今年で3度目の開催となるグランプリ・オブ・インディアナポリスは、気温10℃という低温と、吹きつける風の難しいコンディションのもと行われました。
全長2.439マイルのコースを82周するレースでは、予選3番手のジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)が、スピードと安定感を保ち、4番手以下に一度も順位を落とすことなく3位でゴール。今シーズン初の表彰台に上がりました。第3戦ロングビーチで8位、第4戦アラバマで6位、そして今回のインディアナポリスで3位と、ここ最近、上位フィニッシュを重ねてきたヒンチクリフのランキングは、8位までアップしました。
ジェームズ・ヒンチクリフ
ジェームズ・ヒンチクリフ
第4戦のHondaインディ・グランプリ・オブ・アラバマで2位フィニッシュし、ランキング6位で今大会を迎えたグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、予選でファイナルステージまで駒を進めて3番手タイムをマーク、しかし、車検で車両重量が規定より軽かったことが判明し、スターティンググリッドは24番手と、ほぼ最後尾となりました。そんな中、決勝ではスタート直後のフルコースコーションを利用して燃料を補給するなど、作戦をフルに利用してポジションを上げていきました。序盤の26周でトップ10入りを果たすと、レースの折り返し地点である41周の終了時点で8番手。3度目のピットストップを迎える前までに4番手までポジションを上げることに成功しました。表彰台にはあと一歩届きませんでしたが、20もポジションを上げた走りでファンを大いに沸かました。これで2戦連続のトップ5入りとなり、ランキングはは5位に浮上しました。
佐藤琢磨
佐藤琢磨
ルーキーのコナー・デイリー(Dale Coyne Racing)も、今大会における主役の一人でした。22番手という後方からのスタートながら、レースでは非常に競争力のあるハイペースで走行。加えて、ピットのタイミングのよさから、レース中盤の41周目には2番手へと浮上しました。そして、45周目に切られたリスタート直後、ターン1で大ベテランのエリオ・カストロネベス(Team Penske)をパスしてトップに躍り出ました。インディアナポリス近郊で生まれ育ったデイリーは、初優勝を目指して全力で走り、スタンドからは大歓声が上がりました。その後、一時は3秒以上ものリードを築き、14周にわたってトップを走ったものの、最後のピットストップのあとはユーズドのソフトタイヤで走るしかなかったため、新品のソフトタイヤを装着するライバルにオーバーテイクを許すことに。しかし、自己ベストタイとなる6位フィニッシュはすばらしい結果であり、この日披露したファイトによって、多くの新しいファンを獲得しました。
佐藤琢磨
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 82 | 1:50'18.5823 |
2 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 82 | +4.4748 |
3 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 82 | +5.0807 |
4 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 82 | +7.0715 |
5 | 83 | C.キンボール | シボレー | 82 | +7.4234 |
6 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 82 | +12.1838 |
7 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 82 | +12.9226 |
8 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 82 | +13.6912 |
9 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 82 | +15.1933 |
10 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 82 | +16.3134 |
11 | 16 | スペンサー・ピゴット | ![]() | 82 | +20.5172 |
12 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 82 | +29.6369 |
13 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 82 | +43.3094 |
15 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 82 | +44.6339 |
17 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 82 | +47.0326 |
18 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 82 | +56.3389 |
20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 82 | +1'03.7229 |
23 | 35 | アレックス・タグリアーニ | ![]() | 81 | +1Lap |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 242 |
- | 2 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 166 |
- | 3 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 160 |
- | 4 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 159 |
▲ | 5 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 133 |
▼ | 6 | 10 | T.カナーン | シボレー | 111 |
▲ | 7 | 83 | C.キンボール | シボレー | 111 |
▲ | 8 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 110 |
▲ | 9 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 109 |
▼ | 10 | 12 | W.パワー | シボレー | 105 |
▼ | 11 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 102 |
▲ | 13 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 88 |
▼ | 14 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 87 |
- | 15 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 84 |
▲ | 17 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 79 |
▼ | 18 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 76 |
- | 20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 60 |
- | 21 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 45 |
- | 22 | 16 | スペンサー・ピゴット | ![]() | 35 |
- | 24 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 13 |
- | 28 | 35 | アレックス・タグリアーニ | ![]() | 7 |
ジェームズ・ヒンチクリフ(3位)
「今週末の私たちのマシンは本当にすばらしく、レースでの戦いはとても楽しいものでした。燃料の心配をすることなく、全行程で思いきりプッシュして戦えていました。今シーズンのHondaは、開幕からとても印象的な仕事ぶりを見せてくれています。そして、私たちのチームのクルーたちは、今日のピットストップで大活躍しました。レース終盤にはトップを争うペースを確保できていたのですが、ポジションをさらに上げるには周回数が足りませんでした。それでも、今日はいい一日になりました。表彰台にまた立つことができ、とてもうれしいです」
グレアム・レイホール(4位)
「今日のような結果を得られ、とても喜んでいます。望める最良の成果を手にできたと言えるでしょう。予選後に受けたペナルティーは、今でも残念です。もしそれがなく、上位のグリッドからスタートしていたら、今日の私たちは優勝できていたと思うからです。今日のような戦いを実現した私たちは、いつの日かチャンピオンシップを手にできるでしょう。今週は風邪をひいていました。今日のレースで体力を使い果たしました。クルーたちも本当にすばらしい仕事をしてくれていました。彼らを誇りに感じています。序盤のフルコースコーションでの給油など、作戦も見事でした。Hondaがハードワークを続けてくれていることも、今日のレースに表れていたと思います」
佐藤琢磨(18位)
「厳しく、長い一日でした。我々にはライバルたちと競い合うだけのスピードが備わっていませんでした。たくさんの不運もありました。今日の自分たちがどうして速さを発揮できなかったのか、データなどをもう一度よく見返さなくてはなりません。プラクティス3で一時的にスピードがある状態を手に入れましたが、予選ではそれが失われ、再び取り戻すことはできませんでした。本当に苦しい戦いになりました。それでも、クルーたちは今回もすばらしいピット作業をしてくれました」