Indy500を終えたばかりの2006年IRL IndyCarシリーズは、休む間もなく第5戦ワトキンス・グレン・インディ・グランプリを迎えた。伝統あるロードコースで開催されたレースは、IRL
IndyCarシリーズ史上初めて、ウエット・コンディションでスタートした。
スタートして間もなく路面は乾き始めたが、レース中盤からは雨が降ったり止んだりで、常にグリップの低い状態でレースは争われた。スピンやアクシデントが多発し、7回もフルコース・コーションが出される難しい戦いを制したのは、4番グリッドからスタートしたスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/パノス)だった。彼は2位でゴールしたヴィットール・メイラ(パンサー・レーシング/ダラーラ)に2秒3311の差をつけてチェッカーフラッグを受け、ワトキンス・グレン2連覇を達成した。3位にはバディ・ラジアーに代わってドレイヤー&レインボールド・レーシングのマシンを与えられたライアン・ブリスコーが入賞した。
ワトキンス・グレン・インディ・グランプリが行われたのは、ニューヨーク州東北部の山間部にある全長3.37マイルの高速コース=ワトキンス・グレン・インターナショナル。1980年まで20年間にわたってF1グランプリを開催していたアメリカでも長い歴史と伝統を誇るロードコース・サーキットだ。多くの湖と緑豊かな山々に囲まれたワトキンス・グレンの村は、1957年に常設サーキットが完成される以前から公道でのレースが行われていた。昨年度はシーズン終盤にスケジュールされたワトキンス・グレン・インディ・グランプリだが、今年はIndy500のすぐ翌週へと移動して話題性がアップした。レース・ウイークエンドを通して天候に恵まれなかったが、それでも熱心なファンがサーキットには集まっていた。
悪天候の影響により、スターティンググリッドは金曜日のプラクティスタイムによって決められた。ポールポジションを獲得したのはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー/ダラーラ)。フロントロー外側のグリッドは、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)のものとなり、2列目イン側の3番グリッドは、Indy500で2位フィニッシュを果たしてルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が手に入れた。昨年のワトキンス・グレンで優勝しているディクソンは4番グリッド。昨年度シリーズ・チャンピオンのダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/パノス)は5番手。そして、Indy500で優勝したばかりのサム・ホーニッシュJr.(チーム・ペンスキー/ダラーラ)が6番グリッドからスタートした。
ターン1からターン2は晴れていても、その先のバックストレッチを抜けた後のシケインでは雨が降っている。そんなコンディションでのレースは、ロードレースを得意とするベテラン勢でも路面のコンディションを予測するのは不可能だった。コースの部分によって雨の降る強さが異なることも多かった。ミスなく走り切ることが今回のレースでは最も重要で、それを最も見事に行ったのがディクソンだった。 ポールポジションからスタートしたカストロネベスはレース終盤にスピンし、結果は7位。2番グリッドからスタートしたカナーンもコースアウトしてマシンにダメージを与え、1周遅れの11位でのゴールとなった。Indy500ウイナーのホーニッシュJr.もスピンで1周のラップダウンに陥り、フィニッシュは12位だった。
松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/ダラーラ)は12番手からのスタートで8位までポジションを上げた。難しい路面コンディションでの戦いでマシンのハンドリングにも手応えを感じていた松浦だったが、20周目に切られたリスタート後にメインストレートで1台をパス。さらにもう1台をターン2へと続く短いストレートで抜こうとしたところでスピンに陥り、今シーズン初のリタイアとなった。
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