3カ月遅れで開催された第104回インディ500では、佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)が、序盤からレースをリードし続けたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)を残り15周でパスし、優勝を飾りました。伝統あるインディアナポリス・モーター・スピードウェイで佐藤は2勝目を挙げ、HondaチームとHondaドライバーたちも今日のレースで1-2-3-4フィニッシュを達成しました。
パンデミックの影響によって無観客でのレース開催となったインディ500、佐藤は合計2度、27周のリードラップしか記録しませんでした。しかし、レース終盤の最も重要なタイミング、最後のピットストップを終えてからチェッカーフラッグを受けるまでの時間帯は、ライバル勢を寄せつけないスピードを持っていました。
200周のレースが終盤を迎え、優勝争いを行うドライバーはディクソンと佐藤に絞り込まれました。佐藤は168周目、ディクソンはその次の周に最後のピットストップを終えました。ここでディクソンがトップに返り咲き、佐藤は2番手に下がったのですが、185周目にメインストレートでディクソンをパスし、レースのリーダーとなりました。
ここからの佐藤はディクソンのアタックを何度も阻止し、周回遅れのマシンをパスしながら前進しました。そして、佐藤とディクソンが196周目へと入った直後、第4ターンでスペンサー・ピゴット(Rahal
Letterman Lanigan Racing with Citron Buhl Autosport)が激しくクラッシュし、フルコースコーションが宣言されました。
レッドフラッグ、レース中断となる可能性も考えられましたが、イエローフラッグのままレースはゴールを迎えました。佐藤にとっては2017年の”500”初優勝に続く、インディでの2度目の優勝となったのです。
ディクソンは最終ピットストップまでレースをリードし続け、111周ものリードラップを記録しました。しかし彼のインディ2勝目はならず、佐藤のインディ2勝目が記録されました。フロントローの中央からスタートしたディクソンは、午後2時半過ぎのグリーンフラッグ後にトップに躍り出て、143周目にアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport) がリタイアした後も、レースを支配し続けていました。
しかし、終盤になると佐藤とグラハム・レイホール、2人のRahal Letterman Lanigan Racingのドライバーたちがスピードアップ。佐藤のチームメートであるレイホールは、終盤にトップ2との差を詰めて3位でゴールしました。
また、予選では望む結果を得られていなかったサンティノ・フェルッチ(Dale Coyne Racing with Vasser-Sullivan) が4位でゴールしました。
Honda勢は8人のドライバーがトップ10でフィニッシュしました。2回目のピットストップでクラッチトラブルに見舞われたジェームズ・ヒンチクリフ(Andetti Autosport)は7位、コルトン・ハータ(Andretti Harding Steinbrenner Autosport)が8位でフィニッシュ。 ジャック・ハーヴィー(Meyer Shank Racing)はインディでの自己ベストとなる9位でゴール。ライアン・ハンター-レイ(Andretti Autosport)が10位でした。
佐藤琢磨(優勝)
「最高のマシンだったと思います。終盤の燃料戦略でディクソンに1周の遅れをとっていました。ゴールまでの燃費は少し厳しかったですね。しかし、できる限り燃料をセーブする走りを続け、最終的には最後のバトルが激しくなったとしてもフルパワーで戦える燃料を確保できていました。最終グリーンフラッグラップの第4コーナーではディクソンがずっと来ていましたが、信じられないことに僕はそれを抑えることができたんです。だれもがすばらしい仕事をしてくれました。HPDとHondaは、我々に多くのパワーと燃費を与えてくれました。自分たちのマシンが今日は最強だったと感じています。2勝目を飾れるなんて、これもみんなチームの努力のおかげです。彼らは本当にがんばってくれ、今日もすばらしいピットストップを行ってくれました。今回の勝利はHondaパワーのおかげです。強力なエンジンをHondaとHPDが作ってくれ、そのエンジンは燃費もとてもよかった。そしてチームが最高のマシンを作り上げてくれました。日本のファンの皆さんは夜中からのテレビ観戦だったと思います。応援ありがとうございました。インディでの2勝目をこうして挙げることができました。皆さんの応援があることで、インディで走り、優勝することができていると思います。次のレースからもがんばります」
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 30 | 佐藤琢磨 | 200 | 3:10'05.0880 | |
2 | 9 | スコット・ディクソン | 200 | +0.0577 | |
3 | 15 | グラハム・レイホール | 200 | +0.0953 | |
4 | 18 | サンティノ・フェルッチ | 200 | +0.3929 | |
5 | 1 | J.ニューガーデン | シボレー | 200 | +1.6619 |
6 | 5 | P.オワード | シボレー | 200 | +3.2496 |
7 | 29 | ジェームズ・ヒンチクリフ | 200 | +4.2694 | |
8 | 88 | コルトン・ハータ | 200 | +5.1918 | |
9 | 60 | ジャック・ハーヴィー | 200 | +6.8131 | |
10 | 28 | ライアン・ハンター-レイ | 200 | +7.9613 | |
12 | 10 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | 200 | +13.9668 | |
13 | 98 | マルコ・アンドレッティ | 200 | +16.0657 | |
15 | 26 | ザック・ヴィーチ | 200 | +19.3960 | |
25 | 45 | スペンサー・ピゴット | 194 | +6Laps | |
27 | 27 | アレクサンダー・ロッシ | 143 | +57Laps | |
28 | 55 | アレックス・パロウ | 121 | +79Laps | |
32 | 8 | マーカス・エリクソン | 24 | +176Laps | |
33 | 51 | ジェームズ・デビソン | 4 | +196Laps |
順位 | ドライバー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|
1 | スコット・ディクソン | 335 | ||
2 | J.ニューガーデン | シボレー | 251 | |
3 | P.オワード | シボレー | 218 | |
4 | グラハム・レイホール | 214 | ||
5 | S.パジェノー | シボレー | 212 | |
6 | 佐藤琢磨 | 207 | ||
7 | コルトン・ハータ | 189 | ||
8 | サンティノ・フェルッチ | 181 | ||
9 | W.パワー | シボレー | 175 | |
10 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | 157 | ||
11 | ライアン・ハンター-レイ | 149 | ||
12 | マーカス・エリクソン | 147 | ||
13 | ジャック・ハーヴィー | 145 | ||
14 | アレクサンダー・ロッシ | 130 | ||
15 | アレックス・パロウ | 127 | ||
16 | ザック・ヴィーチ | 126 | ||
21 | マルコ・アンドレッティ | 114 | ||
22 | ジェームズ・ヒンチクリフ | 88 | ||
31 | スペンサー・ピゴット | 17 | ||
33 | ジェームズ・デビソン | 10 |