同スピードウェイにとって最初のビッグイベントとなる今回のIndyCarレースは、アイオワ・コーン・インディ250と名づけられた。アイオワ州はとうもろこしの産地で、とうもろこしは今、エタノールの原料としてアメリカで大きな注目を集めている。使用燃料が100%エタノールへと代わって最初のシーズンのIndyCarシリーズにとっても、アイオワ・スピードウェイの完成はまさに絶妙のタイミングで、今回のレース開催へとスムーズに漕ぎつけることとなった。
最高峰オープンホイール・シリーズの初開催レースを見ようと、土曜日から多くのファンがスピードウェイに詰めかけた。彼らが見守る中、予選で17秒6486(平均時速182.360マイル)の最速タイムを叩き出したのはスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)で、彼がアイオワ・スピードウェイ初のポールシッターとなった。
日曜日には満員のグランドスタンドを前にスタートが切られた。そのスタート直後、ターン2でダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)がスピンし、トーマス・シェクター(ビジョン・レーシング)を巻き込むクラッシュとなった。
86周目にはトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)も同じくターン2でスピン。エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)はピットストップ直後にコントロールを失い、周回遅れに陥った。ディクソンはステアリングトラブルのためにピットで長い時間を過ごし、ヴィットール・メイラ(デルファイ・パンサー・レーシング)はレース中盤にトップを71周にわたって快走したが、左フロントサスペンションが壊れてリタイア。こうしてベテランドライバーたちがミスを犯し、トップチームのマシンにトラブルが発生したことが、アイオワ・スピードウェイでのバトルの激しさ、厳しさを物語っていた。
レースが残り100周を切るころ、トップはダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)のものとなり、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が2位へ浮上して激しいアタックを開始していた。しかし、フランキッティはイン側のラインをキープし続けてオーバーテイクを許さず、そのままシーズン2勝目を飾った。最後のピットストップでフランキッティはタイヤ交換を行わず、フレッシュタイヤを装着したアンドレッティが優位に立つかとも思われたが、フランキッティはほんの小さなミスも犯すことなく、0.0681秒の僅差でアイオワ・スピードウェイ初のインディカー・レース・ウイナーとなった。
松浦孝亮(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は予選16番手からレースに出走。オーバーテイクの難しいレースながら2回目のピットストップまでに9位までポジションアップを果たす好走を見せていたが、99周目のリスタートで発生した多重クラッシュで、スピンした他車にヒットされ、ターン1外側の壁に激しくクラッシュ。リアウイングやリアの左右サスペンションなどダメージは広範囲にわたるものとなったため、レースに復帰することを断念せざるを得ず、15位という結果にとどまった。
なお、前日に開催されたIndyProシリーズ第8戦で、武藤英紀(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は予選8番手からスタートして、3位でゴールした。現在、ポイントランキング2位につけている。 |