モータースポーツ > F1 > McLaren-Honda ドライバーインタビュー It's Time to Make History > フェルナンド・アロンソ

再び勝利を手にする相手はHondaだけこの判断は間違っていない

過去2度のチャンピオン獲得経験を持ち、
日本通としても知られるアロンソ選手。
McLaren-Hondaへ新たに移籍を決めた心境や、
初めてタッグを組むHondaの印象について聞きました。

チームを移籍するという判断について、率直に聞かせてください

移籍を決めたのは、Hondaのカムバックに勝利の可能性を感じたからです。技術力の高さを感じましたし、私もその一員となって、Hondaのロゴが入ったユニフォームを着たいと思いました。この判断は間違っていないと思います。私は、なによりも勝利を求めていますし、それを手にするパートナーはHondaしかいないと感じました。前のチームとの契約は2年残っていましたし、残留したほうが楽だったのかもしれません。でも、2位に甘んじることはしたくないのです。勝つためにここに来ました。

McLaren-Hondaという言葉は、あなたにとって何を意味しますか?

子供のころは、(アイルトン)セナと(アラン)プロストが活躍し、F1の世界をMcLaren-Hondaが席巻していた時代でした。私が3歳のときに、父が用意してくれたカートは、当時のMcLaren-Hondaマシンと同じ赤白カラー。レプリカではなくて、本物のMcLaren-Hondaに乗れる――これは、父の夢、家族の夢、自分の子供時代の夢が叶う、まさに“The Power of Dreams”の体現です。33歳になり、2度のチャンピオンを経験した今、McLaren-Hondaが復活すると聞いて、そこに行かないという選択肢はなかったのです。私にとっては完ぺきな選択ですし、モチベーションも非常に高いです。私の憧れであるセナのように走れればと思っています。

日本人と働いてみての感想を教えてください

日本がとても好きです。日本人と一緒に仕事をするのは初めてですが、みんな強いコミットメント―責任感強く仕事に向き合う姿勢を持っていますし、規律の正しさにも感心します。全員が、目標に向けてまっすぐに働く人たちだと感じました。ワールドチャンピオンになるということを、使命と感じていますし、そういう人たちと働けるのはとても光栄です。今後、私も同じやり方で仕事をしていく必要がありますね。

Hondaのスタッフとの仕事はどうですか?

非常に規律のレベルが高く、独自性を持っていると思います。Hondaの作るパワーユニットには、エンジニアリングだけでなく、化学や物理学の分野までを含めたテクノロジーや、科学的なアプローチが組み込まれています。それが意外でしたし、とてもうれしかった点で、すべてのレベルが高いです。そして、Hondaのスタッフはみんなプロフェッショナル。これを結果につなげていきたいです

Honda創業者の本田宗一郎さんについて

本田さんのことは、とても尊敬しています。モータースポーツの世界を変えたと言える人は多くないですが、本田さんは、間違いなくその一人だと思います。本田さんのような伝説的な存在が、我々にモータースポーツへの情熱を教えてくれたのだと考えていますし、Hondaのスタッフと仕事をしていると、宗一郎さんが持っていた情熱や想いを感じます。当時の想いや価値観が共有され、受け継がれているのだと思います。Hondaの人たちは、みんなそういった気持ちで、仕事と割り切るのではなく、モータースポーツへの愛情を源に、情熱的に取り組んでいます。McLaren-Hondaの一員であるということは、その点が他チームとの決定的な違いです。

2007年のMcLaren在籍時と、現在の違いはありますか?

当時とは状況やパフォーマンスも違うので、一概には言えませんが、以前は英国人が多かったのに対して、今はインターナショナル化が進んでいろいろな国籍の人がいますし、とてもオープンでリラックスできる雰囲気だと思います。へレステストでは、全員が高い情熱を持って取り組んでいました。

新型マシン「MP4-30」について

一番気に入っているポイントは、エンジンとシャシーが一体になった、タイトなパッケージング。これによって、空力的なパフォーマンスを発揮できます。McLarenとHondaが緊密に連携してきた成果として、独特のパッケージが出来上がりました。両社が何カ月も一緒に努力してきたことがデザインに現れていますし、外観も美しいです。これが我々のアドバンテージになるでしょう。ただ、この前のテストではあまり走り込めていないので、競争力という点では、まだこれから確認していくことになります。マシンのポテンシャルを引き出し、限界がどこにあるかを探っている最中です。

チームメートのジェンソン・バトン選手について

ジェンソンはすばらしいパートナーで、チームメートになれてとてもうれしいです。2人合わせて500戦という、F1での経験が生かせると思います。初めてのパワーユニットで、学ぶべき部分が大きいですが、2人の経験をもとにしたフィードバックをしっかりすることで、問題解決のペースアップが図れると思います。また、雨が降るなど難しい条件のレースでも、経験を生かしてチャンスをつかめるはずです。私がほかのチームにいたら、McLaren-Hondaを怖い存在だと思うでしょうね。彼がチームメートでハッピーですし、2人のバトルも楽しみにしています。

目標を教えてください

マシンにどのくらいの競争力があるのかを確認しないと、はっきりとしたことは言えません。正直、我々は他チームから1年遅れでのスタートとなりますし、レースをすることで初めて分かる問題もあるわけで、競争力を見極めてから具体的な目標を設定していきます。それまでは、学習期間が必要です。それが1〜2カ月なのか、6カ月なのかは分かりませんが、私たちドライバー2人の経験を役立て、なるべく短くすることが必要です。ただ、長期的な目標は、もちろんチャンピオン獲得です。

最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします

いつも応援をありがとうございます。私たちには、皆さんの支えが必要ですし、ファンの熱い想いが我々を勝たせてくれると思います。ドライバー、メカニックやエンジニアだけでなく、ファンの皆さんも含めた全員がHondaファミリーです。チーム全員で情熱を持って取り組み、100%の努力をして、いつか必ず勝利を手にします。