワー・ダウンして失速したところをパスして3位でフィニッシュした。

01年のレースでは9回のフルコースコーションが出され、それがリッチモンドでのレコードとなっていたが、今年もタイ記録となる9回のフルコースコーションが102周にわたって出された。スタートを切った26台中でゴールできたのは12台、リードラップでゴールしたのは8台だけという、サバイバルレースとなった。

武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は予選7番手からほぼそのポジションを保って走り続けていたが、220周目に入ったピットストップでドライブシャフトが壊れ、今年の開幕戦以来2回目となるリタイアを喫した。

現時点で発表されている08年IndyCarシリーズのレースカレンダー17戦では、リッチモンドでの第9戦がちょうど折り返し点となる。ポイントリーダーはディクソンで、43点差の2位にカストロネベス、3位にウェルドン、4位にカナーンがつけている。武藤は今回リタイアとなったが、ポイント・ランキングは6位と上位につけている。今年は開幕前にチャンプカー・ワールド・シリーズとの合併があったためにルーキーは9人と多く、トップオープンホイールでの経験を長く持つ強敵が多いが、武藤はトップを保っている。

コメント

トニー・カナーン(優勝)

「多くのアクシデントが発生したレースだった。それだけリッチモンドはドライビングが難しいコースなのだ。自分のマシンも序盤はハンドリングが苦しかったが、レースが後半に入ってトップに立ってからはマシンの調子もよく、優勝ができるという確信を持った。フルコースコーションが多かった点を除けば、とてもエキサイティングなレースだったと思う」

エリオ・カストロネベス(2位)

「できることはすべてやった。チームはピットですばらしい仕事をしてくれ、自分も持てる力を出しきって走り続けた。カナーンをパスできるとしたら、それはリスタートだったが、アンドレッティ・グリーン・レーシングのマシンはリスタートで僕らに優っていた。彼らのマシンはタイヤが消耗してからも安定していたように見えた。何としても勝ちたかったレースだが、あと一歩届かなかった」

スコット・ディクソン(3位)

「マシンの仕上がりはよかった。トニー・カナーンはとても強かったが、我々のマシンも競争力は十分にあったはずだ。しかし、このコースでのオーバーテイクは本当に難しい。タイヤの消耗が進み、自分のハンドリングがかなりいいレベルにあっても、前をいくマシンに近づくのは大変だった。一度、ピットストップで9位まで落ちたのが痛かった。それでも、そこから3位までポジションを上げてゴールできたのだから、結果は決して悪くはない」

武藤英紀(13位)

「スタートからハンドリングがオーバーステアだったので、いつスピンするかという厳しいレースになっていました。それでもポジションを保ち、うまくいけば5位に入れる位置を走れていました。ピットストップの作業を終え、マシンがジャッキから降りてからアクセルを踏んだつもりでしたが、何が原因なのかドライブシャフトが両方とも壊れてのリタイアとなりました。インディアナポリスに戻ってデータをチェックし、トラブルの原因を解明しなければなりません」

エリック・バークマン|HPD社長

「レース序盤から多くのアクシデントが発生し、フルコースコーションが非常に長くなっていた。スタートで一気にポジションを稼ごうとする者や、無理を強いて他車を巻き添えにしてクラッシュをした者がいたためだ。しかし、オーバーテイクの難しいショートトラックでのレースは、どうしてもそうした戦いぶりになってしまうものなのだ。

 今日のレースではルーキーを含め、今年からIndyCarシリーズに参戦したドライバーの中でも輝く走りを見せた者がいた。アクセルのオンオフがあり、ブレーキングもあるショートトラックは、ロードコース派が習熟しやすいコースであるためだが、新しいチームが、シーズンが進んで力を伸ばしてきているということでもあるだろう。シーズン後半はさらに戦いが激しくなっていくものと期待ができる」

決勝リザルト

順位 No. ドライバー チーム C/E/T
1 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing D/H/F -
2 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F +4.7691
3 9 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing D/H/F +6.6504
4 10 ダン・ウェルドン Chip Ganassi Racing D/H/F +7.7270
5 5 オリオール・セルビア KV Racing Technology D/H/F +10.7701
6 7 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing D/H/F +10.9198
7 02 ジャスティン・ウィルソン Newman Haas Lanigan Racing D/H/F +16.3094
8 23 タウゼント・ベル Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +17.5175
9 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +1Lap
10 33 EJ.ビソ HVM Racing D/H/F +2Laps
11 20 エド・カーペンター Vision Racing D/H/F +62Laps
12 14 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises D/H/F +65Laps
13 27 武藤英紀 Andretti Green Racing D/H/F +80Laps
14 34 ジェイム・カマラ Conquest Racing D/H/F +83Laps
15 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F +142Laps
16 17 ライアン・ハンターレイ Rahal Letterman Racing D/H/F +157Laps
17 19 マリオ・モライス Dale Coyne Racing D/H/F +0.2525
18 06 グラハム・レイホール Newman Haas Lanigan Racing D/H/F +169Laps
19 25 マーティ・ロス Roth Racing D/H/F +183Laps
20 4 ヴィットール・メイラ Panther Racing D/H/F +209Laps
21 24 ジョン・アンドレッティ Roth Racing D/H/F +0.2641
22 15 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +220Laps
23 18 ブルーノ・ジュンケイラ Dale Coyne Racing D/H/F +222Laps
24 2 A.J.フォイト4世 Vision Racing D/H/F +15Laps
25 8 ウィル・パワー KV Racing Technology D/H/F +36Laps
26 36 エンリケ・ベルノルディ Conquest Racing D/H/F +38Laps

ポイントスタンディング

順位 ドライバー チーム 総合ポイント
1 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing 351
2 エリオ・カストロネベス Team Penske 308
3 ダン・ウェルドン Chip Ganassi Racing 299
4 トニー・カナーン Andretti Green Racing 269
5 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing 220
6 武藤英紀 Andretti Green Racing 216
7 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing 211
8 ライアン・ブリスコー Team Penske 210
9 オリオール・セルビア KV Racing Technology 194
10 エド・カーペンター Vision Racing 185
11 ウィル・パワー KV Racing Technology 179
12 EJ.ビソ HVM Racing 170
13 ライアン・ハンターレイ Rahal Letterman Racing 170
14 A.J.フォイト4世 Vision Racing 165
15 ヴィットール・メイラ Panther Racing 163
16 ジャスティン・ウィルソン Newman Haas Lanigan Racing 161
17 グラハム・レイホール Newman Haas Lanigan Racing 159
18 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing 156
19 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises 149
20 エンリケ・ベルノルディ Conquest Racing 148
21 マリオ・モライス Dale Coyne Racing 114
22 ブルーノ・ジュンケイラ Dale Coyne Racing 113
23 タウンゼント・ベル Dreyer & Reinbold Racing 95
24 マーティ・ロス Roth Racing 84
25 ジェイム・カマラ Conquest Racing 74
26 ジョン・アンドレッティ Roth Racing 71
27 ミルカ・デュノー Dreyer & Reinbold Racing 63
28 ジェイ・ハワード Roth Racing 62
29 マリオ・ドミンゲス Pacific Coast Motorsports 57
30 フランク・ペレラ Conquest Racing 56
31 トーマス・シェクター Luczo Dragon Racing 34
32 ロジャー安川 Beck Motorsports 16
33 デイビー・ハミルトン Vision Racing 16
34 バディ・ラジアー Hemelgarn Johnson 13
35 アレックス・ロイド Chip Ganassi Racing 10
36 ジェフ・シモンズ A.J.Foyt Enterprises 10
37 サラ・フィッシャー Sarah Fisher Racing 10

フォトギャラリー

  • 第9戦 リッチモンド
  • 第9戦 リッチモンド
  • 第9戦 リッチモンド
  • 第9戦 リッチモンド
  • 第9戦 リッチモンド