1年を通して温暖なフロリダ州ホームステッドで、今年もIRL IndyCarシリーズが開幕した。アメリカ大陸東南部に位置するフロリダ州は、3月がベストシーズン。昨年より3週間遅いシーズンスタートとあって、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイは週末を通して暖かな気候に恵まれることが期待されていた。
今年からIndyCarシリーズはHonda Indy V-8のワンメイクで争われる。Hondaが用意するエンジンは、各チームの手元に届く前にすべてがまったく同じ性能を発揮するよう厳格なチェックを受ける。シャシーは2種類存在するが、エンジンは全員が同じものを使用するとなれば、差の生まれる要素がひとつ減り、競争は去年までよりも激しくなる。
予選はフロリダ半島南端ならではの好天下で行なわれ、チーム・ペンスキーのダラーラ-Hondaに乗るサム・ホーニッシュJr.が24秒4625というレコード・タイム(平均時速218.539マイル)で今シーズン最初のポールポジション・ウイナーとなった。IndyCarシリーズで2度のシリーズ・タイトル獲得歴を持つ彼にとってキャリア7回目のポールポジションだ。
金曜日に2回のプラクティス(練習走行)が開催され、予選は走行2日目となる土曜日に、さらに1回のプラクティスを行なった後に開催された。予選日の朝方は冷え込み、雨の心配もされたが、灰色の雲は風に乗って流され、午後には摂氏21℃まで気温が上がっていた。風も弱く、絶好のコンディション下での予選となった。
開幕戦にエントリーしたのは20台。1台ずつが2周ずつのアタックを行なうシングル・カー予選方式で明日のレースのスターティング・グリッドは争われた。ホーニッシュJr.に続く2位となったのは、チームメイトのエリオ・カストロネベスだった。タイムはトップと0.0506秒という僅差の24秒5131だった。チーム・ペンスキーにとっては2002年にIRL IndyCarシリーズへの参戦を開始して以来9回目のフロントロー独占である。
3番グリッドは参戦2年目の女性ドライバー、ダニカ・パトリックのものとなった。彼女の走るレイホール・レターマン・レーシングは、今年もパノス・シャシーを使用している。昨年はルーキーながら3回のポールポジション獲得を果たしたパトリック。今年は予選アタックの技術にさらに磨きがかかっているようだ。ルーキー年に2レースで4位に入賞している彼女にとっては、初めてのトップ3フィニッシュ、そして初優勝が目標となる。
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングでダラーラ・Hondaを駆る松浦孝亮は、予選14位となった。彼らは今年からシャシーをダラーラに変更。シーズン・オフのテストはルールによって2回しか行っていないため、今週末は3回のプラクティスを使って決勝用セッティングを仕上げることに集中してきている。彼らは予選順位よりも、決勝でのパフォーマンスを良くすることに集中した戦い方をしているのだ。松浦はこの2日間でマシンが大きく進歩したことに満足しており、レースでは上位への進出が期待できそうだ。
ポールポジションを獲得した過去6回のレースで5勝し、キャリア14勝を挙げて来ているホーニッシュJr.が開幕ダッシュを見せるのか。チームメイトのカストロネベスがそれを阻むのか。あるいは、予選で4位と8位となったチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンとダン・ウェルドン、2人の元チャンピオンが勝利の栄冠をさらうのか。Honda Indy V-8のワンメイクで初めて争われる開幕戦には大きな注目が集まっている。
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