北米大陸はいま盛夏を迎えている。テネシー州ナッシュビルでのシリーズ第9戦ファイアストン・インディ200は、金曜日に猛暑の中で予選を開催し、ダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)が2戦連続、今シーズン2度目のポールポジションを獲得した。翌土曜日の夜8時25分、日中よりも幾分気温の下がった中で決勝レースが行われ、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)がチームメイトのウェルドンを0.1176秒差で下して今シーズン2勝目を飾った。
14戦で争われる2006年のIndyCarシリーズは、もはや後半戦に突入しており、タイトルを争う者同士でのポイント獲得合戦がし烈さをさらに増している。チャンピオン候補でなくとも、それぞれのドライバーたちが全力を出し切り、白熱したポジション争いを展開。ひとつでも上のシリーズランキングを手に入れようと熱い戦いを見せている。全長が1.33マイルと、スーパースピードウェイとショートオーバルの中間的なキャラクターを持つナッシュビル・スーパースピードウェイでは、グリップの高い、ナッシュビル独特のコンクリート路面の上で激しいバトルが繰り広げられた。
ポールポジションからスタートしたウェルドンを、ポイントリーダーのサム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)、ディクソン、2004年チャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が追いかけるオーダーでレース序盤は展開した。しかし、エリオ・カストロネベス(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)はハンドリングが悪化したマシンに悩まされて中団グループに飲み込まれ、カナーンは電気系トラブルで大きく後退。さらには、ホーニッシュJr.がクラッシュを喫して、トップの座はウェルドンとディクソンのチームメイト同士で争われることとなった。
最多リードラップを記録した通りにウェルドンの速さは目覚しく、ディクソンは前を走っているとはいえ、激しいチャージを受けるだろうことは容易に想像できた。最後のピットストップを行ったのが、ディクソンは128周目、ウェルドンは133周目と、使える燃料の多いという面でもウェルドン優位と映っていた。しかし、ディクソンはとうとう最後までトップを明け渡すことはなかった。テール・トゥ・ノーズの状態から、最終ラップの最終コーナーからの立ち上がりで2台は横に並びかけ、ギリギリまで接近した状態を保ってチェッカーフラッグの振られるゴールラインへと飛び込んだのだった。今回のレースもIndyCarシリーズならではの接近戦に終始し、最後には0.1176秒差でウイナーが決したのだった。
シリーズランキングにおけるポイントリーダーのホーニッシュJr.は、クラッシュで14位となったが、トップの座をキープ。2番手には今回のウイナーのディクソンが浮上し、2位だったカストロネベスは5位フィニッシュで3位へとひとつ後退。しかし、ポイントリーダーのフィニッシュ順位が悪かったことから、トップ4が16点という僅差に収まることとなった。残るは5戦。次戦からはチャンピオン争いがさらに激しく戦われることとなるだろう。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/ダラーラ)は12番グリッドからスタート。序盤は10位グループを走っていたが、中盤のフルコースコーション中にピットストップを二度行って燃料を追加搭載。上位陣がピットへと向かったところでトップに立った。そして、その直後に新たなフルコースコーションが発生。トップ3からトップ5でゴールすることも十分に可能な展開となった。しかし、163周目のターン3進入時にリアサスペンションにトラブルが発生。単独クラッシュを喫する悔しいレースとなった。
ダニカ・パトリック(レイホール・レターマン・レーシング/ダラーラ)は、松浦と同じタイミングで給油を行ったことでポジションを大幅にアップさせ、それを最後まで保ってキャリアベストに並ぶ4位でゴールした。
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