今日のアゼルバイジャンGPでは、マックス・フェルスタッペンが3戦連続の4位フィニッシュにより、Aston Martin Red Bull Racing に貴重なポイントをもたらしました。
4番手スタートのフェルスタッペンはスタートで5番手に順位を落とすも、すぐに4番手のポジションを取り戻しました。上位4台の中では最も遅い14周目でピットインし、ミディアムタイヤで復帰すると、レース中盤では上位陣をしのぐペースでレースを続け、前との差を詰めていきます。ただ、バーチャルセーフティカーの導入により一旦タイヤの温度が下がったこともあり、終盤では縁石を避けながら4位をキープする走りに切り替え、ポジションを維持したままフィニッシュしました。
金曜のセッション中のペナルティーによりピットレーンからスタートしたピエール・ガスリーは、ミディアムタイヤでスタートすると力強い走りでポジションを上げ、一時はフェルスタッペンの直後まで順位を上げます。この路面コンディションの中ではソフトタイヤよりもペースがよかったミディアムタイヤを38周目まで引っ張りますが、11周を残したところでドライブシャフト破損によりリタイアを喫することになりました。
一方のRed Bull Toro Rosso Hondaにとっても、今日は難しいレースになりました。ソフトタイヤでスタートしたダニール・クビアトのペースが上がらないとみると、5周目で早々にピットインし、ミディアムタイヤに交換。チェッカーまで長いスティントで走る戦略に切り替えます。しかしながら、31周目、他車に不運な形で接触されてフロアを破損したことにより、リタイアすることになりました。
同じくソフトタイヤでスタートしたアレクサンダー・アルボンは、11番手からクリーンなスタートを切りますが、ライバルよりも引っ張った形で12周目にピットインすると、ピットアウト後は最後尾までポジションを落としてレースに復帰します。その後も手堅い走りを続け、入賞圏内に迫りますが、最後は11位。惜しくもポイントまであと一歩のところでレースを終える形になりました。
田辺豊治 | HONDA F1テクニカルディレクター
「今日のレースは、スペック2のICEを導入した初戦ということもあり、4台完走を目指していましたが、残念ながら2台がリタイアとなってしまいました。フェルスタッペン選手はいつも通りの安定した走りで、3戦連続となる4位を獲得してくれました。一方で、ガスリー選手とクビアト選手が、それぞれマシンのトラブルとレース中のアクシデントによりリタイアとなってしまったことはとても残念でした。また、完走を果たしたアルボン選手についても、あと少しでポイント獲得に至らなかったことは悔しく思っています。新しいスペック2は週末を通して問題なく機能しましたので、さらなるデータ分析を進め、次のスペインGPに向けて準備を進めます。今後ともチームと一緒に前進を続けていければと思います」
アレクサンダー・アルボン
「ポイント獲得圏内にあと一歩のポジションで終わってしまったことが悔しくてなりません。スタートはまずますでしたが、前方を阻まれブロックされたとき、タイミング悪く間違った方向にマシンを逃がしてしまったことで1コーナーの壁をかすってしまったので、その後の数コーナーは気をつけながら走行を続けました。以降、マシンのペースは安定していましたが、ピットインのタイミングが少し遅かったことによりタイムロスをしてしまった気がします。ピットイン後はすべてのマシンの後ろでコース復帰をし、ポジションを落としてしまいました。中団チームの差がどれもわずかで、その中でポジションアップを狙うには、ペースに他よりも大きなアドバンテージがないと難しいことです。最終的に、何台かオーバーテイクもでき、レースを楽しむことができました。それがなによりも重要なことではないかと思います!」
ダニール・クビアト
「自分の責任でないのにレースをリタイアしなくてはならなかったことが残念でなりませんが、このようなことはレースで起こり得るので、仕方がないことだと思います。リカルド選手は自分のミスだと認めていますし、彼との間に問題はなく、水に流して次に進もうとしています。ポイント獲得も可能だと思って挑んだレースだったので、もちろんこの結果は残念ですが、あのときはなす術なしだったと思います。昨日の予選ではマシンに大きな手応えを感じていたのですが、今日の決勝ではタイヤのマネージメントに苦戦しました。なにが原因かを解明し、次のレースへ向けて準備を進めたいと思います。マシンのパッケージは十分に戦えるものなので、必ず我々のときがやってくると信じています」
ピエール・ガスリー
「今回のレースウィークは、今までの3戦よりずっといい週末となりました。マシンにさらに慣れ、自分が思ったような走行ができるようになりました。予選ではQ1を上手くまとめることができ、いいパフォーマンスを見せられたと思います。レースではピットレーンスタートとなってしまったため、前方でポジション争いをするには難しい位置だと分かっていましたが、ポイントを獲得するには十分な速さがマシンには備わっていると感じていました。決勝中も6番手までポジションアップして上手く進んでいたのですが、ドライブシャフトのトラブルにより完走することができませんでした。結果的には、僕自身はあらゆる状況に上手く適応できたレースウィークだったと感じていますし、チームの方向性は正しかったと思います。マシンの挙動も予測がつきやすく、僕自身もアプローチを変えた部分があります。まだ改善すべきことはありますが、一戦ごとにチームとともに正しい方向へ前進していると信じています」
マックス・フェルスタッペン
「一般的に見れば、いいレースができたと言えるでしょう。レース中常にメルセデスとフェラーリが視界にあり、ただそのギャップを縮めようと走行しました。スタートでブロックされ、コーナーにより突っ込んだ状態でのブレーキングができず、ペレス選手にオーバーテイクを許してしまいました。確かに順位は落としてしまいましたが、1周目にリスクを負って無理する必要はありませんでした。抜き返したあと、他より少し長めにソフトタイヤで走行し、マシンからはいい手応えを感じていました。ペースはよく、特にミディアムタイヤを使用した第2スティントでは前方とのギャップを7~8秒も縮めることができました。VSC(バーチャルセーフティーカー)ではタイヤを冷やしてしまったのか、解除後に後れを取ってしまいました。このコースでは、タイヤの温度がカギであり、低いとマシンが滑ってしまうため、ファイナルラップでリスクを背負って攻めることはしませんでした。バルセロナでのパフォーマンスはそこで持ち込むアップデートの内容によりますが、さらに他とのギャップを縮めて戦えるようにしていきたいと思います」
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | バルテッリ・ボッタス | Mercedes | 51 | 1:31'52.942 |
2 | 44 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 51 | +1.524 |
3 | 5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 51 | +11.739 |
4 | 33 | マックス・フェルスタッペン | Aston Martin Red Bull Racing | 51 | +17.493 |
5 | 16 | シャルル・ルクレール | Ferrari | 51 | +69.107 |
6 | 11 | セルジオ・ペレス | Racing Point | 51 | +76.416 |
7 | 55 | カルロス・サインツJr. | McLaren | 51 | +83.826 |
8 | 4 | ランド・ノリス | McLaren | 51 | +100.268 |
9 | 18 | ランス・ストロール | Racing Point | 51 | +103.816 |
10 | 7 | キミ・ライコネン | Alfa Romeo | 50 | +1Lap |
11 | 23 | アレクサンダー・アルボン | Red Bull Toro Rosso Honda | 50 | +1Lap |
12 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | Alfa Romeo | 50 | +1Lap |
13 | 20 | ケビン・マグヌッセン | Haas | 50 | +1Lap |
14 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Renault | 50 | +1Lap |
15 | 63 | ジョージ・ラッセル | Williams | 49 | +2Laps |
16 | 88 | ロバート・クビサ | Williams | 49 | +2Laps |
NC | 10 | ピエール・ガスリー | Aston Martin Red Bull Racing | 38 | DNF |
NC | 8 | ロマン・グロージャン | Haas | 38 | DNF |
NC | 26 | ダニール・クビアト | Red Bull Toro Rosso Honda | 33 | DNF |
NC | 3 | ダニエル・リカルド | Renault | 31 | DNF |