2006年のIRL IndyCarシリーズも最終戦まで残すところ3戦となった。1戦で獲得できる最大ポイントは53点。そして、チャンピオン争いを展開中のドライバー4人は、31点差の中にひしめいている。シリーズ第12戦メイヤー・インディ300は、タイトルの行方に大きな影響力を持つ重要なレースとして開催された。
ケンタッキー・スピードウェイは、オハイオ州とケンタッキー州の州境に近い山間に作られた全長1.5マイルの高速オーバルである。路面のバンピーさがドライビングを難しくしているコースだ。決勝日のケンタッキー・スピードウェイは快晴に恵まれ、300マイルのレースは暑さの中で争われた。
32℃を超す暑さとなった決勝、今シーズン5回目のポールポジションからスタートしたのは、ポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)だった。彼は5戦連続で2番グリッドからのスタートとなったポイント2位のサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)を従え、レース序盤のトップを走った。
彼らの最大のライバルであるターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの2人、ダン・ウェルドンとスコット・ディクソンも決勝レースでは予選のとき以上のパフォーマンスを発揮。200周のレースが終盤の50周を迎えたとき、トップを走っていたのはウェルドンだった。
しかし、ゴールまで残り20周を切ってから、出場全車は燃料補給のためのピットストップが必要となり、このときのピットストップでウェルドンは大きなミスを犯した。自らのピットに正確に停止できなかったため、ピットの燃料ホースが給油口まで届かず、大きくタイムロス。ウェルドンは勝機を失った。
ウェルドンのミスによりトップに躍り出たのはディクソンだったが、残り4周でホーニッシュJr.がディクソンをアウトサイドから豪快にオーバーテイクし、優勝へと逃げ切った。今シーズン4勝目は、彼にとってのキャリア18勝目で、自らの持つIRL
IndyCarシリーズでの最多勝記録を更新した。カストロネベスもディクソンを追い詰めたが、0.0645秒届かず3位フィニッシュ。ウェルドンは4位でのゴールとなった。
今回のレースには2003年にポールポジションを獲得し、コースレコード保持者となっているサラ・フィッシャーがドレイヤー&レインボールド・レーシングからエントリーし、ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/ダラーラ)に対抗する女性ドライバーの出場として話題を呼んだ。予選ではパトリックが11位、フィッシャーが12位となり、奇しくも彼女たちはグリッド6列目から並んでスタート。レースではパトリックが8位までポジションを上げてゴールし、フィッシャーはスタートと同じ12位でのフィニッシュとなった。
ケンタッキー・スピードウェイで2004年にキャリアベストとなる4位フィニッシュを果たしている松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/ダラーラ)は、過去2年を上回る7番グリッドを獲得。ファイナルプラクティスでも3番手タイムをマークするなど好調を維持していた。しかし、レース前半の大部分でトップ10を走行し続けていた彼は、折り返し点を過ぎた119周目のターン3でコース外側のウォールへリアからクラッシュし、レースを終えた。前方集団の作り出す乱気流により、マシンのコントロールを失ったためのアクシデントであった。
第12戦を終えてのポイント争いでは、ホーニッシュJr.が418点でトップへと復活。ポイントリーダーだったカストロネベスは411点の2位につけ、3位がウェルドン(394点)、4位がディクソン(385点)となっている。
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